「おっと! 91番と333番が出会ってしまったー! すでに1人を倒している91番は天井に張り付いて隙を伺っていましたが333番はどうやらそれを察知していたようです!」
「むっ……」
話によると333番がリュードであることがルフォンにも分かった。
リュードのことを番号で呼ぶなんてと怒りがわいてくる。
リュード本人としてはこんなところで名前を連呼されるのは嫌なので番号でよかったなんて後に思うのだけど。
「リューちゃん頑張れ!」
ルフォンたちは映像に釘付けになる。
見る限り部屋はあまり広くなくて槍を取り回すには厳しいだろうなとルフォンは思った。
リュード自身も槍がメインの武器ではないので少し大変そうだ。
相手の男はナイフを持っていて距離を詰めてリュードの槍を封じている。
リュードは落ちてきた男の攻撃を上手く回避して無理に槍を使うことはなかった。
少し回避の時間が続いたけれど相手を見切ったように動いたリュードは男の腕を封じると顔を殴りつけた。
「やった!」
男はグッタリとして動かなくなる。
あっさりと勝ってしまって心配するまでもなかった。
「この勝負333番が勝利しましたー! なんと持っている槍を使わずに勝ってしまいました。これはこの先も期待できますね!」
リュードの戦いを皮切りに他の映像でも戦いが始まっている様子が映し出される。
中には戦いだけでなく話を持ちかけている人もいたりもしている。
ただし音声については聞こえないので何をしているかまでは分からない。
戦っているところを中心に映しているので戦い終えたリュードの出番は少なくなった。
「ハッキリしたね!」
「うん、リューちゃんは生きていて、この大会に出させられている」
魔道具の使える距離があるのでおそらくコロシアムからもそれほど遠くないところにいることが予想できる。
ただ、今ルフォンたちにできることはない。
時折映し出されるリュードの映像を見て無事を祈ることしかできないのである。
「あ……あれは……あれはトーイだわ!」
映像が移り変わって複数人の男たちが映し出された。
何かの話し合いをしていた連中はいつのまにか何人かのグループをなしていた。
互いに争うのではなくて手を取り合って徒党を組んでいる中の一人にトーイがいた。
ミュリウォの目から涙が流れる。
半ば諦めていた。
見ていると周りよりも明らかに貧弱なのにどうにか生き残っている。
状況が状況なだけに完全に無事だとは言えないがひとまずケガはなさそうである。
重たそうにハンマーを持つ姿は元気そうであった。
「よかったじゃん!」
これでトーイが見つからなかったら気まずさが凄まじいことになるところだった。
リュードもトーイも同じ人攫いに攫われたのだから同じ大会に出ている可能性があるという予想は大当たりであった。
ラストは素直にトーイも見つかったことを喜び、ミュリウォはよかったと繰り返し呟きながら泣いていた。
「さてさて、どーやらこの人たちは手を取り合って魔物に挑むようです! そこで1つ盛り上げましょう。魔物が勝つか、奴隷が勝つか、ベット願いまーす! どちらが勝つか賭けにしましょー! 賭けるのはお早めにー。じゃないと戦いが始まってしまいますからね」
司会の煽りと同時に箱を持った仮面の係員が客席を回り始める。
どうやら手に持った箱の中にお金を入れて奴隷が勝つか、魔物が勝つかを賭けるようである。
ルフォンたちは賭けに乗ることはなかったけれど意外と賭けている人は多かった。
あの人数が集まっているなら勝てるだろうと奴隷に賭けている人もいる。
そして映像は変わり、これから戦うと見られる魔物が映し出された。
背中が燃えている奇妙なネズミであった。
見た目には結構強そうで早くも奴隷にかけたことを後悔している人がいた。
トーイが奴隷の集団に加わった後もさらに何人かが加入していた。
そして十分な人数が集まったと判断したのか奴隷たちはネズミのところに向かっていた。
「どうして!」
角からネズミの様子を伺う奴隷たち。
一斉に襲いかかるのかと思っていたら他の奴隷に押し出されるようにトーイが出てきた。
ミュリウォが悲鳴のような声をあげる。
奴隷の集団の中にいても不安であるのに、一人だけで前に出るなんてどうかしている。
ミュリウォの知っているトーイならあんな重たそうなハンマーすら振り回せず、魔物と戦うこともままならないはずだとミュリウォはトーイの無事をひたすらに祈る。
一瞬悲観的な表情を浮かべたトーイは後ろの奴隷たちを見るが、諦めたように首を振ってネズミの方に向き直った。
トーイがハンマーをフラフラと振り上げてネズミの方に走り出した。
ヒョロヒョロと振り下ろされたハンマーは目測を誤りネズミにすら届かなかった。
例え脅威じゃなさそうでも手加減するネズミではない。
すぐさまトーイは逃げ出したが手には重たいハンマーが握られたままで逃げ足は遅い。
せめて捨てれば少しは速くなりそうなものを抜けに抜けている。
会場に笑いが起きる。
心配と恥ずかしさで顔を真っ赤にしているミュリウォだがトーイから目を離すわけにはいかなかった。
追いかけるネズミがあっという間にトーイに迫り、トーイがやられかけた。
「むっ……」
話によると333番がリュードであることがルフォンにも分かった。
リュードのことを番号で呼ぶなんてと怒りがわいてくる。
リュード本人としてはこんなところで名前を連呼されるのは嫌なので番号でよかったなんて後に思うのだけど。
「リューちゃん頑張れ!」
ルフォンたちは映像に釘付けになる。
見る限り部屋はあまり広くなくて槍を取り回すには厳しいだろうなとルフォンは思った。
リュード自身も槍がメインの武器ではないので少し大変そうだ。
相手の男はナイフを持っていて距離を詰めてリュードの槍を封じている。
リュードは落ちてきた男の攻撃を上手く回避して無理に槍を使うことはなかった。
少し回避の時間が続いたけれど相手を見切ったように動いたリュードは男の腕を封じると顔を殴りつけた。
「やった!」
男はグッタリとして動かなくなる。
あっさりと勝ってしまって心配するまでもなかった。
「この勝負333番が勝利しましたー! なんと持っている槍を使わずに勝ってしまいました。これはこの先も期待できますね!」
リュードの戦いを皮切りに他の映像でも戦いが始まっている様子が映し出される。
中には戦いだけでなく話を持ちかけている人もいたりもしている。
ただし音声については聞こえないので何をしているかまでは分からない。
戦っているところを中心に映しているので戦い終えたリュードの出番は少なくなった。
「ハッキリしたね!」
「うん、リューちゃんは生きていて、この大会に出させられている」
魔道具の使える距離があるのでおそらくコロシアムからもそれほど遠くないところにいることが予想できる。
ただ、今ルフォンたちにできることはない。
時折映し出されるリュードの映像を見て無事を祈ることしかできないのである。
「あ……あれは……あれはトーイだわ!」
映像が移り変わって複数人の男たちが映し出された。
何かの話し合いをしていた連中はいつのまにか何人かのグループをなしていた。
互いに争うのではなくて手を取り合って徒党を組んでいる中の一人にトーイがいた。
ミュリウォの目から涙が流れる。
半ば諦めていた。
見ていると周りよりも明らかに貧弱なのにどうにか生き残っている。
状況が状況なだけに完全に無事だとは言えないがひとまずケガはなさそうである。
重たそうにハンマーを持つ姿は元気そうであった。
「よかったじゃん!」
これでトーイが見つからなかったら気まずさが凄まじいことになるところだった。
リュードもトーイも同じ人攫いに攫われたのだから同じ大会に出ている可能性があるという予想は大当たりであった。
ラストは素直にトーイも見つかったことを喜び、ミュリウォはよかったと繰り返し呟きながら泣いていた。
「さてさて、どーやらこの人たちは手を取り合って魔物に挑むようです! そこで1つ盛り上げましょう。魔物が勝つか、奴隷が勝つか、ベット願いまーす! どちらが勝つか賭けにしましょー! 賭けるのはお早めにー。じゃないと戦いが始まってしまいますからね」
司会の煽りと同時に箱を持った仮面の係員が客席を回り始める。
どうやら手に持った箱の中にお金を入れて奴隷が勝つか、魔物が勝つかを賭けるようである。
ルフォンたちは賭けに乗ることはなかったけれど意外と賭けている人は多かった。
あの人数が集まっているなら勝てるだろうと奴隷に賭けている人もいる。
そして映像は変わり、これから戦うと見られる魔物が映し出された。
背中が燃えている奇妙なネズミであった。
見た目には結構強そうで早くも奴隷にかけたことを後悔している人がいた。
トーイが奴隷の集団に加わった後もさらに何人かが加入していた。
そして十分な人数が集まったと判断したのか奴隷たちはネズミのところに向かっていた。
「どうして!」
角からネズミの様子を伺う奴隷たち。
一斉に襲いかかるのかと思っていたら他の奴隷に押し出されるようにトーイが出てきた。
ミュリウォが悲鳴のような声をあげる。
奴隷の集団の中にいても不安であるのに、一人だけで前に出るなんてどうかしている。
ミュリウォの知っているトーイならあんな重たそうなハンマーすら振り回せず、魔物と戦うこともままならないはずだとミュリウォはトーイの無事をひたすらに祈る。
一瞬悲観的な表情を浮かべたトーイは後ろの奴隷たちを見るが、諦めたように首を振ってネズミの方に向き直った。
トーイがハンマーをフラフラと振り上げてネズミの方に走り出した。
ヒョロヒョロと振り下ろされたハンマーは目測を誤りネズミにすら届かなかった。
例え脅威じゃなさそうでも手加減するネズミではない。
すぐさまトーイは逃げ出したが手には重たいハンマーが握られたままで逃げ足は遅い。
せめて捨てれば少しは速くなりそうなものを抜けに抜けている。
会場に笑いが起きる。
心配と恥ずかしさで顔を真っ赤にしているミュリウォだがトーイから目を離すわけにはいかなかった。
追いかけるネズミがあっという間にトーイに迫り、トーイがやられかけた。


