「そうかもしれません。だからと言いましても、感謝しなくていいということではありません」
「そうだな……でも言われると照れちゃうだろ」
あまり謙遜しすぎても態度が悪く見えてしまう。
リュードはヴィッツが感謝していることは十分に理解した。
実際のところリュードの働きは大きい。
リュードでなければ解決し得なかった問題もあった。
素直にそうですねと言うのは恥ずかしいけど感謝する相手がそう思っているのに否定するのも違う。
謙遜もある程度でやめて受け入れておくことにした。
「若干の気掛かりもございますがそちらの方もさほど時間はかからないでしょう」
ヴィッツの気掛かりとはベギーオのことである。
ベギーオはダンジョンブレイクの一件について全く責任も取らずに姿をくらましてしまった。
いまだに捕まっていないのでその消息も不明のままである。
「もはや何かができるとは思いませんが……ベギーオ様も執念深いお方ですから」
賢ければ国外逃亡でも図っているだろうけど、リュードもベギーオの行方は気になっていた。
もうヴァンも隠してベギーオを追うことは出来なくなった。
国の指名手配として手配されて、ベギーオは大々的に探されている。
良心が少しでも残っているなら自首でもするだろうがリュードなら国から出て二度帰らない。
理性も良心も残っていなかったら何するか分からないとなった時に心配なのである。
ただし王城まで行ってしまえばラストの勝ちだ。
王城に手を出せるほどの力もベギーオには残されてないから捨て身で臨んでも凶刃がラストに届くことはほとんどないだろう。
ただやはりベギーオの消息に関する情報でもあれば安心はできるのにと思わざるを得ない。
「……今は喜びを噛み締めるのが優先だろ」
「そうでございますね」
警戒することも大事だけど喜ぶべきことは喜ぶべきなのだ。
小さな不安を心配しすぎて喜びを減じてしまうのはもったいない。
「……!」
「リュード様?」
木の影で何かが光った。
変な会話をしたせいで周りに気を張ってしまっていたリュードはそれを見逃さずに御者台から飛び上がった。
剣を抜き、放たれた矢を両断した。
「何者だ!」
襲撃。
今話していたベギーオか、もしかしたらプジャンの可能性もある。
馬車に誰かが向かってくることを警戒していたが矢を放った男はすぐさま引いてしまい、追撃してくる人もいない。
たった一人でたった一本の矢を放って逃げた。
狙いは馬車の方だったけれど運良く誰かに当たることを願って放ったにしてもあまりにもお粗末だと言わざるを得ない。
「リュード様、こちらに」
「ど、どうしたの!」
急に馬車が止まってルフォンたち三人は中でもみくちゃになっていた。
何かがあったのだと出てきた時にはもう襲撃者はいなくなっていた。
「……これはまた古風なやり方だな」
ヴィッツがリュードが切り落とした矢を拾う。
二つに切られた矢には手紙が結びつけてあった。
咄嗟に矢を切り落としたので切った時には気づかなかった。
「読まさせていただきます」
ヴィッツが矢に結びつけられた手紙を取って、内容を読み上げ始めた。
「……これは」
「どう致しましょうか?」
手紙の内容を聞いたリュードたちは一様に顔をしかめた。
「ど、どうしたらいいかな、リュード?」
ここで判断すべきはラストなのだが手紙の内容はすぐに判断を下すには難しいものだった。
「こんなウソつく必要はない。つまり本当ってことだろう。なら……」
リュードはどうすべきか自分の考えを述べた。
「この状況ではそうする他にないでしょうな」
「……面倒だけどやるしかない」
「うん、リュードのいう通り動こう」
「予定変更だ」
「そうだな……でも言われると照れちゃうだろ」
あまり謙遜しすぎても態度が悪く見えてしまう。
リュードはヴィッツが感謝していることは十分に理解した。
実際のところリュードの働きは大きい。
リュードでなければ解決し得なかった問題もあった。
素直にそうですねと言うのは恥ずかしいけど感謝する相手がそう思っているのに否定するのも違う。
謙遜もある程度でやめて受け入れておくことにした。
「若干の気掛かりもございますがそちらの方もさほど時間はかからないでしょう」
ヴィッツの気掛かりとはベギーオのことである。
ベギーオはダンジョンブレイクの一件について全く責任も取らずに姿をくらましてしまった。
いまだに捕まっていないのでその消息も不明のままである。
「もはや何かができるとは思いませんが……ベギーオ様も執念深いお方ですから」
賢ければ国外逃亡でも図っているだろうけど、リュードもベギーオの行方は気になっていた。
もうヴァンも隠してベギーオを追うことは出来なくなった。
国の指名手配として手配されて、ベギーオは大々的に探されている。
良心が少しでも残っているなら自首でもするだろうがリュードなら国から出て二度帰らない。
理性も良心も残っていなかったら何するか分からないとなった時に心配なのである。
ただし王城まで行ってしまえばラストの勝ちだ。
王城に手を出せるほどの力もベギーオには残されてないから捨て身で臨んでも凶刃がラストに届くことはほとんどないだろう。
ただやはりベギーオの消息に関する情報でもあれば安心はできるのにと思わざるを得ない。
「……今は喜びを噛み締めるのが優先だろ」
「そうでございますね」
警戒することも大事だけど喜ぶべきことは喜ぶべきなのだ。
小さな不安を心配しすぎて喜びを減じてしまうのはもったいない。
「……!」
「リュード様?」
木の影で何かが光った。
変な会話をしたせいで周りに気を張ってしまっていたリュードはそれを見逃さずに御者台から飛び上がった。
剣を抜き、放たれた矢を両断した。
「何者だ!」
襲撃。
今話していたベギーオか、もしかしたらプジャンの可能性もある。
馬車に誰かが向かってくることを警戒していたが矢を放った男はすぐさま引いてしまい、追撃してくる人もいない。
たった一人でたった一本の矢を放って逃げた。
狙いは馬車の方だったけれど運良く誰かに当たることを願って放ったにしてもあまりにもお粗末だと言わざるを得ない。
「リュード様、こちらに」
「ど、どうしたの!」
急に馬車が止まってルフォンたち三人は中でもみくちゃになっていた。
何かがあったのだと出てきた時にはもう襲撃者はいなくなっていた。
「……これはまた古風なやり方だな」
ヴィッツがリュードが切り落とした矢を拾う。
二つに切られた矢には手紙が結びつけてあった。
咄嗟に矢を切り落としたので切った時には気づかなかった。
「読まさせていただきます」
ヴィッツが矢に結びつけられた手紙を取って、内容を読み上げ始めた。
「……これは」
「どう致しましょうか?」
手紙の内容を聞いたリュードたちは一様に顔をしかめた。
「ど、どうしたらいいかな、リュード?」
ここで判断すべきはラストなのだが手紙の内容はすぐに判断を下すには難しいものだった。
「こんなウソつく必要はない。つまり本当ってことだろう。なら……」
リュードはどうすべきか自分の考えを述べた。
「この状況ではそうする他にないでしょうな」
「……面倒だけどやるしかない」
「うん、リュードのいう通り動こう」
「予定変更だ」