「目指せドワガル!」
旅に出ることが出来る!
しかもリュードとルフォンと一緒!
これほど最高なことは人生に他にないとラストは思った。
後顧の憂いであったベギーオもブジャンもいなくなった。
雷の神様の神殿を建てることも正式に決定して、雷の神様の復興の中心地になる国を守ってくれるとモノランも約束もしてくれた。
ついでにラストがいなければレストも気兼ねなくバロワとの失われた時間を埋めていけることだろう。
鼻歌でも歌いながら歩きたい気分のラストは腰に剣まで差している。
弓矢がメインの武器であることに変わりはないけれども、扱うことのできずに遠ざけていた剣や槍といった武器にも憧れがあった。
これまで使っていた弓はデュラハンによって壊されてしまった。
とりあえずで代用の弓は用意したが特注品に比べると劣ってしまう。
ムチも持ってはいるけど殺傷力に関しては刃物の1つでも持っておいた方がいい。
久々に持った剣は重くて子供の頃に習ったことは全部忘れてしまっていたがやっぱり剣が武器としては主流である。
それに剣ならばという理由が一つあった。
剣ならリュードが扱える。
扱えるなら基礎的なことも教えることができる。
なので日が落ちてきて野営の準備をした後にリュードが少しずつラストに剣を教えてあげていた。
寝るまでの短い時間、次の日に影響が出ない程度にラストは剣の鍛錬にも励んでいた。
そうしながら目指している行き先はドワーフの国ドワガルである。
「はぁ……これはなかなか大変だな……」
この世界には様々な文化を持つ国が存在する。
一般的な価値観はリュードが前にいた世界よりもやや古い考え方が主流で男性優位な価値観が多い。
これには魔物という存在も大きい。
常に身の回りに脅威が存在するために戦える人がいなければ生活は成り立たない。
魔物と戦う冒険者は男性が多いので自然と男性優位な社会になってしまうのだ。
ただそうではない国も存在する。
全く異なる価値観や逆とも言っていい価値観を持つ国も中には存在している。
これまでの旅の中ではリュードとルフォンは平等であった。
泊まる宿も相談して二人で決めて役割分担もちゃんと行ってやってきていた。
何か人と話すときにはリュードが前に出ることは多いぐらいで、勝手気ままに何かをやったりすることは少ない。
何かの食材や香辛料を見つけてルフォンがこっそり買ってきたりすることもあった。
しかしそれは個人の自由で使えるお金の範囲なので問題もない。
道が広ければ並んで歩くが狭ければリュードが人避けも兼ねて前を歩くのがいつものことであるが、今はリュードが一歩下がってルフォンとラストの後ろを歩いている。
「宿はどうする、リューちゃん?」
「好きにして……ください」
リュードたちが今いるのはトゥジュームという国で町を見回る兵士や歩いている住人の多くは女性である。
普通の国では小さいお店では男女どちらの人もお店をやっているものだけど、大きいお店では男性が店主で女性が店員ということも多い。
けれどこの国では女性が店主で男性が店員で逆なことはほとんどない。
なぜならこのトゥジュームという国はかなり特殊な国であるからだ。
トゥジュームにおいては女尊男卑、女性優位であり男性よりも女性の方が完全に上の立場にある国なのである。
どうしてトゥジュームという国に来ることになったのか。
ドワガルはティアローザと友好国ではあるが決して物理的な距離が近い国ではなかった。
むしろ遠いとすらいえる距離がある。
なのでドワガルまで長い旅路を行かねばならず、トゥジュームはその途中にある国だったのである。
「そんな言葉遣いじゃなくてもよくない?」
「いや……周りの目が冷たいんだよ」
リュードとルフォンとラストの間に上下はないのでタメ口でも何ら問題はない。
普通の国なら誰も何も思わず普通の会話に視線を向けられることもない。
しかしトゥジュームでは違う。
女尊男卑な価値観のあるトゥジュームでは男であるリュードが女であるルフォンやラストにタメ口を使っただけで周りがいい顔をしない。
男のくせに女にタメ口を使っていると渋い顔をして視線を向けられる。
非難されるような視線で見られてはリュードも気まずい気分になる。
郷に入っては郷に従えと偉い人が言っていた。
悪目立ちしてしまうぐらいなら目立たぬ方がいい。
意地になってタメ口を貫き通すぐらいなら周りが何も思わないようにちゃんと話せばいいのだ。
どうやらリュードがちゃんとしていないとチクリと注意されるのはルフォンたちらしく、男を教育していないのかと言われるみたいだ。
明らかに外から来た冒険者に価値観を押し付けるのはどうかと思うが道行く人がみんなそんなだから一々反論もしてられない。
ここは少し我慢である。
「疲れた!」
「なんだか新鮮だけど落ち着かないね」
「私はこんなリュードでもいいかな?」
「勘弁してくれ……」
リュードは宿のベッドに倒れ込む。
疲れる理由はただ言葉遣いだけではない。
決して女性より前に出ず、常に恭しい態度を取って丁寧な言葉遣いで接する。
奴隷でもあるまいしと思うのだけど周りからじろじろと見られるのは落ち着かないのでしょうがない。
ただしすごく気疲れしてしまうのである。
旅に出ることが出来る!
しかもリュードとルフォンと一緒!
これほど最高なことは人生に他にないとラストは思った。
後顧の憂いであったベギーオもブジャンもいなくなった。
雷の神様の神殿を建てることも正式に決定して、雷の神様の復興の中心地になる国を守ってくれるとモノランも約束もしてくれた。
ついでにラストがいなければレストも気兼ねなくバロワとの失われた時間を埋めていけることだろう。
鼻歌でも歌いながら歩きたい気分のラストは腰に剣まで差している。
弓矢がメインの武器であることに変わりはないけれども、扱うことのできずに遠ざけていた剣や槍といった武器にも憧れがあった。
これまで使っていた弓はデュラハンによって壊されてしまった。
とりあえずで代用の弓は用意したが特注品に比べると劣ってしまう。
ムチも持ってはいるけど殺傷力に関しては刃物の1つでも持っておいた方がいい。
久々に持った剣は重くて子供の頃に習ったことは全部忘れてしまっていたがやっぱり剣が武器としては主流である。
それに剣ならばという理由が一つあった。
剣ならリュードが扱える。
扱えるなら基礎的なことも教えることができる。
なので日が落ちてきて野営の準備をした後にリュードが少しずつラストに剣を教えてあげていた。
寝るまでの短い時間、次の日に影響が出ない程度にラストは剣の鍛錬にも励んでいた。
そうしながら目指している行き先はドワーフの国ドワガルである。
「はぁ……これはなかなか大変だな……」
この世界には様々な文化を持つ国が存在する。
一般的な価値観はリュードが前にいた世界よりもやや古い考え方が主流で男性優位な価値観が多い。
これには魔物という存在も大きい。
常に身の回りに脅威が存在するために戦える人がいなければ生活は成り立たない。
魔物と戦う冒険者は男性が多いので自然と男性優位な社会になってしまうのだ。
ただそうではない国も存在する。
全く異なる価値観や逆とも言っていい価値観を持つ国も中には存在している。
これまでの旅の中ではリュードとルフォンは平等であった。
泊まる宿も相談して二人で決めて役割分担もちゃんと行ってやってきていた。
何か人と話すときにはリュードが前に出ることは多いぐらいで、勝手気ままに何かをやったりすることは少ない。
何かの食材や香辛料を見つけてルフォンがこっそり買ってきたりすることもあった。
しかしそれは個人の自由で使えるお金の範囲なので問題もない。
道が広ければ並んで歩くが狭ければリュードが人避けも兼ねて前を歩くのがいつものことであるが、今はリュードが一歩下がってルフォンとラストの後ろを歩いている。
「宿はどうする、リューちゃん?」
「好きにして……ください」
リュードたちが今いるのはトゥジュームという国で町を見回る兵士や歩いている住人の多くは女性である。
普通の国では小さいお店では男女どちらの人もお店をやっているものだけど、大きいお店では男性が店主で女性が店員ということも多い。
けれどこの国では女性が店主で男性が店員で逆なことはほとんどない。
なぜならこのトゥジュームという国はかなり特殊な国であるからだ。
トゥジュームにおいては女尊男卑、女性優位であり男性よりも女性の方が完全に上の立場にある国なのである。
どうしてトゥジュームという国に来ることになったのか。
ドワガルはティアローザと友好国ではあるが決して物理的な距離が近い国ではなかった。
むしろ遠いとすらいえる距離がある。
なのでドワガルまで長い旅路を行かねばならず、トゥジュームはその途中にある国だったのである。
「そんな言葉遣いじゃなくてもよくない?」
「いや……周りの目が冷たいんだよ」
リュードとルフォンとラストの間に上下はないのでタメ口でも何ら問題はない。
普通の国なら誰も何も思わず普通の会話に視線を向けられることもない。
しかしトゥジュームでは違う。
女尊男卑な価値観のあるトゥジュームでは男であるリュードが女であるルフォンやラストにタメ口を使っただけで周りがいい顔をしない。
男のくせに女にタメ口を使っていると渋い顔をして視線を向けられる。
非難されるような視線で見られてはリュードも気まずい気分になる。
郷に入っては郷に従えと偉い人が言っていた。
悪目立ちしてしまうぐらいなら目立たぬ方がいい。
意地になってタメ口を貫き通すぐらいなら周りが何も思わないようにちゃんと話せばいいのだ。
どうやらリュードがちゃんとしていないとチクリと注意されるのはルフォンたちらしく、男を教育していないのかと言われるみたいだ。
明らかに外から来た冒険者に価値観を押し付けるのはどうかと思うが道行く人がみんなそんなだから一々反論もしてられない。
ここは少し我慢である。
「疲れた!」
「なんだか新鮮だけど落ち着かないね」
「私はこんなリュードでもいいかな?」
「勘弁してくれ……」
リュードは宿のベッドに倒れ込む。
疲れる理由はただ言葉遣いだけではない。
決して女性より前に出ず、常に恭しい態度を取って丁寧な言葉遣いで接する。
奴隷でもあるまいしと思うのだけど周りからじろじろと見られるのは落ち着かないのでしょうがない。
ただしすごく気疲れしてしまうのである。