「分かったよ。ラストの領地は私に任せて。だけど絶対に、レストを助けてね」
クゼナも石化病が治っていたらとは思わずにはいられない。
けれども足手まといになってしまうのはクゼナとしても本望ではない。
レストとラストのピンチに自分で出て行きたいと思わずにはいられないが、側にいるだけが助けるということではない。
今はリュードやルフォン、ヴィッツがラストの側にいる。
ならばとクゼナは思う。
自分の出来ることでラストを助ける。
少しでもラストが領地のことを心配せずにレストのために全力を尽くせるように、クゼナは自分の出来ることでラストを助けようと思った。
「必ず助けて戻ってくるよ。そしたら今度こそ王城に行ってお祝いしよ」
「うん。……ラストとレストの2人を頼みます」
石化病を治す方法も見つけてくれたリュードとルフォンなら。
頼れるのはこの二人しかいないけどこの二人に頼れるならきっと大丈夫であるもクゼナも信じられた。
クゼナはリュードとルフォンの二人に深々と頭を下げた。
馬車の中でもラストは自慢げにリュードのことを話していたほどだから直接の活躍を見ていなくても力は分かっているのだ。
「任せとけ。こんな卑怯な野郎に負けはしないさ」
レストを誘拐するなんてバカな真似をしたものだ。
大人しく国から出て一生怯えて暮らしていればよかったものをとリュードは思う。
レストを取り戻してベギーオに罪を償わせる。
クゼナに領地のことを任せてリュードたちはすぐさまマガミタ山に向かって出発した。
「それにしても目的は何だろな」
クゼナも降りたし全速力で走るためにリュードも馬車の中にいた。
ラストを呼びつけたいことは分かるのだけど、その先をどうしたいのか理解に苦しむ。
問題を起こした挙句に逃げ出したのはベギーオでそれらラストのせいじゃない。
ラストに何かをしたとしてもベギーオが許されることはなく、むしろ罪は重たくなってしまう。
国内に留まれば留まるほどにベギーオのリスクは上がっていくのに最終的な目的はどこにあるのだろうか。
まさかラストを人質に王様と交渉でもする気なのかと考えてみるけどどれも無理がある話で、丸く収まりそうな答えは出てこない。
「分かんない……昔からベキーオは私のこと敵対視してたけど……ここまでのことするなんて」
「仮に成功したところでベキーオの立場なんてないのにな」
「それに正面から戦わないなんて卑怯者だね」
王様であるヴァンが特に可愛がっているラストに手を出せば残った慈悲すらなくベギーオは窮地に追い込まれることは目に見えている。
狂人の考えは理解し難い。
リュードはため息をついた。
「まあなんでもいい。俺たちは俺たちのできることをするまでだ」
ベギーオを倒してレストを助ける。
そして全てを終わらせて美味いもんをたらふく食べるのだと前向きなことを考える。
徒歩では何日もかかった道のりでも馬を使えば早い。
ずっと走り通しで馬にはかなり無理をさせることになってしまったが渓谷手前の町までかなり早く来ることができた。
そこで宿を取り、馬車と馬を預ける。
どの道山は馬車で登っていくことができないのでここで置いていき、残りは徒歩で移動することにした。
休憩もそこそこにマガミタ山に向かった。
「来いと言われたどこに行けばいいんだ?」
さて山の入り口まで来たはいいものの、そこからどうしたらいいのか分からない。
ざっくり山に来いと指定されたが麓から山頂まで山の範囲は意外と広い。
山頂にはモノランがいるので山頂まではいかなくてもどこに行けばいいのか言われていない。
「お待ちしておりました」
入り口付近には誰もいない。
とりあえずと思って少し山を登ったところにリュードたちを待ち受ける人がいた。
頬のこけた怪しい目つきをした長身の男。
どうやら血人族らしく、リュードも剣に手をかけて警戒する。
「あれはイセフよ。ベギーオの右腕ね」
ろくに話したこともないけどベギーオの腰巾着だったイセフの顔は知っている。
ベギーオよりも直接的に嫌味を言うクソ野郎だとラストは思っていて、イセフのことは嫌いだった。
兄にはお似合いの副官だとは逆に思う。
「お姉ちゃんはどこ、無事でいるの?」
「……こちらに」
「答えなさいよ!」
「落ち着け」
ラストの質問を無視してイセフは背を向けて歩き出す。
今にもイセフに襲いかかりそうなラストを止める。
イセフは道案内に来ているだけだ。
ここで後ろから襲い掛かってもレストは助けられないどころか不利になってしまう。
人質を取られている以上は慎重に動かねばならない。
ラストは強く手を握り締めてイセフの後を追う。
「どこに向かってるんだ?」
イセフは一言も口を開くことなく道を歩いていく。
以前リュードたちが通るはずだった山の中腹ぐらいのところをグルリと通って反対側にいく道だった。
道中でモノランにあって山頂まで行ってそこから下りていったから途中からは知らない道となる。
入り口側から来て4分の3ほど進んだところに山がえぐれたような平らなところがあった。
「よく来たな、我が妹よ」
「お姉ちゃん!」
「おいおい、俺は無視か?」
そしてそこにはレストに剣を突きつけるベギーオの姿があった。
「勢揃い、だな」
ベギーオだけではなく、プジャンとバロワの2人までベギーオの後ろにいた。
ラストを始めとして大領主が四人ともこの場に揃っているのだ。
「あんたお姉ちゃんに何をしたの!」
「はっ、うるさいから少し教育してやったのさ。自首しろだのこんなことやめろだの俺の耳を煩わせてくれたからな」
剣を突きつけられたレストの頬は赤く腫れ上がっていた。
話し合いで解決出来ないかと説得を試みたレストにベギーオは暴力で答えていた。
「何が目的なの!」
今すぐにでも助けたいけどレストの首に剣が迫っていて動けない。
「お前だよ」
ベギーオの目は濁っていてそれでいながら深い恨みと怒りが見える。
クゼナも石化病が治っていたらとは思わずにはいられない。
けれども足手まといになってしまうのはクゼナとしても本望ではない。
レストとラストのピンチに自分で出て行きたいと思わずにはいられないが、側にいるだけが助けるということではない。
今はリュードやルフォン、ヴィッツがラストの側にいる。
ならばとクゼナは思う。
自分の出来ることでラストを助ける。
少しでもラストが領地のことを心配せずにレストのために全力を尽くせるように、クゼナは自分の出来ることでラストを助けようと思った。
「必ず助けて戻ってくるよ。そしたら今度こそ王城に行ってお祝いしよ」
「うん。……ラストとレストの2人を頼みます」
石化病を治す方法も見つけてくれたリュードとルフォンなら。
頼れるのはこの二人しかいないけどこの二人に頼れるならきっと大丈夫であるもクゼナも信じられた。
クゼナはリュードとルフォンの二人に深々と頭を下げた。
馬車の中でもラストは自慢げにリュードのことを話していたほどだから直接の活躍を見ていなくても力は分かっているのだ。
「任せとけ。こんな卑怯な野郎に負けはしないさ」
レストを誘拐するなんてバカな真似をしたものだ。
大人しく国から出て一生怯えて暮らしていればよかったものをとリュードは思う。
レストを取り戻してベギーオに罪を償わせる。
クゼナに領地のことを任せてリュードたちはすぐさまマガミタ山に向かって出発した。
「それにしても目的は何だろな」
クゼナも降りたし全速力で走るためにリュードも馬車の中にいた。
ラストを呼びつけたいことは分かるのだけど、その先をどうしたいのか理解に苦しむ。
問題を起こした挙句に逃げ出したのはベギーオでそれらラストのせいじゃない。
ラストに何かをしたとしてもベギーオが許されることはなく、むしろ罪は重たくなってしまう。
国内に留まれば留まるほどにベギーオのリスクは上がっていくのに最終的な目的はどこにあるのだろうか。
まさかラストを人質に王様と交渉でもする気なのかと考えてみるけどどれも無理がある話で、丸く収まりそうな答えは出てこない。
「分かんない……昔からベキーオは私のこと敵対視してたけど……ここまでのことするなんて」
「仮に成功したところでベキーオの立場なんてないのにな」
「それに正面から戦わないなんて卑怯者だね」
王様であるヴァンが特に可愛がっているラストに手を出せば残った慈悲すらなくベギーオは窮地に追い込まれることは目に見えている。
狂人の考えは理解し難い。
リュードはため息をついた。
「まあなんでもいい。俺たちは俺たちのできることをするまでだ」
ベギーオを倒してレストを助ける。
そして全てを終わらせて美味いもんをたらふく食べるのだと前向きなことを考える。
徒歩では何日もかかった道のりでも馬を使えば早い。
ずっと走り通しで馬にはかなり無理をさせることになってしまったが渓谷手前の町までかなり早く来ることができた。
そこで宿を取り、馬車と馬を預ける。
どの道山は馬車で登っていくことができないのでここで置いていき、残りは徒歩で移動することにした。
休憩もそこそこにマガミタ山に向かった。
「来いと言われたどこに行けばいいんだ?」
さて山の入り口まで来たはいいものの、そこからどうしたらいいのか分からない。
ざっくり山に来いと指定されたが麓から山頂まで山の範囲は意外と広い。
山頂にはモノランがいるので山頂まではいかなくてもどこに行けばいいのか言われていない。
「お待ちしておりました」
入り口付近には誰もいない。
とりあえずと思って少し山を登ったところにリュードたちを待ち受ける人がいた。
頬のこけた怪しい目つきをした長身の男。
どうやら血人族らしく、リュードも剣に手をかけて警戒する。
「あれはイセフよ。ベギーオの右腕ね」
ろくに話したこともないけどベギーオの腰巾着だったイセフの顔は知っている。
ベギーオよりも直接的に嫌味を言うクソ野郎だとラストは思っていて、イセフのことは嫌いだった。
兄にはお似合いの副官だとは逆に思う。
「お姉ちゃんはどこ、無事でいるの?」
「……こちらに」
「答えなさいよ!」
「落ち着け」
ラストの質問を無視してイセフは背を向けて歩き出す。
今にもイセフに襲いかかりそうなラストを止める。
イセフは道案内に来ているだけだ。
ここで後ろから襲い掛かってもレストは助けられないどころか不利になってしまう。
人質を取られている以上は慎重に動かねばならない。
ラストは強く手を握り締めてイセフの後を追う。
「どこに向かってるんだ?」
イセフは一言も口を開くことなく道を歩いていく。
以前リュードたちが通るはずだった山の中腹ぐらいのところをグルリと通って反対側にいく道だった。
道中でモノランにあって山頂まで行ってそこから下りていったから途中からは知らない道となる。
入り口側から来て4分の3ほど進んだところに山がえぐれたような平らなところがあった。
「よく来たな、我が妹よ」
「お姉ちゃん!」
「おいおい、俺は無視か?」
そしてそこにはレストに剣を突きつけるベギーオの姿があった。
「勢揃い、だな」
ベギーオだけではなく、プジャンとバロワの2人までベギーオの後ろにいた。
ラストを始めとして大領主が四人ともこの場に揃っているのだ。
「あんたお姉ちゃんに何をしたの!」
「はっ、うるさいから少し教育してやったのさ。自首しろだのこんなことやめろだの俺の耳を煩わせてくれたからな」
剣を突きつけられたレストの頬は赤く腫れ上がっていた。
話し合いで解決出来ないかと説得を試みたレストにベギーオは暴力で答えていた。
「何が目的なの!」
今すぐにでも助けたいけどレストの首に剣が迫っていて動けない。
「お前だよ」
ベギーオの目は濁っていてそれでいながら深い恨みと怒りが見える。