「あ、悪魔……これがですか?」
悪魔とは何か。
1つの魔物だとされながらも魔物とは異なった悪しき存在であると言われている。
この世の中には真人族と魔人族、そして魔物と大きく分けられているが、悪魔は魔人族ではなく魔物でもない第四の存在であると言う者もいる。
悪魔そのものは多くのことが謎に包まれている。
魔力に優れて魔法に精通していて、高い知能がある。
性格は残虐で非常に残忍で、そして自分本位。
どこから来るのかも不明だが悪魔の国、あるいは悪魔の世界があるとされている。
けれども真人族にも魔人族にもそれを知るものはいない。
しかし1つ確実に言えることがある。
悪魔は敵。
真人族にしても魔人族にしても悪魔はどちらにとっても敵なのである。
第四の勢力とも言える悪魔は自分たち以外の種族を下に見て、その支配を試みている。
子供でも知っている絶対的な敵が悪魔なのである。
ミュリウォは顔を青くした。
悪魔が現れる時、その場所はひどく荒れ果てる。
最悪の事態であって、多くの命が失われる出来事が悪魔の出現となる。
悪魔が現れると普段は敵同士の者でも手を取り合って悪魔を倒しにかかるので悪魔が最終的にどこかに定着したことはないが後に残ったものは大きな被害だけとなる。
どちらかといえば真人族の方が被害にあってきたので真人族の方が悪魔を恨んで嫌っている。
田舎暮らしのルフォンは悪魔と聞いても馴染みが薄いが、ラストなんかは施政者としての教育も受けてきたので悪魔の所業も聞き及んでいる。
悪魔の甘言に惑わされて心の隙間に入り込まれないようにと真面目な顔で注意されたのをラストは思い出した。
狡猾で人の弱みに漬け込んで支配しようとする。
一度従ってしまうともう後戻りはできない悪魔の契約の話は記憶の中にも強く残っている。
「血の色も気持ちが悪いね」
最下級の悪魔はビクエという。
知能が低く、非常に好戦的で攻撃性が高く、人を見かけると襲いかかってくる。
ここまで来るとほとんど魔物とは変わりがないのだけれど一応悪魔だとされている。
そんな最下級とはいえ悪魔がマヤノブッカの上空を飛び回っている。
ビクエはそこら辺にいるものではなく、自然発生するものでもない。
こんなところにビクエがいるということは、もっと上級の悪魔がいる可能性があった。
マヤノブッカのところどころで魔法が打ち上がってビクエが撃ち落とされている。
状況の把握までできなくても脅威が目の前にいるので戦い始めている人たちがいるようだ。
貴族の大会が行われているので警備もいるし貴族個人が連れている護衛なんかもそこら中にいるので、そうした人たちが戦っているのだろう。
「早くお三方も避難なされた方が……」
「ここには、マヤノブッカにはリューちゃんがいる。だから私は行かないよ」
このような事態が起きたということはリュードの身にも危機が迫っている可能性がある。
今ならまだマヤノブッカから脱出するチャンスはあるだろうが、リュードを見捨てて逃げるつもりなどルフォンには毛頭ない。
「私だって」
「ト、トーイが頑張っているんですから私も逃げません!」
「……分かりました。お伝えしようとしていた情報ですが、リュードさんがいると思われる場所が分かりました」
「えっ!」
「この都市の地下には巨大な迷路のような空間があるのですがそこに奴隷たちは入れられています。どこから入れられたのかは分かりませんがそのどこかにはいます。いくつか地下に繋がる入り口も目星を付けてあります。もし皆さんが避難しない場合はこのことをお教えしろと言われておりました。こちらを」
「これは何ですか?」
「地下に繋がる入り口がある場所を記してあります」
情報屋の女性から渡されたのは畳まれた紙であった
広げて見るとマヤノブッカの地図でいくつかの場所に赤く丸で印が付けてある。
「奴隷たちが入った入り口は封鎖されていたり、大会の監視下にありますが個人で掘ったものや今回使われていないものもあります。どうせ逃げないだろうからリュード様のところにいくと良い、なんてことも支部長がおっしゃっていました」
「リューちゃんのところに行ける……」
「地下は広いのでどこにいるかまでは分かりません。また、この赤い印も直接入り口の状態まで確かめたものではないので使えないところもあるかもしれません」
「うん、自分で確かめてみるよ。カディナさんにお礼、伝えておいて」
「仕事ですから。私はこの状況を外に伝えなければいけないので失礼します。お気をつけてください」
「情報屋さんも気をつけてね」
深々と頭を下げると情報屋の女性は走り去った。
「行こう。リューちゃんとトーイさんのところに」
最後に見た時にはリュードとトーイは一緒にいた。
多少親しげな様子だったし、非力なトーイをリュードが放っておくはずがない。
今も一緒にいる可能性が高い。
不思議な偶然だとミュリウォは思った。
リュードを探すルフォンとラストがトーイを探すミュリウォと出会い、リュードとトーイもまた出会っていた。
2人まとめて見つけ出せるかもしれない。
「その前に荷物持ってかなきゃね」
もう宿に戻ってくることはないかもしれない。
リュードを見つけたらそのままこんなところからは脱出するつもりなので宿に戻って荷物をまとめる。
「えっと……近いところはここかな?」
まずは1番近い印のところに向かった。
ビクエに見つからないように姿勢を低く隠れるようにしながら出来るだけ素早く移動する。
印の場所にあったのはごく普通の一軒家であった。
本当にこんな町中の一軒家に入り口があるのか疑わしたかった。
けれど個人で掘ったものもあると言っていた。
もしかしたらこんな一軒家でも個人的に掘った地下道があるのかもしれないと思ったがドアが開かない。
まだ人が中にいるようで、この騒ぎで閉じこもっているようだ。
無理に人がいる家に押し入る気はない。
悪魔とは何か。
1つの魔物だとされながらも魔物とは異なった悪しき存在であると言われている。
この世の中には真人族と魔人族、そして魔物と大きく分けられているが、悪魔は魔人族ではなく魔物でもない第四の存在であると言う者もいる。
悪魔そのものは多くのことが謎に包まれている。
魔力に優れて魔法に精通していて、高い知能がある。
性格は残虐で非常に残忍で、そして自分本位。
どこから来るのかも不明だが悪魔の国、あるいは悪魔の世界があるとされている。
けれども真人族にも魔人族にもそれを知るものはいない。
しかし1つ確実に言えることがある。
悪魔は敵。
真人族にしても魔人族にしても悪魔はどちらにとっても敵なのである。
第四の勢力とも言える悪魔は自分たち以外の種族を下に見て、その支配を試みている。
子供でも知っている絶対的な敵が悪魔なのである。
ミュリウォは顔を青くした。
悪魔が現れる時、その場所はひどく荒れ果てる。
最悪の事態であって、多くの命が失われる出来事が悪魔の出現となる。
悪魔が現れると普段は敵同士の者でも手を取り合って悪魔を倒しにかかるので悪魔が最終的にどこかに定着したことはないが後に残ったものは大きな被害だけとなる。
どちらかといえば真人族の方が被害にあってきたので真人族の方が悪魔を恨んで嫌っている。
田舎暮らしのルフォンは悪魔と聞いても馴染みが薄いが、ラストなんかは施政者としての教育も受けてきたので悪魔の所業も聞き及んでいる。
悪魔の甘言に惑わされて心の隙間に入り込まれないようにと真面目な顔で注意されたのをラストは思い出した。
狡猾で人の弱みに漬け込んで支配しようとする。
一度従ってしまうともう後戻りはできない悪魔の契約の話は記憶の中にも強く残っている。
「血の色も気持ちが悪いね」
最下級の悪魔はビクエという。
知能が低く、非常に好戦的で攻撃性が高く、人を見かけると襲いかかってくる。
ここまで来るとほとんど魔物とは変わりがないのだけれど一応悪魔だとされている。
そんな最下級とはいえ悪魔がマヤノブッカの上空を飛び回っている。
ビクエはそこら辺にいるものではなく、自然発生するものでもない。
こんなところにビクエがいるということは、もっと上級の悪魔がいる可能性があった。
マヤノブッカのところどころで魔法が打ち上がってビクエが撃ち落とされている。
状況の把握までできなくても脅威が目の前にいるので戦い始めている人たちがいるようだ。
貴族の大会が行われているので警備もいるし貴族個人が連れている護衛なんかもそこら中にいるので、そうした人たちが戦っているのだろう。
「早くお三方も避難なされた方が……」
「ここには、マヤノブッカにはリューちゃんがいる。だから私は行かないよ」
このような事態が起きたということはリュードの身にも危機が迫っている可能性がある。
今ならまだマヤノブッカから脱出するチャンスはあるだろうが、リュードを見捨てて逃げるつもりなどルフォンには毛頭ない。
「私だって」
「ト、トーイが頑張っているんですから私も逃げません!」
「……分かりました。お伝えしようとしていた情報ですが、リュードさんがいると思われる場所が分かりました」
「えっ!」
「この都市の地下には巨大な迷路のような空間があるのですがそこに奴隷たちは入れられています。どこから入れられたのかは分かりませんがそのどこかにはいます。いくつか地下に繋がる入り口も目星を付けてあります。もし皆さんが避難しない場合はこのことをお教えしろと言われておりました。こちらを」
「これは何ですか?」
「地下に繋がる入り口がある場所を記してあります」
情報屋の女性から渡されたのは畳まれた紙であった
広げて見るとマヤノブッカの地図でいくつかの場所に赤く丸で印が付けてある。
「奴隷たちが入った入り口は封鎖されていたり、大会の監視下にありますが個人で掘ったものや今回使われていないものもあります。どうせ逃げないだろうからリュード様のところにいくと良い、なんてことも支部長がおっしゃっていました」
「リューちゃんのところに行ける……」
「地下は広いのでどこにいるかまでは分かりません。また、この赤い印も直接入り口の状態まで確かめたものではないので使えないところもあるかもしれません」
「うん、自分で確かめてみるよ。カディナさんにお礼、伝えておいて」
「仕事ですから。私はこの状況を外に伝えなければいけないので失礼します。お気をつけてください」
「情報屋さんも気をつけてね」
深々と頭を下げると情報屋の女性は走り去った。
「行こう。リューちゃんとトーイさんのところに」
最後に見た時にはリュードとトーイは一緒にいた。
多少親しげな様子だったし、非力なトーイをリュードが放っておくはずがない。
今も一緒にいる可能性が高い。
不思議な偶然だとミュリウォは思った。
リュードを探すルフォンとラストがトーイを探すミュリウォと出会い、リュードとトーイもまた出会っていた。
2人まとめて見つけ出せるかもしれない。
「その前に荷物持ってかなきゃね」
もう宿に戻ってくることはないかもしれない。
リュードを見つけたらそのままこんなところからは脱出するつもりなので宿に戻って荷物をまとめる。
「えっと……近いところはここかな?」
まずは1番近い印のところに向かった。
ビクエに見つからないように姿勢を低く隠れるようにしながら出来るだけ素早く移動する。
印の場所にあったのはごく普通の一軒家であった。
本当にこんな町中の一軒家に入り口があるのか疑わしたかった。
けれど個人で掘ったものもあると言っていた。
もしかしたらこんな一軒家でも個人的に掘った地下道があるのかもしれないと思ったがドアが開かない。
まだ人が中にいるようで、この騒ぎで閉じこもっているようだ。
無理に人がいる家に押し入る気はない。


