「結構めんどくさいね……」
戦いの方はいい。
ゴブリンでもコボルトでも何匹こようとリュードとラストにとって敵ではない。
やはり問題は階段を探すことである。
目を皿のようにして地面を探し回る行為は肉体的な疲労よりも精神的な疲労としてやってくる。
「全然見つからないもんな」
せめて戦いがもうちょい骨があるなら気も乗るのだけどゴブリンもコボルトも可愛くないし強くないし、やりがいがない。
犬頭なのだけどコボルトは可愛くない顔をしているのだ。
可愛かったら可愛かったでやりにくいけど可愛くないのもなんだか気が乗らなくなってしまう。
「思ってたよりもこのダンジョン、厄介だ」
見通しのいい場所でゴブリンとコボルトを相手し、ちょっと見通しの悪い場所でさらにまたそのどちらも相手する。
基本を見直すには悪くはないけど、今はおさらいしたくて来ているのでもない。
「あっ、あったよ!」
「ナイスだ!」
地下三階の階段も時間をかけてようやく見つけて降りていくと今度は小部屋になっていた。
正面に石の扉があってリュードたちを待ち受けるように開いている。
「中ボスか」
あたかもボス部屋なのであるがただのボス部屋ではない。
ボス部屋はボス部屋なのだがこれは中ボス部屋なのである。
これもまたダンジョンの特殊さを表している。
基本的にダンジョンにはボス部屋は1つので終わりであるはずなのだけれどここには中ボス部屋がある。
中ボスは一応ボスであり、倒さなきゃ先に進めないだけど倒してもダンジョンのクリアにはならないのである。
話だけを聞いたときには面白い作りだと思ったのに、いざ挑んでみると長くて面倒な作りであった。
例によってツィツィナは扉の中には入らず外で待機する。
リュードとラストが中に入ると石の扉が1人でにしまって閉ざされる。
そして目の前には中ボスが待ち受けていた。
「ホブゴブリンとハイコボルトか」
ゴブリン、コボルト、ゴブリンとコボルトときて、ゴブリンとコボルトの進化種であるホブゴブリンとハイコボルトと来る。
やはり作りとしてだけみると非常にユニークではあると感じる。
ホブゴブリンとハイコボルトが一体ずつ。
石の扉が閉まる音で二体もリュードたちに気づいた。
進化種ではあっても見た目がデカくなったぐらいで劇的に強くなったわけじゃない。
デカいゴブリンとデカいコボルトぐらいのものなのだ。
剣を構えて警戒するリュードの後ろで素早く矢を番えたラストの先制攻撃。
矢がホブゴブリンの頭に突き刺さり、ホブゴブリンが倒れる。
続いてラストが次の矢を引き絞り、連続攻撃。
駆け出したハイコボルトの頭に矢が突き刺さり、ハイコボルトも倒れる。
「…………」
「…………やったぁ?」
「やったな」
ホブゴブリンとハイコボルトの体が魔力の粒子となって消えていき、矢がカランと音を立てて地面に落ちる。
リュードたちは中ボスに勝利した。
勝利したのはいいけれど何の実感も湧かないあっけない勝利であった。
「お早いですね! ……何かありました?」
石の扉が開いてツィツィナがリュードたちの勝利に嬉しそうに駆け寄ってくる。
しかしリュードたちの顔は勝利に喜んでいるようには見えなかった。
何かがあったのではなくて、何もなかった。
リュードは入って剣を抜いたところから動きすらしていなかったのだ。
このダンジョンも中級者向けとは言わずにちゃんと管理して初心者育成に使えばいいのにとリュードは思った。
入って来たのとは反対側にある石の扉も開き、その奥に下へと続く階段があった。
強者が故の悩みみたいなものをこんなところで感じるなんて誰が予想しただろう。
味気なさすぎる。
階段探しに終始するだけのダンジョン攻略など楽しくないぞと流石のリュードも渋い顔をする。
「まあ、次行こうか」
こうして地下四階の中ボスをクリアして、地下五階へと降りた。
次の階に行ってみると様子は一変した。
地下五階は沼地であった。
細い木々とぬかるんだ大地、湿度が高くて不快感のある空気まで再現されている。
空は薄曇りでどよんとしていてそんなところまで雰囲気を出さなくてもいいのにとため息が出そう。
ダンジョンの中にいるとは思えない再現度だけど嬉しくもない環境なのでさっさとクリアしてしまいたい。
一体どうやってこの状況を再現して、なぜこんな環境を再現するのか。
考えるだけ考えて何の答えも出ないまま一生を費やした学者もいる。
リュードもダンジョンに一生を捧げるつもりはないので疑問は思ってもあまり深く考えないことにした。
神様あたりに聞いたら分かるかなとも考えるけど、それはチートである。
地下五階に出てくる魔物はデカいカエルだった。
トード種の魔物であるけど正確な魔物の名前は不明である。
沼の中から飛び出してきて長く伸びる舌で攻撃してくるのが主だった。
「ひゃあ!」
「だから大声あげるなって……」
ここに来て1番泣きそうになっていたのはツィツィナだった。
どうやらトード種の魔物の見た目がダメらしく、出てくるたびに悲鳴を上げて、さらに魔物を呼び寄せていた。
沼の中から飛び出してくるから奇襲といえば奇襲っぽい感じで襲い掛かってくる。
けれどよくよく見ると沼は浅くて、地面が盛り上がって見えていたり気泡が出ていたりと事前に察知することも簡単にできる相手であった。
カエルの方も叫び声で集まってくるもの以外は引きつけて攻撃するつもりなのである程度まで接近しないと動かない。
そのため先に気づければリュードたちの勝ちだった。
ラストはカエルの攻撃範囲外から矢を放って先に仕留めてしまっていた。
最初は胴体狙いで広く狙いを定めていたが、慣れてくると目の目の間に狙いを絞って矢を放って簡単にカエルを倒していた。
「ヒイィ……ありがとうございますぅ……」
別にツィツィナのために出てくる前にカエルを倒してるんじゃないけど、ツィツィナは姿を見る前にラストが倒してくれるものだから勝手に感謝をしていた。
戦いの方はいい。
ゴブリンでもコボルトでも何匹こようとリュードとラストにとって敵ではない。
やはり問題は階段を探すことである。
目を皿のようにして地面を探し回る行為は肉体的な疲労よりも精神的な疲労としてやってくる。
「全然見つからないもんな」
せめて戦いがもうちょい骨があるなら気も乗るのだけどゴブリンもコボルトも可愛くないし強くないし、やりがいがない。
犬頭なのだけどコボルトは可愛くない顔をしているのだ。
可愛かったら可愛かったでやりにくいけど可愛くないのもなんだか気が乗らなくなってしまう。
「思ってたよりもこのダンジョン、厄介だ」
見通しのいい場所でゴブリンとコボルトを相手し、ちょっと見通しの悪い場所でさらにまたそのどちらも相手する。
基本を見直すには悪くはないけど、今はおさらいしたくて来ているのでもない。
「あっ、あったよ!」
「ナイスだ!」
地下三階の階段も時間をかけてようやく見つけて降りていくと今度は小部屋になっていた。
正面に石の扉があってリュードたちを待ち受けるように開いている。
「中ボスか」
あたかもボス部屋なのであるがただのボス部屋ではない。
ボス部屋はボス部屋なのだがこれは中ボス部屋なのである。
これもまたダンジョンの特殊さを表している。
基本的にダンジョンにはボス部屋は1つので終わりであるはずなのだけれどここには中ボス部屋がある。
中ボスは一応ボスであり、倒さなきゃ先に進めないだけど倒してもダンジョンのクリアにはならないのである。
話だけを聞いたときには面白い作りだと思ったのに、いざ挑んでみると長くて面倒な作りであった。
例によってツィツィナは扉の中には入らず外で待機する。
リュードとラストが中に入ると石の扉が1人でにしまって閉ざされる。
そして目の前には中ボスが待ち受けていた。
「ホブゴブリンとハイコボルトか」
ゴブリン、コボルト、ゴブリンとコボルトときて、ゴブリンとコボルトの進化種であるホブゴブリンとハイコボルトと来る。
やはり作りとしてだけみると非常にユニークではあると感じる。
ホブゴブリンとハイコボルトが一体ずつ。
石の扉が閉まる音で二体もリュードたちに気づいた。
進化種ではあっても見た目がデカくなったぐらいで劇的に強くなったわけじゃない。
デカいゴブリンとデカいコボルトぐらいのものなのだ。
剣を構えて警戒するリュードの後ろで素早く矢を番えたラストの先制攻撃。
矢がホブゴブリンの頭に突き刺さり、ホブゴブリンが倒れる。
続いてラストが次の矢を引き絞り、連続攻撃。
駆け出したハイコボルトの頭に矢が突き刺さり、ハイコボルトも倒れる。
「…………」
「…………やったぁ?」
「やったな」
ホブゴブリンとハイコボルトの体が魔力の粒子となって消えていき、矢がカランと音を立てて地面に落ちる。
リュードたちは中ボスに勝利した。
勝利したのはいいけれど何の実感も湧かないあっけない勝利であった。
「お早いですね! ……何かありました?」
石の扉が開いてツィツィナがリュードたちの勝利に嬉しそうに駆け寄ってくる。
しかしリュードたちの顔は勝利に喜んでいるようには見えなかった。
何かがあったのではなくて、何もなかった。
リュードは入って剣を抜いたところから動きすらしていなかったのだ。
このダンジョンも中級者向けとは言わずにちゃんと管理して初心者育成に使えばいいのにとリュードは思った。
入って来たのとは反対側にある石の扉も開き、その奥に下へと続く階段があった。
強者が故の悩みみたいなものをこんなところで感じるなんて誰が予想しただろう。
味気なさすぎる。
階段探しに終始するだけのダンジョン攻略など楽しくないぞと流石のリュードも渋い顔をする。
「まあ、次行こうか」
こうして地下四階の中ボスをクリアして、地下五階へと降りた。
次の階に行ってみると様子は一変した。
地下五階は沼地であった。
細い木々とぬかるんだ大地、湿度が高くて不快感のある空気まで再現されている。
空は薄曇りでどよんとしていてそんなところまで雰囲気を出さなくてもいいのにとため息が出そう。
ダンジョンの中にいるとは思えない再現度だけど嬉しくもない環境なのでさっさとクリアしてしまいたい。
一体どうやってこの状況を再現して、なぜこんな環境を再現するのか。
考えるだけ考えて何の答えも出ないまま一生を費やした学者もいる。
リュードもダンジョンに一生を捧げるつもりはないので疑問は思ってもあまり深く考えないことにした。
神様あたりに聞いたら分かるかなとも考えるけど、それはチートである。
地下五階に出てくる魔物はデカいカエルだった。
トード種の魔物であるけど正確な魔物の名前は不明である。
沼の中から飛び出してきて長く伸びる舌で攻撃してくるのが主だった。
「ひゃあ!」
「だから大声あげるなって……」
ここに来て1番泣きそうになっていたのはツィツィナだった。
どうやらトード種の魔物の見た目がダメらしく、出てくるたびに悲鳴を上げて、さらに魔物を呼び寄せていた。
沼の中から飛び出してくるから奇襲といえば奇襲っぽい感じで襲い掛かってくる。
けれどよくよく見ると沼は浅くて、地面が盛り上がって見えていたり気泡が出ていたりと事前に察知することも簡単にできる相手であった。
カエルの方も叫び声で集まってくるもの以外は引きつけて攻撃するつもりなのである程度まで接近しないと動かない。
そのため先に気づければリュードたちの勝ちだった。
ラストはカエルの攻撃範囲外から矢を放って先に仕留めてしまっていた。
最初は胴体狙いで広く狙いを定めていたが、慣れてくると目の目の間に狙いを絞って矢を放って簡単にカエルを倒していた。
「ヒイィ……ありがとうございますぅ……」
別にツィツィナのために出てくる前にカエルを倒してるんじゃないけど、ツィツィナは姿を見る前にラストが倒してくれるものだから勝手に感謝をしていた。