「本当に?」
「本当に」
「……本当に王城に行くのか」
美しく着飾った2人にようやく目が向けられるようになってきたと思ったらリュードは店の前に停められていた馬車に乗せられた。
向かう先は王城だと言われてリュードは驚いた。
なんとビックリ、ドレスを買うだけでなくそのまま王城に向かうことになってしまったのである。
ちゃんとメイクまでしてリュードまで着替えさせられておかしいと思ったのだけど、こんなつもりだったとはリュードは思いもしなかった。
ラストが店に行くことを伝えていたので、店の人が王城に伝えて王城から馬車が派遣されたのだ。
店を出て馬車が停まっていて、誰か来たのかと思っていたらエスコートしろとラストに言われてこれが自分達の乗る馬車だととても驚いた。
ラストとルフォンはリュードに対面するように座った。
馬車の中の密室で3人きりになる。
照れるリュードに気を良くした2人はちゃんとした感想が欲しいとリュードに求め始めた。
ちょっとだけだけど照れにも慣れてきたリュードは改めて2人のことをよく見る。
こんな機会がこの先あるのかも分からないので目にも焼き付けておこうと思った。
こんな時に写真が無いことがすごく悔やまれる。
まずはラストの方に目を向ける。
ラストは白いドレスを身にまとっている。
ややクリーム色にも近い白でよりラストの真っ白な髪の色が際立つ。
そしてさらに2種類の白に挟まれた真っ赤な瞳が目立って美しく見えた。
落ち着いたデザインのドレスと相まってラストは色白清楚なお嬢様になっていた。
意識しているのかいつものようにニカっと笑うのをやめて上品に笑ってみせるラストにはリュードもドキドキとする。
幼さを残しながらもより可愛さを引き立てていて周りの目を引く美少女がラストであった。
目を逸らすようにして続いてルフォンを見る。
ラストと対照的にルフォンは黒いドレスを着ている。
瞳や髪色と同じ黒いドレスはルフォンの雰囲気を1つにまとめ上げていた。
その中で黒いドレスには金の糸で刺繍がしてあって動くたびに黒の中でもきらりと光るものがある。
普段は動きやすい服装のルフォンが体のラインが分かるようなドレスを着ている。
ルフォンは体の均整も取れていてドレスを着ていても全く着られている感じがない。
可愛いタイプの顔をしているルフォンだけれど、プロによる化粧を施した結果今のルフォンは大人びていて綺麗さが際立っている。
吸い込まれるような闇を切り取ったような艶やかな魅力がリュードの目を惹きつけた。
見た人が目を離せなくなるような妖艶さがルフォンに備わっていた。
思ったままを口にして2人を褒めた。
もうどうとでもなれとリュードは持てる限りの言葉を使って2人のことを褒めちぎった。
「二人とも……可愛いし、綺麗だよ」
最後にもう1度綺麗だと2人を見て言えていれば完璧だったのに。
どうしても照れ臭くて、リュードは窓の外に視線を向けてしまった。
服が違うだけだろうなんて思っていた自分を殴りたいほど2人は変わっていた。
「……ラストはすごく可愛らしくて、ルフォンはなんだかとても大人っぽくて綺麗だ」
「う、うん、ありがとう……」
「こう真正面に言われると照れるなぁ……」
やっぱりちゃんと目を見て言わなきゃならない。
最後に男気を振り絞ったリュードの思い切った褒めに2人も照れる。
褒めろというけれどいざ褒められると照れくさいのはしょうがない。
3人が3人とも顔を赤くして、無言になってしまう。
それぞれ視線をよそに向けて馬車に揺られる。
「失礼いたします。王城に着きました」
馬車が停まって御者に声をかけられる。
ハッとして正気に戻るともうお城が目の前に迫っていた。
なんでいきなり王城に向かうことになったのかラストに聞くつもりだったのに聞くのも忘れてしまった。
ラストに言われ、リュードが先に降りて手を差し出す。
ラストがリュードの手に自分の手を添えて優雅に馬車を降りてくる。
忘れがちだけどラストも王族の一員でこうしたマナーも学んできた御令嬢なのだ。
ルフォンもラストに習ってリュードの手をとって降りようとするけどラストのような優雅さは流石に演出できない。
動作がぎこちなくラストには敵わない。
ドレスでの動きにもなれていなくてちょっと動きがカクカクしていた。
「お待ちしておりました、サキュルラスト様」
「お久しぶりです、ウグドーさん」
ラストがドレスをつまみ上げて軽く頭を下げる。
「お名前を覚えていただいておりまして光栄でございます」
「お父様の右腕であるウグドーさんを忘れることなんてありませんよ」
ヴィッツよりもさらに年上そうな老年の血人族が城の前で待っていた。
相当なお年に見えるのに杖すらもなくピンと背筋伸ばして立っている。
後ろには物々しい護衛たちが立ち、部下らしき人も側にいる。
ウグドーはラストの父親である王様の秘書官長を長年勤めている人物であった。
昔からラストを可愛がってくれた人の1人でラストが勉強でわからないことがあるとウグドーに聞きに行った。
どんなことでも丁寧に教えてくれて知識もある人であった。
「お初にお目にかかります、ウグドーと申します」
「これはどうも丁寧に。私はシューナリュードです」
「ルフォンと申します」
ルフォンはラストがやったようにドレスの裾を摘んで礼をする。
ぎこちなさもまた可愛らしい。
「本当に」
「……本当に王城に行くのか」
美しく着飾った2人にようやく目が向けられるようになってきたと思ったらリュードは店の前に停められていた馬車に乗せられた。
向かう先は王城だと言われてリュードは驚いた。
なんとビックリ、ドレスを買うだけでなくそのまま王城に向かうことになってしまったのである。
ちゃんとメイクまでしてリュードまで着替えさせられておかしいと思ったのだけど、こんなつもりだったとはリュードは思いもしなかった。
ラストが店に行くことを伝えていたので、店の人が王城に伝えて王城から馬車が派遣されたのだ。
店を出て馬車が停まっていて、誰か来たのかと思っていたらエスコートしろとラストに言われてこれが自分達の乗る馬車だととても驚いた。
ラストとルフォンはリュードに対面するように座った。
馬車の中の密室で3人きりになる。
照れるリュードに気を良くした2人はちゃんとした感想が欲しいとリュードに求め始めた。
ちょっとだけだけど照れにも慣れてきたリュードは改めて2人のことをよく見る。
こんな機会がこの先あるのかも分からないので目にも焼き付けておこうと思った。
こんな時に写真が無いことがすごく悔やまれる。
まずはラストの方に目を向ける。
ラストは白いドレスを身にまとっている。
ややクリーム色にも近い白でよりラストの真っ白な髪の色が際立つ。
そしてさらに2種類の白に挟まれた真っ赤な瞳が目立って美しく見えた。
落ち着いたデザインのドレスと相まってラストは色白清楚なお嬢様になっていた。
意識しているのかいつものようにニカっと笑うのをやめて上品に笑ってみせるラストにはリュードもドキドキとする。
幼さを残しながらもより可愛さを引き立てていて周りの目を引く美少女がラストであった。
目を逸らすようにして続いてルフォンを見る。
ラストと対照的にルフォンは黒いドレスを着ている。
瞳や髪色と同じ黒いドレスはルフォンの雰囲気を1つにまとめ上げていた。
その中で黒いドレスには金の糸で刺繍がしてあって動くたびに黒の中でもきらりと光るものがある。
普段は動きやすい服装のルフォンが体のラインが分かるようなドレスを着ている。
ルフォンは体の均整も取れていてドレスを着ていても全く着られている感じがない。
可愛いタイプの顔をしているルフォンだけれど、プロによる化粧を施した結果今のルフォンは大人びていて綺麗さが際立っている。
吸い込まれるような闇を切り取ったような艶やかな魅力がリュードの目を惹きつけた。
見た人が目を離せなくなるような妖艶さがルフォンに備わっていた。
思ったままを口にして2人を褒めた。
もうどうとでもなれとリュードは持てる限りの言葉を使って2人のことを褒めちぎった。
「二人とも……可愛いし、綺麗だよ」
最後にもう1度綺麗だと2人を見て言えていれば完璧だったのに。
どうしても照れ臭くて、リュードは窓の外に視線を向けてしまった。
服が違うだけだろうなんて思っていた自分を殴りたいほど2人は変わっていた。
「……ラストはすごく可愛らしくて、ルフォンはなんだかとても大人っぽくて綺麗だ」
「う、うん、ありがとう……」
「こう真正面に言われると照れるなぁ……」
やっぱりちゃんと目を見て言わなきゃならない。
最後に男気を振り絞ったリュードの思い切った褒めに2人も照れる。
褒めろというけれどいざ褒められると照れくさいのはしょうがない。
3人が3人とも顔を赤くして、無言になってしまう。
それぞれ視線をよそに向けて馬車に揺られる。
「失礼いたします。王城に着きました」
馬車が停まって御者に声をかけられる。
ハッとして正気に戻るともうお城が目の前に迫っていた。
なんでいきなり王城に向かうことになったのかラストに聞くつもりだったのに聞くのも忘れてしまった。
ラストに言われ、リュードが先に降りて手を差し出す。
ラストがリュードの手に自分の手を添えて優雅に馬車を降りてくる。
忘れがちだけどラストも王族の一員でこうしたマナーも学んできた御令嬢なのだ。
ルフォンもラストに習ってリュードの手をとって降りようとするけどラストのような優雅さは流石に演出できない。
動作がぎこちなくラストには敵わない。
ドレスでの動きにもなれていなくてちょっと動きがカクカクしていた。
「お待ちしておりました、サキュルラスト様」
「お久しぶりです、ウグドーさん」
ラストがドレスをつまみ上げて軽く頭を下げる。
「お名前を覚えていただいておりまして光栄でございます」
「お父様の右腕であるウグドーさんを忘れることなんてありませんよ」
ヴィッツよりもさらに年上そうな老年の血人族が城の前で待っていた。
相当なお年に見えるのに杖すらもなくピンと背筋伸ばして立っている。
後ろには物々しい護衛たちが立ち、部下らしき人も側にいる。
ウグドーはラストの父親である王様の秘書官長を長年勤めている人物であった。
昔からラストを可愛がってくれた人の1人でラストが勉強でわからないことがあるとウグドーに聞きに行った。
どんなことでも丁寧に教えてくれて知識もある人であった。
「お初にお目にかかります、ウグドーと申します」
「これはどうも丁寧に。私はシューナリュードです」
「ルフォンと申します」
ルフォンはラストがやったようにドレスの裾を摘んで礼をする。
ぎこちなさもまた可愛らしい。