「これが悪魔ってやつなのか……!」
流石に若干魔法の威力は落ちているようであるけれど、それでも当たれば大きなダメージになる威力はある。
リュードにも真似できないような魔法を扱う卓越した技術と能力の高さを見せつけられている。
黒い魔力の槍や球、針がリュードを襲い、同時にデルゼウズは激しく剣で切りかかる。
技量では格上の相手だと認めざるを得ない。
不利な戦いにリュードはあくまでも冷静に戦う。
魔法が体をかすめ、剣を首筋ギリギリで受け止める。
ドンドンとリュードの動きが研ぎ澄まされていき、デルゼウズの動きに追いついていく。
「くっ……なんだ…………」
ムチャクチャな戦いだとリュードも戦いながら思った。
デルゼウズが一方的に攻めて、リュードがなんとかそれを防ぎ続けていた。
終わりの見えない戦いだと思えるほどであったが、先に限界を迎えたのはデルゼウズだった。
いや、デルゼウズというよりもトーイの体が限界を迎えたのだ。
無理矢理魔力で強化して、魔法と剣の同時使用という負担のかかる戦いを続けたトーイの体は悲鳴を上げていた。
デルゼウズの体が突然動かなくなり、頭がぼんやりとして足元がふらつく。
「ダメー!」
回避と防御に集中していたリュードはデルゼウズの異変を見逃さず、すかさず反撃に出る。
激しい戦闘の中であまりの相手にトーイの体を傷つけていけないとか制圧するとかすっかり頭から抜け落ちていた。
ミュリウォの悲鳴のような声に我にかえったリュードは剣を止めてしまう。
「ふふっ、そこが甘いのだ」
今度はリュードが隙を作ることになってしまった。
できたのはほんの僅かに身をよじることだけだった。
「リューちゃん!」
デルゼウズが手を突き出して黒い魔力の槍を打ち出した。
かわしきることができずにリュードの肩を槍が貫いてルフォンが悲鳴を上げる。
リュードのところに行きたいが、シャドードールは防御に徹するように動いていて粘り強く戦うためになかなか倒しきれない。
「手間をかけさせおって……」
倒れたリュードにトドメを刺そうと迫るデルゼウズを止められる人はいない。
「あ……あ……」
なんてことをしてしまったのだとミュリウォの目から涙が溢れ出す。
「リューちゃん!」
「リュード!」
「この私をここまで追い詰めたことは評価してあげましょう。しかしあなたの敗因はその反吐が出るような、甘さだ」
デルゼウズは余裕を取り戻し、見下すようにリュードのことを見ている。
「クソッ……」
「この期に及んでそんな目ができるあなたを殺すのは惜しいですがもはや遊んでもいられない。終わりにしましょう」
「リューちゃーん!」
デルゼウズがゆっくりと剣を持ち上げる。
「むっ?」
そして振り下ろそうとした瞬間低くて響くような音がした。
デルゼウズにも予想外の音で、敵襲かと警戒して振り返るがルフォンやラストはまだシャドードールと戦っていた。
今の音はどこからだと探す。
もう一度音がして、デルゼウズは天井を見上げた。
天井にメキリと大きなヒビが走った。
「ここかぁーーーー!」
「な、なん」
「食らえ! ルフォン、ラスト、今だ!!」
天井が崩壊した。
驚くデルゼウズを素早く立ち上がったリュードが殴り飛ばす。
状況は分からないけれど何かの変化が訪れることは確実だとリュードは考えた。
何が起きてもデルゼウズを殴り飛ばすと決めていたリュードは天井が落ちてくる中でも素早く動くことができたのである。
デルゼウズが殴られてコントロールしていたシャドードールの動きが悪くなった。
ルフォンとラスト隙をついてシャドードールを倒してリュードのところに駆けつけた。
「伏せろ!」
窪みのある部屋の真ん中にドンドンと天井が崩れ落ちてきて轟音と土埃が舞う。
「リューちゃん……!」
「いいから頭下げてろ!」
リュードは真上に手を伸ばし、魔力を集める。
「はぁ!」
リュードは魔法を放つ。
下から上に、巨大な雷の柱が打ち上がって崩れて落ちてくる岩を飲み込んでいく。
崩落の音とリュードの魔法の轟音と光で一切の状況が見えなくなる。
「ぐぅ……」
「リュード、大丈夫!?」
リュードが魔法を使って消滅させたのでリュードの周り円形に岩のない空間が出来上がる。
どうにか岩に潰されることなく済んだ。
リュードの体がぐらりと揺れてラストが抱きかかえるように支える。
命の危機は脱したが貫かれた肩の傷は重傷と言ってよく、出血は激しかった。
無茶して動き、魔力もゴッソリと使ったために一瞬意識が遠のいた。
「待ってて! えっと、えっと……あった! はい、これ!」
ルフォンが慌てて荷物を漁る。
その中からポーションの入ったビンを取り出してリュードに渡す。
「悪いな……プハッ。何が起きたんだ?」
「分かんない……いきなり天井が崩れて……」
ポーションが早速効き始めて肩の痛みがほんの少しだけ楽になる。
魔人化を維持できなくて真人族の姿に戻ったリュードは顔色が悪い。
崩れた天井の上は外で、日の光が差し込んできてリュードは光に目を細めた。
「よく、見つけられたな」
ともかく二人と再会できたことは嬉しいことである。
「どこに居たって、どんなところだって絶対に見つけるよ」
「私だってリュードを諦めるつもりなんてないからね!」
「ふふっ、ありがとう」
「とりあえず少し休んで」
ラストに支えられて地面に腰を下ろす。
とりあえずデルゼウズの姿は見えず、状況も分からないがリュードは立っていることすら辛かった。
流石に若干魔法の威力は落ちているようであるけれど、それでも当たれば大きなダメージになる威力はある。
リュードにも真似できないような魔法を扱う卓越した技術と能力の高さを見せつけられている。
黒い魔力の槍や球、針がリュードを襲い、同時にデルゼウズは激しく剣で切りかかる。
技量では格上の相手だと認めざるを得ない。
不利な戦いにリュードはあくまでも冷静に戦う。
魔法が体をかすめ、剣を首筋ギリギリで受け止める。
ドンドンとリュードの動きが研ぎ澄まされていき、デルゼウズの動きに追いついていく。
「くっ……なんだ…………」
ムチャクチャな戦いだとリュードも戦いながら思った。
デルゼウズが一方的に攻めて、リュードがなんとかそれを防ぎ続けていた。
終わりの見えない戦いだと思えるほどであったが、先に限界を迎えたのはデルゼウズだった。
いや、デルゼウズというよりもトーイの体が限界を迎えたのだ。
無理矢理魔力で強化して、魔法と剣の同時使用という負担のかかる戦いを続けたトーイの体は悲鳴を上げていた。
デルゼウズの体が突然動かなくなり、頭がぼんやりとして足元がふらつく。
「ダメー!」
回避と防御に集中していたリュードはデルゼウズの異変を見逃さず、すかさず反撃に出る。
激しい戦闘の中であまりの相手にトーイの体を傷つけていけないとか制圧するとかすっかり頭から抜け落ちていた。
ミュリウォの悲鳴のような声に我にかえったリュードは剣を止めてしまう。
「ふふっ、そこが甘いのだ」
今度はリュードが隙を作ることになってしまった。
できたのはほんの僅かに身をよじることだけだった。
「リューちゃん!」
デルゼウズが手を突き出して黒い魔力の槍を打ち出した。
かわしきることができずにリュードの肩を槍が貫いてルフォンが悲鳴を上げる。
リュードのところに行きたいが、シャドードールは防御に徹するように動いていて粘り強く戦うためになかなか倒しきれない。
「手間をかけさせおって……」
倒れたリュードにトドメを刺そうと迫るデルゼウズを止められる人はいない。
「あ……あ……」
なんてことをしてしまったのだとミュリウォの目から涙が溢れ出す。
「リューちゃん!」
「リュード!」
「この私をここまで追い詰めたことは評価してあげましょう。しかしあなたの敗因はその反吐が出るような、甘さだ」
デルゼウズは余裕を取り戻し、見下すようにリュードのことを見ている。
「クソッ……」
「この期に及んでそんな目ができるあなたを殺すのは惜しいですがもはや遊んでもいられない。終わりにしましょう」
「リューちゃーん!」
デルゼウズがゆっくりと剣を持ち上げる。
「むっ?」
そして振り下ろそうとした瞬間低くて響くような音がした。
デルゼウズにも予想外の音で、敵襲かと警戒して振り返るがルフォンやラストはまだシャドードールと戦っていた。
今の音はどこからだと探す。
もう一度音がして、デルゼウズは天井を見上げた。
天井にメキリと大きなヒビが走った。
「ここかぁーーーー!」
「な、なん」
「食らえ! ルフォン、ラスト、今だ!!」
天井が崩壊した。
驚くデルゼウズを素早く立ち上がったリュードが殴り飛ばす。
状況は分からないけれど何かの変化が訪れることは確実だとリュードは考えた。
何が起きてもデルゼウズを殴り飛ばすと決めていたリュードは天井が落ちてくる中でも素早く動くことができたのである。
デルゼウズが殴られてコントロールしていたシャドードールの動きが悪くなった。
ルフォンとラスト隙をついてシャドードールを倒してリュードのところに駆けつけた。
「伏せろ!」
窪みのある部屋の真ん中にドンドンと天井が崩れ落ちてきて轟音と土埃が舞う。
「リューちゃん……!」
「いいから頭下げてろ!」
リュードは真上に手を伸ばし、魔力を集める。
「はぁ!」
リュードは魔法を放つ。
下から上に、巨大な雷の柱が打ち上がって崩れて落ちてくる岩を飲み込んでいく。
崩落の音とリュードの魔法の轟音と光で一切の状況が見えなくなる。
「ぐぅ……」
「リュード、大丈夫!?」
リュードが魔法を使って消滅させたのでリュードの周り円形に岩のない空間が出来上がる。
どうにか岩に潰されることなく済んだ。
リュードの体がぐらりと揺れてラストが抱きかかえるように支える。
命の危機は脱したが貫かれた肩の傷は重傷と言ってよく、出血は激しかった。
無茶して動き、魔力もゴッソリと使ったために一瞬意識が遠のいた。
「待ってて! えっと、えっと……あった! はい、これ!」
ルフォンが慌てて荷物を漁る。
その中からポーションの入ったビンを取り出してリュードに渡す。
「悪いな……プハッ。何が起きたんだ?」
「分かんない……いきなり天井が崩れて……」
ポーションが早速効き始めて肩の痛みがほんの少しだけ楽になる。
魔人化を維持できなくて真人族の姿に戻ったリュードは顔色が悪い。
崩れた天井の上は外で、日の光が差し込んできてリュードは光に目を細めた。
「よく、見つけられたな」
ともかく二人と再会できたことは嬉しいことである。
「どこに居たって、どんなところだって絶対に見つけるよ」
「私だってリュードを諦めるつもりなんてないからね!」
「ふふっ、ありがとう」
「とりあえず少し休んで」
ラストに支えられて地面に腰を下ろす。
とりあえずデルゼウズの姿は見えず、状況も分からないがリュードは立っていることすら辛かった。


