「私は大丈夫……くすぐったいよ。クゼナの方こそ体はどう?」
「大人しくしてたから薬はちゃんともらえてる。だから病気も大きくは進行してないから元気だよ」
ラストと会って以来、ラストの計画に気づかれてはならないとクゼナは特におとなしくしていた。
プジャンはそんなしおらしくしているクゼナに満足して何も疑わなかった。
薬もいつも通りもらって飲んでいたのでほんのちょっと石化した部分が広がったぐらいでほとんど変化はなかった。
まあダンジョンブレイクのおかげでプジャンも忙しくてクゼナを気にかける暇もなかったのもある。
ラストは大人の試練を乗り越えたこととそれに伴って祝賀会を開くのでクゼナを王城に連れて行くことを話した。
プジャンにも報告済みで気兼ねなく出発出来ることもちゃんと伝えておく。
「ラスト……おめでとう!」
自分の治療のことよりもまずラストが大人の試練を乗り越えられたことのお祝いを述べるクゼナ。
ラストの手を握りしめて、うるっとして泣きそうになっている。
「へへっ、ありがとう。あとはクゼナを治すだけだね」
クゼナは自分のせいでラストが大人の試練を失敗することになったらどうしようと思っていた。
これで治療するのにも憂いは完全になくなった。
「私も準備は必要だし時間もこんなだから泊まっていく?」
「そうだね。そうさせてもらおうかな」
時間的には昼時を過ぎたぐらい。
出発に遅すぎることはないけれどクゼナにも出発する準備というものが必要だ。
今から準備して出発となると遅い時間になってしまう。
早急に準備をして、明日出発するのが賢いやり方である。
「……じゃあどうだ、もう治療を始めてみないか?」
リュードがニヤリと笑う。
実際のところクゼナの準備はそんなに時間もかからないとは思う。
それに準備をやるのはクゼナに使える使用人がやる。
クゼナが動けないので仕方ない。
リュードたちはクゼナも含めて半日フリーであることが確定した。
軽く石化病の治療を始めちゃってもいいのではないかと考えたのだ。
王城についてから治療を始めてもいいのだけど、一回二回で終わる治療でもなく、複数回分けて経過観察もする必要がある。
あまり長時間留め置くとプジャンに怪しまれる可能性が高くなるので今からやれるならやっておけば後々楽になる。
あとは薬の加減も見て首都に戻ったら調整し直すべきかどうかも見ておかねばならない。
「どう、クゼナ?」
「……うん、やってみる」
どうせ今やれることは少ない。
治すことが本当に可能なのか不安だし、得体の知れない針治療なる方法に対しても不安がある。
でもいつかやらなきゃいけない。
ならば今やって後でやっても同じだ。
ここで一歩を踏み出さねばならないのだ。
クゼナは覚悟を決めた。
「一つやる前に言っておくべきことがある。針治療はここでは俺しかできないから、俺が針治療をやることになる」
「うん、それは知ってる」
「その……裸になってもらうことが必要なんだけど、それは大丈夫か?」
「はぁ?」
「リューちゃん?」
「えっ、ええ? 裸!?」
3人が動揺を見せる。
いや、リュードも動揺している。
聞いてないと全員が叫びそうになる。
言い出しにくくて、言い出せなくて、いつしか忘れていた。
「ちゃ、ちゃんと大事なところは隠してもらうから! ただ服の上からだとちょっと難しいんだ!」
村にいた爺さんクラスならそれも可能かもしれないけどリュードにはとてもそんな芸当はできない。
それに針に薬を塗る都合上布の上からでは薬が拭われてしまう。
針治療のためには服を脱いでもらう必要があるのだった。
「むっ……よくないけどクゼナのためだからしょうがないけど針治療2人きりでは絶対にやらせないかんね?」
「私も側で監視するからね」
「信用ないなぁ」
「えっ、私の意思は?」
裸になるのはクゼナなのに、なぜかやる前提でラストとルフォンが答える。
リュードが病気の女の子を治療と称して襲うようなゲスな真似をするケダモノではないことは2人にも分かっている。
それでもリュードも若いオス。
普段はそうした一面を見せることがないのでふとした瞬間に欲望に支配されてしまうことだってないとは言い切れない。
クゼナも2人ほどではなくてもそれなりに美形な顔出しをしている。
ラストの姉妹、ヴァンの娘なら美形なことも当然である。
触るまでいかなくても見るぐらいの魔がさしてしまう可能性が少しでもあるなら監視すべきだと二人の意見は合致した。
リュードとしても手伝ってもらうつもりだったし、やましいことがなくてもやましいことがあったなんて冤罪の疑いをかけられても困るのでいてくれると助かるとは思っていた。
「じゃあ準備して始めようか」
「準備って何が必要?」
「清潔なタオル……かな?」
「私まだ裸になっていいって言ってないよー?」
「タオルね、オッケー。ほら、リュードは出てって。脱ぐとこまで一緒にいることないでしょ」
「おーい…………はぁ、やるっきゃないか」
最終的にため息をついてクゼナも治療を始めることに同意する。
やるつもりだったのだからそれが変わらないだけの話。
近い年齢の男性に肌を晒すことは非常に恥ずかしいことであるけれど治療のためだと自分に言い聞かせる。
リュードと実はひっそり部屋の隅にいたヴィッツは部屋を追い出される。
「大人しくしてたから薬はちゃんともらえてる。だから病気も大きくは進行してないから元気だよ」
ラストと会って以来、ラストの計画に気づかれてはならないとクゼナは特におとなしくしていた。
プジャンはそんなしおらしくしているクゼナに満足して何も疑わなかった。
薬もいつも通りもらって飲んでいたのでほんのちょっと石化した部分が広がったぐらいでほとんど変化はなかった。
まあダンジョンブレイクのおかげでプジャンも忙しくてクゼナを気にかける暇もなかったのもある。
ラストは大人の試練を乗り越えたこととそれに伴って祝賀会を開くのでクゼナを王城に連れて行くことを話した。
プジャンにも報告済みで気兼ねなく出発出来ることもちゃんと伝えておく。
「ラスト……おめでとう!」
自分の治療のことよりもまずラストが大人の試練を乗り越えられたことのお祝いを述べるクゼナ。
ラストの手を握りしめて、うるっとして泣きそうになっている。
「へへっ、ありがとう。あとはクゼナを治すだけだね」
クゼナは自分のせいでラストが大人の試練を失敗することになったらどうしようと思っていた。
これで治療するのにも憂いは完全になくなった。
「私も準備は必要だし時間もこんなだから泊まっていく?」
「そうだね。そうさせてもらおうかな」
時間的には昼時を過ぎたぐらい。
出発に遅すぎることはないけれどクゼナにも出発する準備というものが必要だ。
今から準備して出発となると遅い時間になってしまう。
早急に準備をして、明日出発するのが賢いやり方である。
「……じゃあどうだ、もう治療を始めてみないか?」
リュードがニヤリと笑う。
実際のところクゼナの準備はそんなに時間もかからないとは思う。
それに準備をやるのはクゼナに使える使用人がやる。
クゼナが動けないので仕方ない。
リュードたちはクゼナも含めて半日フリーであることが確定した。
軽く石化病の治療を始めちゃってもいいのではないかと考えたのだ。
王城についてから治療を始めてもいいのだけど、一回二回で終わる治療でもなく、複数回分けて経過観察もする必要がある。
あまり長時間留め置くとプジャンに怪しまれる可能性が高くなるので今からやれるならやっておけば後々楽になる。
あとは薬の加減も見て首都に戻ったら調整し直すべきかどうかも見ておかねばならない。
「どう、クゼナ?」
「……うん、やってみる」
どうせ今やれることは少ない。
治すことが本当に可能なのか不安だし、得体の知れない針治療なる方法に対しても不安がある。
でもいつかやらなきゃいけない。
ならば今やって後でやっても同じだ。
ここで一歩を踏み出さねばならないのだ。
クゼナは覚悟を決めた。
「一つやる前に言っておくべきことがある。針治療はここでは俺しかできないから、俺が針治療をやることになる」
「うん、それは知ってる」
「その……裸になってもらうことが必要なんだけど、それは大丈夫か?」
「はぁ?」
「リューちゃん?」
「えっ、ええ? 裸!?」
3人が動揺を見せる。
いや、リュードも動揺している。
聞いてないと全員が叫びそうになる。
言い出しにくくて、言い出せなくて、いつしか忘れていた。
「ちゃ、ちゃんと大事なところは隠してもらうから! ただ服の上からだとちょっと難しいんだ!」
村にいた爺さんクラスならそれも可能かもしれないけどリュードにはとてもそんな芸当はできない。
それに針に薬を塗る都合上布の上からでは薬が拭われてしまう。
針治療のためには服を脱いでもらう必要があるのだった。
「むっ……よくないけどクゼナのためだからしょうがないけど針治療2人きりでは絶対にやらせないかんね?」
「私も側で監視するからね」
「信用ないなぁ」
「えっ、私の意思は?」
裸になるのはクゼナなのに、なぜかやる前提でラストとルフォンが答える。
リュードが病気の女の子を治療と称して襲うようなゲスな真似をするケダモノではないことは2人にも分かっている。
それでもリュードも若いオス。
普段はそうした一面を見せることがないのでふとした瞬間に欲望に支配されてしまうことだってないとは言い切れない。
クゼナも2人ほどではなくてもそれなりに美形な顔出しをしている。
ラストの姉妹、ヴァンの娘なら美形なことも当然である。
触るまでいかなくても見るぐらいの魔がさしてしまう可能性が少しでもあるなら監視すべきだと二人の意見は合致した。
リュードとしても手伝ってもらうつもりだったし、やましいことがなくてもやましいことがあったなんて冤罪の疑いをかけられても困るのでいてくれると助かるとは思っていた。
「じゃあ準備して始めようか」
「準備って何が必要?」
「清潔なタオル……かな?」
「私まだ裸になっていいって言ってないよー?」
「タオルね、オッケー。ほら、リュードは出てって。脱ぐとこまで一緒にいることないでしょ」
「おーい…………はぁ、やるっきゃないか」
最終的にため息をついてクゼナも治療を始めることに同意する。
やるつもりだったのだからそれが変わらないだけの話。
近い年齢の男性に肌を晒すことは非常に恥ずかしいことであるけれど治療のためだと自分に言い聞かせる。
リュードと実はひっそり部屋の隅にいたヴィッツは部屋を追い出される。