「やっちゃえラスト!」
「もっちろん!」
つがえていた矢を引き絞ったラストは狙いを定めて手を離す。
ピュンと風を切って飛んでいった矢はうっすらと姿の見えるアリの頭に当たった
さらにラストの矢はそれだけで止まらずアリの頭を突き抜けて後ろのアリの目に刺さって止まった。
「うわぁっ!?」
矢の威力にラスト自身が驚く。
アリアドヘンに作ってもらった弓はラストの手によく馴染み、ラストの要望を忠実に再現しながら改良も加えてあった。
リュードでも引けないほどの弦は魔力を込めると引けるようになり、手を離すと同時に魔力を送るのをやめると硬さが戻ってとんでもない勢いで矢を発射する。
なかなか相手を狙いながら魔力のオンオフを切り替えるのは難しいが、アリアドヘンの作った弓はラストの魔力に最適化されていて長年使っている弓のように馴染む。
「リューちゃん、私に任せて!」
暗闇に強くてリュードよりも先に見えているルフォンが前に出た。
まだ後ろの方まで見えていないリュードよりも相手の全体像が見えているルフォンの方が動きやすくていいと任せることにした。
アリの攻撃をかいくぐってルフォンが接近する。
防御するつもりでアリの前足をナイフで防いでルフォンが驚きに目を見開いた。
そんなつもりじゃなかったのに攻撃してきた側のアリの足がスパッと切り落とされてしまった。
痛みに悶えるアリに驚いている暇ではないとルフォンはさらにアリに近づくとナイフを突き出した。
いとも簡単にナイフがアリに突き刺さり、そのまま容易く切り裂いた。
マヤノブッカで戦ったアリよりは小さくて戦いやすいだろうと思っていたけれど、武器の性能向上も相まってルフォンの敵にもならなかった。
ラストやデルデの方にアリが行かないようにと守っていたリュードの出番もなく、ルフォンとラストだけであっという間に十数匹のアリを倒してしまった。
リュードも剣を試してみたかったけれど、キラキラとした顔をしてアリを倒す二人の邪魔もできなかった。
達人は武器にこだわらないなんて言う人もいるが、やはり良い武器を良い人が使えば違うのだ。
ドワーフたちが敵わなかったと聞いていたので警戒していたけれども、新たな武器を手にしたルフォンとラストには全く歯が立たなかった。
こうした暗い空間に強いこともあるし二人にとっては絶好の武器お試し場となっていた。
「……お前さんら強いんだな」
ミスリルリザードを無傷であっさりと倒した時点で実力の高さには気づいていた。
かなり期待はしていたし、腕相撲でリュードがドワーフに無双していると聞いてリュードの実力には疑いは持っていなかったがルフォンとラストも相当のものだった。
いくら優れた武器であろうとも使えぬ者に持たせたところで鉄の棒と剣の差も出せない。
優れた武器が人を武器の扱える人にするはずもなく、扱えるだけの練習も必要となってくるのだ。
使える者だったから武器が生かされ、武器の性能が才能を生かし、一つの強さとなる。
ルフォンとラストには扱えるだけの技量があり、その努力も垣間見えた。
自信がありそうな三人だったが自信があるだけのことはあるとデルデは一人頷いていた。
「ここはアリの巣か……」
出てくる魔物はこれでわかった。
アリである。
魔物ってのは多くの場合他の魔物と共存共生したりしないのでこの鉱山にいるのはアリだけの可能性が非常に高い。
この世界のアリも生態としての大きな部分は前世のアリと異ならない。
魔物としてのアリは顎の力が強くて繁殖力が強くて集団で襲いかかってくる感じで意外と厄介である。
肉は食えないけど割と体は固くて素材としては加工しやすめな部類で厄介な攻撃もなく戦いやすいので冒険者目線でいくと人気がある方の魔物だ。
とにかく数勝負な魔物な感じなのでそこだけ気をつければいい。
狭めな坑道での戦いはアリの数を制限できるからむしろいいかもしれない。
デルデは持っていたランスでアリを突いてどんな感じか確かめる。
「ふむ……なかなか悪くなさそうだな」
硬さがありながらも結構柔軟そう。
加工すれば軽くて丈夫な防具にできそうだと職人の目でアリを観察していた。
数勝負なアリがたったの十匹で終わるはずがない。
最初アリを第一波とするなら第二波、第三波と数を増やしながらアリが襲いかかってくる。
暗闇に強いルフォンとラストがメインで戦い、リュードはデルデを守るように下がる。
「ちぇー……これがダンジョンなら楽なのになぁ」
ラストが不満を漏らす。
戦いそのものは武器の性能もあって特に苦労しないのだけど、その後が大変だった。
自然発生の魔物はダンジョン産の魔物と違って勝手に消えていったりしない。
広いといっても限度がある坑道内にアリの死体は残ってしまう。
数が多いだけにとても通る時に邪魔になるのだけどラストの場合は一つ手間もある。
弓矢で戦うラストは矢を回収しなければならないのだ。
魔力で生み出した矢を放つ方法などもあるのだけどアリ如きにそんなこともしていられない。
物理的な矢を使って戦いのたびにそれを回収している。
魔力を爆発させるのもよほど強く爆発させなきゃ矢は再利用可能である。
どこに矢がいったのかを覚えていて回収しなきゃいけないのだけど、やっぱり作業としては面倒だ。
ダンジョンなら魔物が魔力となって消えて落ちた矢を拾い集めるだけで済む。
アリの体液も付いてるしラストはため息混じりに矢を拾う。
ここだけは弓矢の面倒な点だと思う。
せっかくいい弓も手に入ったし魔力で作る矢、魔矢の練習もしてみようとラストはちょっと思った。
「もっちろん!」
つがえていた矢を引き絞ったラストは狙いを定めて手を離す。
ピュンと風を切って飛んでいった矢はうっすらと姿の見えるアリの頭に当たった
さらにラストの矢はそれだけで止まらずアリの頭を突き抜けて後ろのアリの目に刺さって止まった。
「うわぁっ!?」
矢の威力にラスト自身が驚く。
アリアドヘンに作ってもらった弓はラストの手によく馴染み、ラストの要望を忠実に再現しながら改良も加えてあった。
リュードでも引けないほどの弦は魔力を込めると引けるようになり、手を離すと同時に魔力を送るのをやめると硬さが戻ってとんでもない勢いで矢を発射する。
なかなか相手を狙いながら魔力のオンオフを切り替えるのは難しいが、アリアドヘンの作った弓はラストの魔力に最適化されていて長年使っている弓のように馴染む。
「リューちゃん、私に任せて!」
暗闇に強くてリュードよりも先に見えているルフォンが前に出た。
まだ後ろの方まで見えていないリュードよりも相手の全体像が見えているルフォンの方が動きやすくていいと任せることにした。
アリの攻撃をかいくぐってルフォンが接近する。
防御するつもりでアリの前足をナイフで防いでルフォンが驚きに目を見開いた。
そんなつもりじゃなかったのに攻撃してきた側のアリの足がスパッと切り落とされてしまった。
痛みに悶えるアリに驚いている暇ではないとルフォンはさらにアリに近づくとナイフを突き出した。
いとも簡単にナイフがアリに突き刺さり、そのまま容易く切り裂いた。
マヤノブッカで戦ったアリよりは小さくて戦いやすいだろうと思っていたけれど、武器の性能向上も相まってルフォンの敵にもならなかった。
ラストやデルデの方にアリが行かないようにと守っていたリュードの出番もなく、ルフォンとラストだけであっという間に十数匹のアリを倒してしまった。
リュードも剣を試してみたかったけれど、キラキラとした顔をしてアリを倒す二人の邪魔もできなかった。
達人は武器にこだわらないなんて言う人もいるが、やはり良い武器を良い人が使えば違うのだ。
ドワーフたちが敵わなかったと聞いていたので警戒していたけれども、新たな武器を手にしたルフォンとラストには全く歯が立たなかった。
こうした暗い空間に強いこともあるし二人にとっては絶好の武器お試し場となっていた。
「……お前さんら強いんだな」
ミスリルリザードを無傷であっさりと倒した時点で実力の高さには気づいていた。
かなり期待はしていたし、腕相撲でリュードがドワーフに無双していると聞いてリュードの実力には疑いは持っていなかったがルフォンとラストも相当のものだった。
いくら優れた武器であろうとも使えぬ者に持たせたところで鉄の棒と剣の差も出せない。
優れた武器が人を武器の扱える人にするはずもなく、扱えるだけの練習も必要となってくるのだ。
使える者だったから武器が生かされ、武器の性能が才能を生かし、一つの強さとなる。
ルフォンとラストには扱えるだけの技量があり、その努力も垣間見えた。
自信がありそうな三人だったが自信があるだけのことはあるとデルデは一人頷いていた。
「ここはアリの巣か……」
出てくる魔物はこれでわかった。
アリである。
魔物ってのは多くの場合他の魔物と共存共生したりしないのでこの鉱山にいるのはアリだけの可能性が非常に高い。
この世界のアリも生態としての大きな部分は前世のアリと異ならない。
魔物としてのアリは顎の力が強くて繁殖力が強くて集団で襲いかかってくる感じで意外と厄介である。
肉は食えないけど割と体は固くて素材としては加工しやすめな部類で厄介な攻撃もなく戦いやすいので冒険者目線でいくと人気がある方の魔物だ。
とにかく数勝負な魔物な感じなのでそこだけ気をつければいい。
狭めな坑道での戦いはアリの数を制限できるからむしろいいかもしれない。
デルデは持っていたランスでアリを突いてどんな感じか確かめる。
「ふむ……なかなか悪くなさそうだな」
硬さがありながらも結構柔軟そう。
加工すれば軽くて丈夫な防具にできそうだと職人の目でアリを観察していた。
数勝負なアリがたったの十匹で終わるはずがない。
最初アリを第一波とするなら第二波、第三波と数を増やしながらアリが襲いかかってくる。
暗闇に強いルフォンとラストがメインで戦い、リュードはデルデを守るように下がる。
「ちぇー……これがダンジョンなら楽なのになぁ」
ラストが不満を漏らす。
戦いそのものは武器の性能もあって特に苦労しないのだけど、その後が大変だった。
自然発生の魔物はダンジョン産の魔物と違って勝手に消えていったりしない。
広いといっても限度がある坑道内にアリの死体は残ってしまう。
数が多いだけにとても通る時に邪魔になるのだけどラストの場合は一つ手間もある。
弓矢で戦うラストは矢を回収しなければならないのだ。
魔力で生み出した矢を放つ方法などもあるのだけどアリ如きにそんなこともしていられない。
物理的な矢を使って戦いのたびにそれを回収している。
魔力を爆発させるのもよほど強く爆発させなきゃ矢は再利用可能である。
どこに矢がいったのかを覚えていて回収しなきゃいけないのだけど、やっぱり作業としては面倒だ。
ダンジョンなら魔物が魔力となって消えて落ちた矢を拾い集めるだけで済む。
アリの体液も付いてるしラストはため息混じりに矢を拾う。
ここだけは弓矢の面倒な点だと思う。
せっかくいい弓も手に入ったし魔力で作る矢、魔矢の練習もしてみようとラストはちょっと思った。


