「よしっ! ……だけどこれからどうしたらいいかな」
「これからどうするも何も大会の関係者が悪魔ってなんだよ! つまりはあれか、この大会ってやつはまさか悪魔が……」
係員すら悪魔であり、これで地下も安全でないことが分かった。
大会の係員をやっていたものが悪魔で、外は今悪魔騒動が起きているということは偶然ではないだろう。
元々きな臭いこの大会がさらにきな臭く感じられてきた。
大会に悪魔が関わっているのではないかという疑念が全員の頭に浮かぶ。
「大会を狙ったものだと思ってたけどそうじゃなさそうだね……」
「そうだな……悪魔主催とか笑えない可能性が出てきたな」
「何が起きてるんだろうね……リューちゃん」
勝ったけど明るい雰囲気になれる要素がない。
「ルフォンさん、ラストさん!」
この先もまた地下をうろつくしかない。
また悪魔と出会うことも考えると気分が重たくなる。
とりあえず歩いて探そうなんて言葉も出せずにため息をついているとミュリウォが壁を覗き込んでいた。
何だろうと2人も行って見てみると壁に隙間ができていて中があるように見えた。
「なんだか……階段っぽいものが見えますよ」
ジーッと中を見てみると確かに階段のようなものが見える気がする。
悪魔の係員が腕を振り回して暴れた時に時折壁や床を叩きつけることがあった。
たまたまこの壁の後ろに階段があるところにも腕が当たっていて、壁がわずかに壊れていたのであった。
「何かありそうだね」
ルフォンが隠し階段を覗き込む。
隠された階段など何かがある雰囲気がビンビンにしている。
ルフォンたちはこの階段が次のステージに進むためのものだとは知らない。
リュードとトーイがいるのかも知らないけれど、ルフォンとラストの勘はこの階段が怪しいと告げている。
ルフォンの呟きに二人も同調してうなずく。
「でも、このままじゃ入れないね」
一部だけが崩れて、かろうじて向こう側が見える程度の隙間しかない。
通り抜けることなど出来はしない。
「おじさーん!」
「誰がおじさんだ!」
ウロダも若い子にはもうおじさんと呼ばれる年齢に差し掛かってきているがそれを認めたくない。
しばらく身も小綺麗にしていないので無精髭も伸びてきているししょうがないのだけど、名前はちゃんと歩きながら教えたのだから名前で呼んでほしいと思う。
「ここ、広げてくんない?」
「なんで俺が……」
「おじさん何もしてないし、武器もそれぐらいやるのに丁度良さそうだからね」
「うっ……分かったよ」
何もしていなかったことを引き合いに出されると弱い。
壁は最初にルフォンたちが入ってきたところよりも固そうでナイフで広げていくにはちょっと大変そう。
ウロダの大振りの剣なら力も入りやすいしナイフよりいいと思った。
剣を渡すからお前らでやれよ、とは言えずにウロダは隙間を中心に剣の柄で殴りつけて隙間を広げていく。
「よいしょっと……」
戦いに役立たずでついきている身の上としては文句など言えるはずもなかった。
一部が壊れ始めた壁は脆くて、殴りつけるだけでボロボロと壊れていった。
思いの外早く隙間を広げていくことができて、人1人ぐらいなら通れそうな穴になった。
「ひぃ……はぁ……」
ただ魔力も使えないので体力で頑張るしかないウロダは汗だくで腕がパンパンになってしまった。
疲れ切って地面に座り込んで荒く肩で息をする。
魔力が使えればもっと楽に穴を広げられたのに考えてしまう自分が情けない。
「体、鍛え直さなきゃな」
もっと若い頃冒険者を始めた頃は魔力にも頼りきりではなくてしっかりと体を鍛えていた。
いつの間にか魔力に頼って、こんな穴1つにも苦戦してしまっているようになってしまった。
おじさんと呼ばれてもしょうがないとウロダは首を振る。
「お疲れ様、おじさん」
ラストがコップをウロダに渡す。
部屋の隅では水が湧き出ていて、軽く確かめたところ飲める水であった。
一応ルフォンの解毒作用があるネックレスを近づけてみても反応はないので毒はなく、ウロダに渡してやったのだ。
ウロダは水を受け取ると一気に飲み干した。
地下を歩き通して、穴を広げて疲れた体に冷たい水が染みる。
「ぷはぁ、もう一杯!」
「いやだよ、自分で持ってきて」
「ははっ、そうだよな」
もうちょっとおじさんを労ってくれてもいいんじゃないかと思うけれど自分でできるなら自分で水汲みぐらいするべきだ。
ウロダは足は無事だし歩いていって水を飲む。
「ウロダさん、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だよ」
ラストと違ってルフォンは名前でちゃんと呼んでくれる。
良い子だなと思う反面、おじさん呼びで親しく接してくれるラストも悪くはないと受け入れつつもあった。
「よいしょっと」
休憩もそこそこに穴から中に入る。
下へ続いている階段。
正しい道なのかは分からないが階段にも明かりがあって下りるのには困らなく、これが大会に関係した場所であることは容易に推測できた。
「……待っててね、リューちゃん」
なんだかリュードが近い。
そんな不思議な予感を胸に抱きながらルフォンたちは階段を降り始めた。
「これからどうするも何も大会の関係者が悪魔ってなんだよ! つまりはあれか、この大会ってやつはまさか悪魔が……」
係員すら悪魔であり、これで地下も安全でないことが分かった。
大会の係員をやっていたものが悪魔で、外は今悪魔騒動が起きているということは偶然ではないだろう。
元々きな臭いこの大会がさらにきな臭く感じられてきた。
大会に悪魔が関わっているのではないかという疑念が全員の頭に浮かぶ。
「大会を狙ったものだと思ってたけどそうじゃなさそうだね……」
「そうだな……悪魔主催とか笑えない可能性が出てきたな」
「何が起きてるんだろうね……リューちゃん」
勝ったけど明るい雰囲気になれる要素がない。
「ルフォンさん、ラストさん!」
この先もまた地下をうろつくしかない。
また悪魔と出会うことも考えると気分が重たくなる。
とりあえず歩いて探そうなんて言葉も出せずにため息をついているとミュリウォが壁を覗き込んでいた。
何だろうと2人も行って見てみると壁に隙間ができていて中があるように見えた。
「なんだか……階段っぽいものが見えますよ」
ジーッと中を見てみると確かに階段のようなものが見える気がする。
悪魔の係員が腕を振り回して暴れた時に時折壁や床を叩きつけることがあった。
たまたまこの壁の後ろに階段があるところにも腕が当たっていて、壁がわずかに壊れていたのであった。
「何かありそうだね」
ルフォンが隠し階段を覗き込む。
隠された階段など何かがある雰囲気がビンビンにしている。
ルフォンたちはこの階段が次のステージに進むためのものだとは知らない。
リュードとトーイがいるのかも知らないけれど、ルフォンとラストの勘はこの階段が怪しいと告げている。
ルフォンの呟きに二人も同調してうなずく。
「でも、このままじゃ入れないね」
一部だけが崩れて、かろうじて向こう側が見える程度の隙間しかない。
通り抜けることなど出来はしない。
「おじさーん!」
「誰がおじさんだ!」
ウロダも若い子にはもうおじさんと呼ばれる年齢に差し掛かってきているがそれを認めたくない。
しばらく身も小綺麗にしていないので無精髭も伸びてきているししょうがないのだけど、名前はちゃんと歩きながら教えたのだから名前で呼んでほしいと思う。
「ここ、広げてくんない?」
「なんで俺が……」
「おじさん何もしてないし、武器もそれぐらいやるのに丁度良さそうだからね」
「うっ……分かったよ」
何もしていなかったことを引き合いに出されると弱い。
壁は最初にルフォンたちが入ってきたところよりも固そうでナイフで広げていくにはちょっと大変そう。
ウロダの大振りの剣なら力も入りやすいしナイフよりいいと思った。
剣を渡すからお前らでやれよ、とは言えずにウロダは隙間を中心に剣の柄で殴りつけて隙間を広げていく。
「よいしょっと……」
戦いに役立たずでついきている身の上としては文句など言えるはずもなかった。
一部が壊れ始めた壁は脆くて、殴りつけるだけでボロボロと壊れていった。
思いの外早く隙間を広げていくことができて、人1人ぐらいなら通れそうな穴になった。
「ひぃ……はぁ……」
ただ魔力も使えないので体力で頑張るしかないウロダは汗だくで腕がパンパンになってしまった。
疲れ切って地面に座り込んで荒く肩で息をする。
魔力が使えればもっと楽に穴を広げられたのに考えてしまう自分が情けない。
「体、鍛え直さなきゃな」
もっと若い頃冒険者を始めた頃は魔力にも頼りきりではなくてしっかりと体を鍛えていた。
いつの間にか魔力に頼って、こんな穴1つにも苦戦してしまっているようになってしまった。
おじさんと呼ばれてもしょうがないとウロダは首を振る。
「お疲れ様、おじさん」
ラストがコップをウロダに渡す。
部屋の隅では水が湧き出ていて、軽く確かめたところ飲める水であった。
一応ルフォンの解毒作用があるネックレスを近づけてみても反応はないので毒はなく、ウロダに渡してやったのだ。
ウロダは水を受け取ると一気に飲み干した。
地下を歩き通して、穴を広げて疲れた体に冷たい水が染みる。
「ぷはぁ、もう一杯!」
「いやだよ、自分で持ってきて」
「ははっ、そうだよな」
もうちょっとおじさんを労ってくれてもいいんじゃないかと思うけれど自分でできるなら自分で水汲みぐらいするべきだ。
ウロダは足は無事だし歩いていって水を飲む。
「ウロダさん、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だよ」
ラストと違ってルフォンは名前でちゃんと呼んでくれる。
良い子だなと思う反面、おじさん呼びで親しく接してくれるラストも悪くはないと受け入れつつもあった。
「よいしょっと」
休憩もそこそこに穴から中に入る。
下へ続いている階段。
正しい道なのかは分からないが階段にも明かりがあって下りるのには困らなく、これが大会に関係した場所であることは容易に推測できた。
「……待っててね、リューちゃん」
なんだかリュードが近い。
そんな不思議な予感を胸に抱きながらルフォンたちは階段を降り始めた。


