「リューちゃんのこと、知ってるんですか!」
「あっ、う、はい」
どうせならカッコよく対応したかったのだがルフォンとラストに詰められてウロダは動揺してしまう。
ウロダは男しかいないパーティーで活動していて、女性との関わりが多くなかった人であった。
上半身裸の奴隷たちと一緒でしばらく女性らしい女性との会話もなかった。
情けない話、どんな顔して良いか分からなかった。
特にルフォンとラストは美人なので、一瞬たりとも威勢の良さを発揮できずにウロダは小さくなってしまった。
こんなんじゃおじさんと言われても仕方ない。
「えと、あいつは俺と一緒の人に買われてきたんです。俺もあいつもこのくだらない大会とやらに出させられて、貴族の見せもんにされてます。一回戦生き残ったからあいつもどっかにいるんじゃないですかね?」
ウロダは正直にリュードのことを話す。
助けてもらった恩はあるので答えないわけにもいかない。
リュードと会った人に会った。
確実な生存の情報に2人の顔がパッと明るくなる。
「ずりーなぁ」
心配して、こんなところにまで助けに来てくれる旅の仲間がいる。
それも極上の美人。
羨ましいことこの上ない。
ウロダはルフォンとラストのキラキラした笑顔を直視できなくて、視線を落としてため息をついた。
「それにしたってどうやって入ってきたんだ?」
入ってきた入り口は塞がれてしまっていた。
ウロダも逃げ出せはしないかと試したけれど壊せはしなかったのだ。
ルフォンたちが入ってきたのは大会で使われていない入り口であり、すべての入り口を調べて塞ぐほどのことは大会でもやっていなかった。
だから入ってこられたのだけどウロダからすると分厚い石壁を破壊して入ってきた結構ヤバい女性たちにも見えた。
「まあいいや、でもいいのか?」
「何がですか?」
「あれだよ、あれ」
ウロダはカメの魔道具を顎でしゃくる。
「ずっとついてくるあれ、きっと監視用か何かだ。あんたらのことももうバレちまってるぜ」
「大丈夫だと思うよ。だって……」
ルフォンは地上で起きていることをウロダに簡単に説明する。
もはや監視なんて無意味だし、混乱している状況じゃしているとも思えない。
「悪魔って……」
ウロダは頭を抱えた。
知らない間に地上ではとんでもないことが起きている。
心配なのは奴隷の雇い主であるウバのことである。
ウバの身など案じはしないが、悪魔に襲われて死んでしまったら首輪が一生外せないかもしれない。
そもそも地上が荒れて地下の奴隷の存在が忘れられたらどうする。
ウロダはルフォンたちに出会って情報を聞けたからまだマシだったが、食料も持たないこの状況で飢え死するまで戦わされることになるのか。
大会はどうなるのだ。
そして自由は。
いや、生きてこのマヤノブッカから出られるのか。
ウロダの中で取り止めもなく考えは浮かんでは消えていく。
どの考えにも答えが出ないので疑問ばかりが浮かんで、心の余裕が無くなっていく。
「あ、あの!」
「んあ? なんだ?」
「ト、トーイという人は知りませんか? えっと……特徴はあんまりないんですけど」
「トーイ? あの細っこい奴か?」
「し、知ってるんですか!?」
リュードを知っているならトーイはどうか。
ミュリウォは勇気を出して聞いてみた。
もちろんトーイも一緒だったのでウロダは知っている。
ウロダの返事に質問したミュリウォの方が驚いてしまう。
リュードを探している人とトーイを探している人が一緒にいたというのは奇妙な縁だと思うが、きっとこれは必然なのだ。
だから生き残れなさそうなトーイもなぜなのか生き残っていたに違いない。
自分の仲間を助けちゃくれなかったカミサマなんて特に
信じちゃいないが何か運命めいたものをウロダに感じさせていた。
映像はイマイチ信用ならなかったけれど実際に知っている人から名前を聞くと確信を持てるとミュリウォの顔色も明るくなる。
「リュードがいること分かったし、頑張って探そっか」
「そだね」
「トーイもきっと一緒に……」
地上の様子もよろしくない。
休んでいる間にもリュードは行動を続けているだろうし地上の様子も変化しているかもしれない。
まずはリュードを見つけないことには何も始まらない。
移動を開始しようと立ち上がる。
「ま、待ってくれ。俺も連れて行ってくれないか?」
まだ疲れているし、考えも1つもまとまっていない。
けれどここで置いていかれたらダメな気がした。
ウロダは慌てて立ち上がってすがるような目を向ける。
魔力が使えない自分よりも強いルフォンやラストについていった方が絶対に安全である。
リュードの関係者なら悪いようにはしないだろうし、リュードのことを教えてやった小さい恩もある。
「いいよ、行こう」
リュードの知り合いならとりあえず助けておこうとルフォンは思った。
共闘した感じ悪い人でもなさそうなのでついてきたいというなら断ることはしない。
「あっ、ま、待ってくれ!」
さっさと歩き出したルフォンたちをウロダは追いかける。
一瞬他の奴隷たちから石でも回収をと思ったけれど地上がそんなことになっているのに大会なんて続けている余裕はない。
石を集めても無意味ならルフォンについていくのが優先だと後ろ髪引かれる思いはありながらそこを後にする。
「あっ、う、はい」
どうせならカッコよく対応したかったのだがルフォンとラストに詰められてウロダは動揺してしまう。
ウロダは男しかいないパーティーで活動していて、女性との関わりが多くなかった人であった。
上半身裸の奴隷たちと一緒でしばらく女性らしい女性との会話もなかった。
情けない話、どんな顔して良いか分からなかった。
特にルフォンとラストは美人なので、一瞬たりとも威勢の良さを発揮できずにウロダは小さくなってしまった。
こんなんじゃおじさんと言われても仕方ない。
「えと、あいつは俺と一緒の人に買われてきたんです。俺もあいつもこのくだらない大会とやらに出させられて、貴族の見せもんにされてます。一回戦生き残ったからあいつもどっかにいるんじゃないですかね?」
ウロダは正直にリュードのことを話す。
助けてもらった恩はあるので答えないわけにもいかない。
リュードと会った人に会った。
確実な生存の情報に2人の顔がパッと明るくなる。
「ずりーなぁ」
心配して、こんなところにまで助けに来てくれる旅の仲間がいる。
それも極上の美人。
羨ましいことこの上ない。
ウロダはルフォンとラストのキラキラした笑顔を直視できなくて、視線を落としてため息をついた。
「それにしたってどうやって入ってきたんだ?」
入ってきた入り口は塞がれてしまっていた。
ウロダも逃げ出せはしないかと試したけれど壊せはしなかったのだ。
ルフォンたちが入ってきたのは大会で使われていない入り口であり、すべての入り口を調べて塞ぐほどのことは大会でもやっていなかった。
だから入ってこられたのだけどウロダからすると分厚い石壁を破壊して入ってきた結構ヤバい女性たちにも見えた。
「まあいいや、でもいいのか?」
「何がですか?」
「あれだよ、あれ」
ウロダはカメの魔道具を顎でしゃくる。
「ずっとついてくるあれ、きっと監視用か何かだ。あんたらのことももうバレちまってるぜ」
「大丈夫だと思うよ。だって……」
ルフォンは地上で起きていることをウロダに簡単に説明する。
もはや監視なんて無意味だし、混乱している状況じゃしているとも思えない。
「悪魔って……」
ウロダは頭を抱えた。
知らない間に地上ではとんでもないことが起きている。
心配なのは奴隷の雇い主であるウバのことである。
ウバの身など案じはしないが、悪魔に襲われて死んでしまったら首輪が一生外せないかもしれない。
そもそも地上が荒れて地下の奴隷の存在が忘れられたらどうする。
ウロダはルフォンたちに出会って情報を聞けたからまだマシだったが、食料も持たないこの状況で飢え死するまで戦わされることになるのか。
大会はどうなるのだ。
そして自由は。
いや、生きてこのマヤノブッカから出られるのか。
ウロダの中で取り止めもなく考えは浮かんでは消えていく。
どの考えにも答えが出ないので疑問ばかりが浮かんで、心の余裕が無くなっていく。
「あ、あの!」
「んあ? なんだ?」
「ト、トーイという人は知りませんか? えっと……特徴はあんまりないんですけど」
「トーイ? あの細っこい奴か?」
「し、知ってるんですか!?」
リュードを知っているならトーイはどうか。
ミュリウォは勇気を出して聞いてみた。
もちろんトーイも一緒だったのでウロダは知っている。
ウロダの返事に質問したミュリウォの方が驚いてしまう。
リュードを探している人とトーイを探している人が一緒にいたというのは奇妙な縁だと思うが、きっとこれは必然なのだ。
だから生き残れなさそうなトーイもなぜなのか生き残っていたに違いない。
自分の仲間を助けちゃくれなかったカミサマなんて特に
信じちゃいないが何か運命めいたものをウロダに感じさせていた。
映像はイマイチ信用ならなかったけれど実際に知っている人から名前を聞くと確信を持てるとミュリウォの顔色も明るくなる。
「リュードがいること分かったし、頑張って探そっか」
「そだね」
「トーイもきっと一緒に……」
地上の様子もよろしくない。
休んでいる間にもリュードは行動を続けているだろうし地上の様子も変化しているかもしれない。
まずはリュードを見つけないことには何も始まらない。
移動を開始しようと立ち上がる。
「ま、待ってくれ。俺も連れて行ってくれないか?」
まだ疲れているし、考えも1つもまとまっていない。
けれどここで置いていかれたらダメな気がした。
ウロダは慌てて立ち上がってすがるような目を向ける。
魔力が使えない自分よりも強いルフォンやラストについていった方が絶対に安全である。
リュードの関係者なら悪いようにはしないだろうし、リュードのことを教えてやった小さい恩もある。
「いいよ、行こう」
リュードの知り合いならとりあえず助けておこうとルフォンは思った。
共闘した感じ悪い人でもなさそうなのでついてきたいというなら断ることはしない。
「あっ、ま、待ってくれ!」
さっさと歩き出したルフォンたちをウロダは追いかける。
一瞬他の奴隷たちから石でも回収をと思ったけれど地上がそんなことになっているのに大会なんて続けている余裕はない。
石を集めても無意味ならルフォンについていくのが優先だと後ろ髪引かれる思いはありながらそこを後にする。


