行き詰まって困っている時に同じ境遇そうな人がいたのでどうにか協力体制を築けないかと思ったのだ。

「私1人ではもうどうしようもなくて……お願いです、彼を助けたいんです。助けてください!」

 一般人のミュリウォでは貴族に太刀打ちすることもできない。
 誰でもいいから助けや仲間が欲しいとミュリウォは明らかに年下の女の子たちに頭を下げた。

 話の内容にウソはなさそうだとルフォンは思った。
 誘拐話で同情をひいてルフォンたちに近づいて利益なんかあるはずもない。

 ルフォンが視線でラストに問いかける。
 トゥジュームについてルフォンたちはよく知らない。

 そもそもトゥジュームは通り過ぎるだけのつもりだったから深くも調べていないので地理に関しても不安がある。
 この国に長く住んでいるテミュンの助けがあればスムーズに行くこともあるのではとルフォンは考えた。

「目的は同じだしね……いーと思うよ?」

 それに行き詰まっていたところに新たな情報をくれた。
 一緒に行動してもいいんじゃないかとラストは思った。

「私たちも私たちで助けたい人がいるからそっちが優先だよ?」

「もちろんです。何となくですがあなたたちと一緒なら彼のところにたどり着ける、そんな感じがするんです」

「……うん、分かった。一緒に大切な人を取り戻そう」

「……ありがとうございます!」

 ルフォンとラストは婚約者を人攫いに誘拐された女性のミュリウォと行動を共にすることに決めた。

「でもさ、これからどーするの?」

 ミュリウォによると人攫いは貴族の危ない催し物と関わりがある可能性がある。
 つまりはリュードやトーイも貴族の元にいると思われる。

 しあしまだ可能性が濃厚ぐらいのものでこの国にも貴族は多く存在している。
 全ての貴族が関わっていることは到底あり得ない。

 催しだか大会だかもミュリウォが調べた噂の域も出ない。
 あったとしても時間も場所も分からない。

 何も分からない時に比べれば一歩前進したが次の一歩をどこに踏み出せばいいのか。
 片っ端から貴族を締め上げていってしまえばルフォンたちがお尋ね者になってしまう。

「……そうだね、まずは首都であるポータリアに行こうか」

 困ったら大都市に向かえ。
 これもリュードの教えである。

 何かに困ることがあって方針が定まらないならとりあえず大都市に向かうのだ。
 人も物も大きな都市には集まるので情報や出会いも集まってくる。

 貴族に関してなら田舎よりも大都市の方がいいことは言うまでもない。
 リュードがいた時は首都には寄らないつもりだったけれど事態が事態なだけに一度大きな都市である首都に向かうことにした。

「待っててね、リューちゃん」