「町が見えてきた」
冒険者ギルドの防御魔法はすでに無くなっていた。
聖職者たちの神聖力が尽きて冒険者ギルドは冒険者と聖職者たちの必死の防衛で守られていた。
疲労が限界に近くなっていたけれど倒せば倒すだけスケルトンが減っていく。
新しく追加で来るスケルトンが無くなり、疲労を上回る希望が今の彼らを突き動かしていた。
疲れ果てた冒険者たちは聖水も武器に振りかけるのではなく、もう直接スケルトンにかけて倒したりしていた。
「デュラハンを倒したぞー!」
冒険者が倒れるのが先か、スケルトンが倒れるのが先か。
ギリギリのところで最後の希望がやってきた。
残りの魔力を振り絞ったモノランが演出も兼ねて雷を落とす。
最初来た時とは比べ物にならない細い雷だけど冒険者たちに何が来たのか知らしめるには十分であった。
「あれは!」
モノランがギルド横に着地する。
このまま倒れて眠ってしまいたい衝動に駆られながらもモノランは雷の神様のために、信仰の復活のためには必要だとピシッとかっこよく体を伸ばした。
「デュラハンは倒した! ダンジョンブレイクは終わってもうスケルトンはこれ以上増えないぞ! みんな、あとはこのギルドの周りのスケルトンだけだ!」
黒い神獣にまたがり、黒い剣を持った黒い姿の冒険者。
全てが黒いその姿はお話にあるような英雄とは違っているのだけど、その場にいる人々にとってはリュードは英雄だった。
“黒き英雄”
冒険者の間で噂されることとなる新たなる時代の若い冒険者の2つ名が生まれた瞬間だった。
「みんな、戦うぞ!」
リュードの姿を見たレヴィアンが剣を振り上げた。
ひょっとしたらというぐらいだった希望が確実なものとなった。
冒険者たちが残りの力を振り絞り、残った聖水をみんなで分けて武器にかけて聖職者すらも武器を持って戦う。
生きている者の生への執着がそこにはあった。
誰ももうスマートさなんてない野蛮な戦いが全ての最後を飾り、地面がスケルトンの骨で白く染まっていく。
「これで……最後だ!」
体力に自信があったリュードでも全身がドロの中にでもいるようで、持っている剣が途方もなく重たく感じられる。
真っ直ぐに振り下ろした剣はスケルトンを真っ二つに両断し、勢いを止めきれずに地面を叩きつけてしまった。
赤い。
人の血ではない。
空が赤くなっていたのだ。
朝から始まり、夕方までかかった戦い。
時間にすればたった1日にも満たない長い戦いが終わった。
「う、うぉぉぉお!」
レヴィアンが雄叫びを上げた。
それがきっかけだったようにみんなが武器を投げ出し、声を上げ、隣の人と抱き合った。
チッパの町が守られたとは言いがたいけれど魔物を退け避難してきた人や冒険者たちは守られた。
勝ったのだ。
涙を流し、ダンジョンブレイクが終わったことを実感し、命あることに感謝した。
「リューちゃん!」
「リュード!」
「おわっ!」
ルフォンとラストがリュードに抱きつく。
受け止めようとしたけどリュードも限界で、3人して地面に倒れ込んだ。
「今回ばかりは死ぬかと思ったな」
「私はリューちゃんと一緒なら大丈夫って思ったよ!」
「私もみんなと一緒ならなんでもできる気がするよ!」
ずっと一歩間違えると終わりを迎えてしまうような危機的状況にあり続けた。
モノランがいなかったらリュードたちはスケルトンに囲まれて悲惨な最後を迎えていたはずである。
「雷は最高だ! 雷の神様ありがとうございます! 雷の神獣に感謝を!」
誰かが地面に座るモノランにお礼を捧げ始めた。
別にお礼することももちろん考えているけれどリュードが説得した通りに雷の神様に対する信仰は高まったようだ。
体力の尽きた冒険者や聖職者たちは次々と地面に倒れ込むように寝始めた。
もう後処理も、帰って寝ることも出来なかった。
「モノラン……最後に頼みがあるんだ」
最後の力を振り絞ってリュードは立ち上がった。
ギルドの横で丸くなるように休んでいるモノランのところまで行った。
「何ですか? もう私も動けませんよ」
「分かってる……俺もだ。もう宿に戻る元気もない。ただこの地面で寝るのはちょっと嫌でな。モノランを枕にしてもいいか?」
「……ふふっ、よろしいですよ。魔力も通ってないのできっとフカフカですよ」
とんでもないお願い。
でもリュードならばとモノランは快くお願いを受け入れてくれて、丸まった体勢から少し体を伸ばしてくれる。
「ありがとう……」
「わーい」
「モノランありがとう!」
「あっ、ちょっとあなたたちは許可して……まあいいです」
リュードが倒れ込むようにモノランの上に寝る。
それを見てリュードの後ろにいたルフォンとラストもモノランのお腹にダイブしたのだ。
許可したのはリュードだけだったのがもう2人も寝てしまった。
神獣であったころはみんな近寄り難くしてきて人と仲良くすることもなかったとモノランは話を聞いていた。
こんな風に人と仲の良い神獣がいても良いではないかとモノランは思った。
「今回は特別ですよ」
3人を囲むようにモノランは再び丸くなって寝始めた。
冒険者ギルドの防御魔法はすでに無くなっていた。
聖職者たちの神聖力が尽きて冒険者ギルドは冒険者と聖職者たちの必死の防衛で守られていた。
疲労が限界に近くなっていたけれど倒せば倒すだけスケルトンが減っていく。
新しく追加で来るスケルトンが無くなり、疲労を上回る希望が今の彼らを突き動かしていた。
疲れ果てた冒険者たちは聖水も武器に振りかけるのではなく、もう直接スケルトンにかけて倒したりしていた。
「デュラハンを倒したぞー!」
冒険者が倒れるのが先か、スケルトンが倒れるのが先か。
ギリギリのところで最後の希望がやってきた。
残りの魔力を振り絞ったモノランが演出も兼ねて雷を落とす。
最初来た時とは比べ物にならない細い雷だけど冒険者たちに何が来たのか知らしめるには十分であった。
「あれは!」
モノランがギルド横に着地する。
このまま倒れて眠ってしまいたい衝動に駆られながらもモノランは雷の神様のために、信仰の復活のためには必要だとピシッとかっこよく体を伸ばした。
「デュラハンは倒した! ダンジョンブレイクは終わってもうスケルトンはこれ以上増えないぞ! みんな、あとはこのギルドの周りのスケルトンだけだ!」
黒い神獣にまたがり、黒い剣を持った黒い姿の冒険者。
全てが黒いその姿はお話にあるような英雄とは違っているのだけど、その場にいる人々にとってはリュードは英雄だった。
“黒き英雄”
冒険者の間で噂されることとなる新たなる時代の若い冒険者の2つ名が生まれた瞬間だった。
「みんな、戦うぞ!」
リュードの姿を見たレヴィアンが剣を振り上げた。
ひょっとしたらというぐらいだった希望が確実なものとなった。
冒険者たちが残りの力を振り絞り、残った聖水をみんなで分けて武器にかけて聖職者すらも武器を持って戦う。
生きている者の生への執着がそこにはあった。
誰ももうスマートさなんてない野蛮な戦いが全ての最後を飾り、地面がスケルトンの骨で白く染まっていく。
「これで……最後だ!」
体力に自信があったリュードでも全身がドロの中にでもいるようで、持っている剣が途方もなく重たく感じられる。
真っ直ぐに振り下ろした剣はスケルトンを真っ二つに両断し、勢いを止めきれずに地面を叩きつけてしまった。
赤い。
人の血ではない。
空が赤くなっていたのだ。
朝から始まり、夕方までかかった戦い。
時間にすればたった1日にも満たない長い戦いが終わった。
「う、うぉぉぉお!」
レヴィアンが雄叫びを上げた。
それがきっかけだったようにみんなが武器を投げ出し、声を上げ、隣の人と抱き合った。
チッパの町が守られたとは言いがたいけれど魔物を退け避難してきた人や冒険者たちは守られた。
勝ったのだ。
涙を流し、ダンジョンブレイクが終わったことを実感し、命あることに感謝した。
「リューちゃん!」
「リュード!」
「おわっ!」
ルフォンとラストがリュードに抱きつく。
受け止めようとしたけどリュードも限界で、3人して地面に倒れ込んだ。
「今回ばかりは死ぬかと思ったな」
「私はリューちゃんと一緒なら大丈夫って思ったよ!」
「私もみんなと一緒ならなんでもできる気がするよ!」
ずっと一歩間違えると終わりを迎えてしまうような危機的状況にあり続けた。
モノランがいなかったらリュードたちはスケルトンに囲まれて悲惨な最後を迎えていたはずである。
「雷は最高だ! 雷の神様ありがとうございます! 雷の神獣に感謝を!」
誰かが地面に座るモノランにお礼を捧げ始めた。
別にお礼することももちろん考えているけれどリュードが説得した通りに雷の神様に対する信仰は高まったようだ。
体力の尽きた冒険者や聖職者たちは次々と地面に倒れ込むように寝始めた。
もう後処理も、帰って寝ることも出来なかった。
「モノラン……最後に頼みがあるんだ」
最後の力を振り絞ってリュードは立ち上がった。
ギルドの横で丸くなるように休んでいるモノランのところまで行った。
「何ですか? もう私も動けませんよ」
「分かってる……俺もだ。もう宿に戻る元気もない。ただこの地面で寝るのはちょっと嫌でな。モノランを枕にしてもいいか?」
「……ふふっ、よろしいですよ。魔力も通ってないのできっとフカフカですよ」
とんでもないお願い。
でもリュードならばとモノランは快くお願いを受け入れてくれて、丸まった体勢から少し体を伸ばしてくれる。
「ありがとう……」
「わーい」
「モノランありがとう!」
「あっ、ちょっとあなたたちは許可して……まあいいです」
リュードが倒れ込むようにモノランの上に寝る。
それを見てリュードの後ろにいたルフォンとラストもモノランのお腹にダイブしたのだ。
許可したのはリュードだけだったのがもう2人も寝てしまった。
神獣であったころはみんな近寄り難くしてきて人と仲良くすることもなかったとモノランは話を聞いていた。
こんな風に人と仲の良い神獣がいても良いではないかとモノランは思った。
「今回は特別ですよ」
3人を囲むようにモノランは再び丸くなって寝始めた。