リュードはポーションも取り出して1本をラストに渡す。
「これ飲んどけ」
「何これ?」
「ポーションだ。少しでも体力回復させておいた方がいい」
「あ、うん……あれ、これ苦くない……」
覚悟を決めた表情でポーションを飲んだラストは驚いた。
ポーションといえばマズイものなのだけどリュードに渡されたポーションは苦くなく飲みやすかった。
リュードお手製の味改良ポーションはほとんどジュースみたいなレベルまで改良されていたのであった。
デュラハンもいなくなり、スケルトンがダンジョンに還ってだいぶ数が目減した。
あと少し、これで最後だと自分を奮い立たせてリュードたちはスケルトンと戦い始めた。
モノランが頑張ってくれて、ルフォンとヴィッツも加勢していたので残っているスケルトンはそんなに多くもなかった。
そんなにめざとく全部を倒す必要もない。多少離れていて向かってこないスケルトンは後で落ち着いてから探して処理しても問題はない。
「ラスト、本当に大丈夫か?」
どうにもラストの動きがおかしいとリュードは感じた。
何がおかしいのか聞かれても困るのだけど動きに違和感があるのだ。
ラストは普通レベルには剣も扱える。
剣は特に特別な作りでもなく普通のもので取り回しに苦労はないはず。
見ていて変、というかあまり見れないのである。
やたらと消極的でリュードの前に出てこない。
やっぱりケガでもしてるんじゃないかと思ったが後ろを振り返ってみるとラストは普通に戦っている。
ただ周りを、リュードの方を気にしながら戦っているように見えた。
ケガをして、それがバレないように無理をしているのではないかと心配になった。
「やっぱり背中を……背中…………ラスト?」
さっき背中が何かと言いかけたので背中を痛めたのだとリュードは確認しようとした。
しかしラストはリュードに背中を見せない。
まるで鏡に映っているかのようにラストはリュードの正面をキープする。
2人して円を描くように移動する。
なぜかラストの表情は必死だ。
理由がわからなくて困惑する。
ケガをしているにしてもあまりにも態度がおかしすぎる。
「ラスト……?」
「な、なんでもないの! 別に背中も痛くないしなんでもないの!」
「わぁ、可愛い翼!」
「ほら、申しましたでしょう? 昔はよくパタパタと動かして見せてくれたものです」
周りのスケルトンはおおよそ片付いた。
ルフォンとヴィッツもリュードたちに合流しに来た。
「み、見ないでぇ!」
リュードに背中を見せないラストの後ろから2人は来た。
そんなルフォンが見たのはラストの背中だった。
魔人化して大きくなった翼によって背中が破けてしまっていて、白い陶磁器のような背中に小さくて可愛らしい翼が一対見えていたのだ。
ラストは途端に顔を真っ赤にして飛び退いた。
誰にも背中が見られないようにみんなから距離を取った。
ラストの態度がおかしかったのはこの背中の翼を見られたくなかったからである。
リュードやルフォンのように先祖返りのラストは通常状態でも翼が残ってしまっていた。
ただミニチュアで非常に可愛らしい翼なのでラストはいつからか翼を見られるのが恥ずかしくなってしまったのである。
だからリュードに対して正面を向き続けたり戦いの最中は前に出なかったりした。
魔人化して戦うなんて戦闘経験のないラストは背中が露わになってしまうことなんて想像していなかった。
そのために魔人化して翼が大きくなった時に服の背中側が破けてしまっていたことに気づくのがだいぶ遅れたのだ。
デュラハンの頭が爆発してリュードに押し倒された時に地面の感触が背中に直に当たるのを感じてようやくラストは背中が丸見えなことに気づいた
「ふむ」
「ダ!」
「ふふーん」
「ダメェ!」
ルフォンと視線を合わせてちょっとしたイタズラ心で2人して後ろに回ってみようとする。
ものすごい勢いで後ろに下がるラスト。
このままではどこかに行ってしまいかねないのでほどほどところでやめておく。
「ラスト、ほら」
リュードは最初に投げ捨てたクロークの土を払ってラストに投げ渡す。
「着とけ」
かく言うリュードも爆発のために背中丸出しなのだけどラストの背中の方が大事である。
「あ、あんがと……」
リュードサイズのクロークはラストにはちょっと大きい。
フードまで被ってラストはようやく恥ずかしそうにみんなの側にきた。
「モノラン、そっちはどうだ?」
「だいぶ消耗しました。ですがまだ動けますよ」
「もうちょいで終わりだ。背中に乗せてくれないか?」
デュラハンは倒されてダンジョンブレイクは終わった。
スケルトンの援軍はもう来ないし、あとは町のスケルトンを倒すだけである。
デュラハンにある程度統率されていたからスケルトンはチッパに向かっていた。
けれどもうデュラハンはいないのでスケルトンは方々に散ってしまっている。
道中チッパに向かってるっぽいスケルトンはモノランが轢き倒してチッパに向かう。
「早いねぇ」
「うん、景色が流れてく……」
行きはそんな余裕がなかったけれどデュラハンを倒して少しだけ余裕ができた。
空は日が傾いてきてわずかに赤みを帯びてきていた。
そんな中をリュードたちを背中に乗せたモノランが駆け抜ける。
行きよりも遅いけどそれでもリュードたちが走るより断然速い。
「これ飲んどけ」
「何これ?」
「ポーションだ。少しでも体力回復させておいた方がいい」
「あ、うん……あれ、これ苦くない……」
覚悟を決めた表情でポーションを飲んだラストは驚いた。
ポーションといえばマズイものなのだけどリュードに渡されたポーションは苦くなく飲みやすかった。
リュードお手製の味改良ポーションはほとんどジュースみたいなレベルまで改良されていたのであった。
デュラハンもいなくなり、スケルトンがダンジョンに還ってだいぶ数が目減した。
あと少し、これで最後だと自分を奮い立たせてリュードたちはスケルトンと戦い始めた。
モノランが頑張ってくれて、ルフォンとヴィッツも加勢していたので残っているスケルトンはそんなに多くもなかった。
そんなにめざとく全部を倒す必要もない。多少離れていて向かってこないスケルトンは後で落ち着いてから探して処理しても問題はない。
「ラスト、本当に大丈夫か?」
どうにもラストの動きがおかしいとリュードは感じた。
何がおかしいのか聞かれても困るのだけど動きに違和感があるのだ。
ラストは普通レベルには剣も扱える。
剣は特に特別な作りでもなく普通のもので取り回しに苦労はないはず。
見ていて変、というかあまり見れないのである。
やたらと消極的でリュードの前に出てこない。
やっぱりケガでもしてるんじゃないかと思ったが後ろを振り返ってみるとラストは普通に戦っている。
ただ周りを、リュードの方を気にしながら戦っているように見えた。
ケガをして、それがバレないように無理をしているのではないかと心配になった。
「やっぱり背中を……背中…………ラスト?」
さっき背中が何かと言いかけたので背中を痛めたのだとリュードは確認しようとした。
しかしラストはリュードに背中を見せない。
まるで鏡に映っているかのようにラストはリュードの正面をキープする。
2人して円を描くように移動する。
なぜかラストの表情は必死だ。
理由がわからなくて困惑する。
ケガをしているにしてもあまりにも態度がおかしすぎる。
「ラスト……?」
「な、なんでもないの! 別に背中も痛くないしなんでもないの!」
「わぁ、可愛い翼!」
「ほら、申しましたでしょう? 昔はよくパタパタと動かして見せてくれたものです」
周りのスケルトンはおおよそ片付いた。
ルフォンとヴィッツもリュードたちに合流しに来た。
「み、見ないでぇ!」
リュードに背中を見せないラストの後ろから2人は来た。
そんなルフォンが見たのはラストの背中だった。
魔人化して大きくなった翼によって背中が破けてしまっていて、白い陶磁器のような背中に小さくて可愛らしい翼が一対見えていたのだ。
ラストは途端に顔を真っ赤にして飛び退いた。
誰にも背中が見られないようにみんなから距離を取った。
ラストの態度がおかしかったのはこの背中の翼を見られたくなかったからである。
リュードやルフォンのように先祖返りのラストは通常状態でも翼が残ってしまっていた。
ただミニチュアで非常に可愛らしい翼なのでラストはいつからか翼を見られるのが恥ずかしくなってしまったのである。
だからリュードに対して正面を向き続けたり戦いの最中は前に出なかったりした。
魔人化して戦うなんて戦闘経験のないラストは背中が露わになってしまうことなんて想像していなかった。
そのために魔人化して翼が大きくなった時に服の背中側が破けてしまっていたことに気づくのがだいぶ遅れたのだ。
デュラハンの頭が爆発してリュードに押し倒された時に地面の感触が背中に直に当たるのを感じてようやくラストは背中が丸見えなことに気づいた
「ふむ」
「ダ!」
「ふふーん」
「ダメェ!」
ルフォンと視線を合わせてちょっとしたイタズラ心で2人して後ろに回ってみようとする。
ものすごい勢いで後ろに下がるラスト。
このままではどこかに行ってしまいかねないのでほどほどところでやめておく。
「ラスト、ほら」
リュードは最初に投げ捨てたクロークの土を払ってラストに投げ渡す。
「着とけ」
かく言うリュードも爆発のために背中丸出しなのだけどラストの背中の方が大事である。
「あ、あんがと……」
リュードサイズのクロークはラストにはちょっと大きい。
フードまで被ってラストはようやく恥ずかしそうにみんなの側にきた。
「モノラン、そっちはどうだ?」
「だいぶ消耗しました。ですがまだ動けますよ」
「もうちょいで終わりだ。背中に乗せてくれないか?」
デュラハンは倒されてダンジョンブレイクは終わった。
スケルトンの援軍はもう来ないし、あとは町のスケルトンを倒すだけである。
デュラハンにある程度統率されていたからスケルトンはチッパに向かっていた。
けれどもうデュラハンはいないのでスケルトンは方々に散ってしまっている。
道中チッパに向かってるっぽいスケルトンはモノランが轢き倒してチッパに向かう。
「早いねぇ」
「うん、景色が流れてく……」
行きはそんな余裕がなかったけれどデュラハンを倒して少しだけ余裕ができた。
空は日が傾いてきてわずかに赤みを帯びてきていた。
そんな中をリュードたちを背中に乗せたモノランが駆け抜ける。
行きよりも遅いけどそれでもリュードたちが走るより断然速い。