「負けない!」
デュラハンが腕を振り、剣を投げた。
黒い軌跡を残して真っ直ぐラストに向かって剣が飛んでいく。
どうしてそんなことをしてしまったのかラストには分からない。
多分リュードみたいにって考えたからリュードみたいにしようとしたんだと思う。
ラストは持てる魔力を可能な限り弓に込めた。
両腕を振り上げて、力一杯振り下ろす。
何とラストはデュラハンの剣に対して弓をぶつけにいったのである。
かなり丈夫に作られた弓ではあるが、そんな用途を想定はしていない。
先祖返りの膨大な魔力を込めてデュラハンの剣と衝突した弓は悲鳴を上げた。
剣との衝突、そして膨大な魔力によってラストの弓は粉々に砕け散った。
代わりにその効果はあった。
ラストはデュラハンの剣を弾き返すことに成功した。
それもデュラハンの方に向かって剣は飛んでいった。
「リュード……あとは任せたよ」
魔力が無くなって背中の翼がシュルシュルと小さくなる。
砕けた弓で両手も傷ついているし、ゆっくりとラストは空中から落ちていった。
「よくもやってくれたな!」
激しく魔力同士がぶつかった結果に弾き返したデュラハンの剣はすごい勢いで飛んでいき、デュラハンの左腕を切り落とした。
デュラハンも避けようとはしていたけれど間に合わなかった。
さらにそこにリュードが迫る。
左腕を切り落とされたデュラハンは完全に隙だらけで防御方法となる剣も持っていない。
ラストが命懸けで作ってくれた大きなチャンスを逃してはならない。
時間が経ってリュードの剣に込められた神聖力は失われているけれどリュードの力まで失われたわけじゃない。
「おりゃああああっ!」
切られることに抵抗する魔力の反発を押し切ってデュラハンの体を袈裟斬りに真っ二つにする。
神聖力がないと非常に手応えが重たかったがリュードの魔力と力はデュラハンの抵抗を跳ね除けた。
胴体が真っ二つにされてデュラハンの重たい鎧の体がガシャリと音を立てて地面に倒れる。
「まだ死なないのか」
アンデットに対して死なないのかという言葉は不適切かもしれないが、デュラハンは真っ二つにされてもまだ動いていた。
デュラハンの体がくっついても嫌なので足を切り、2つになった胴体を離しておく。
思い切り剣を振り下ろさなければ足も切れず、聖水をかけてからやればよかったと後悔した。
「どうやったら倒せるんだ、これ? まあいい。ラスト、大丈夫か?」
とりあえずデュラハンは無害化された。
動いていると言っても腕でゆっくりと地面を這いずっているだけで脅威ではない。
倒すのは後回しにして、ラストに駆け寄る。
飛べたことも驚きだったけど剣を弾き返すなんてことも驚きだった。
ラストは地面に落ちたけど大きなケガはなく、お尻をさすっていた。
ラストの翼による飛行は翼による補助をしながら魔法で飛ぶ行為になる。
魔力が無くなって落下したラストだったけれども飛行は魔法であって魔力がなくなった瞬間に解けるものではなく落ちる速度は意外とゆっくりだった。
ふわりと落ちていって最後あと少しのところでドスンと落ちたのでお尻は痛んでもケガはなかったのである。
「立てるか?」
「うぅ〜気持ち悪い〜」
「魔力不足だな」
デュラハンの剣を弾き返すのに魔力をほとんど使ってしまった。
ラストは魔力が多いので経験したことがなかったが、魔力が無くなるとほとんどの人には異常が出る。
全くのゼロになると気も失ってしまうこともあるし、ラストのように魔力がギリギリまで少なくなると気分が悪くなってしまうこともある。
気分が悪いだけならまだ軽い方なので問題はない。
リュードが手を差し出すとラストは遠慮なく手に体重をかけて立ち上がる。
「デュラハンはもう倒したも同然だ」
ラストの無事を確認してリュードは笑顔を浮かべる。
まだデュラハンは倒していないのでトドメを刺しにいこうとラストの手を引く。
「うん、気持ち悪いな」
デュラハンはまだ動いている
上半身は真っ二つになって足もどうにか破壊したし左腕もラストによって切り離されている。
なのにデュラハンは倒されていない。
腕のついた上半身は這いずって動いているし、足や腕のない上半身部分も動こうとしているのかカタカタと震えている。
「もうちょい分断してみるか」
どうしたら倒せるのか分からなくてリュードは聖水をかけた剣でデュラハンをさらに切ってみる。
気味が悪い光景でどれだけ細かくしてもデュラハンが倒せそうな気がしない。
「うーん……」
「何か気づいたか?」
ただ倒せない不死の魔物であると聞いたこともない。
方法がきっとあるはずだ。
「んと、多分だけどデュラハン、あれに向かってない?」
「あれ? あれは……頭か」
デュラハンはリュードたちが近くにいても目もくれていない。
目的に向かって移動しているようにラストには見えていた。
デュラハンが向かっている先には転がっている黒いデュラハンの頭があった。
近くにいる敵よりも頭の方に向かうことを優先しているとラストは感じていたのだ。
ラストの言葉でようやくリュードもデュラハンが頭に向かっていることに気づいた。
そう言われてみると戦闘中もリュードの攻撃に対してやや頭を庇うようにしていた気がしないでもないと思った。
戦闘中は難しくて頭を狙ってみようと考えもしなかったが、大して必要もないものなら側に置かずに両手で剣を振った方が強そうなものである。
常に頭を持っているには理由がある。
「つまりあれがデュラハンの弱点なのか?」
リュードが頭の方に近づいていくとデュラハンの動きがわずかに早くなる。
デュラハンにとってこの頭が大切なものであることは間違いないと予感させる珍しい変化だった。
大丈夫か不安だけど頭を手に取ってみる。
見た目はフルフェイスの兜だけど首のところから中を見ようとしても真っ暗で見えない。
どうなってるのか疑問には思うけれど、触って確かめる勇気も出ないので秘密は秘密のままにしておく。
「リュード来てるよ!」
「あぶね!」
まじまじと頭を見ているといつの間にかデュラハンがリュードの後ろまで来ていた。
剣を出して腕だけでブンブンと振って襲いかかってきたので距離を取る。
ちょっと距離を取れば簡単に危険では無くなる。
慌ててまたリュードに接近しようと腕で這うが、リュードもデュラハンの上半身から距離を取る。
腕力が強いので這いずる速度も意外とバカにできない。
デュラハンが腕を振り、剣を投げた。
黒い軌跡を残して真っ直ぐラストに向かって剣が飛んでいく。
どうしてそんなことをしてしまったのかラストには分からない。
多分リュードみたいにって考えたからリュードみたいにしようとしたんだと思う。
ラストは持てる魔力を可能な限り弓に込めた。
両腕を振り上げて、力一杯振り下ろす。
何とラストはデュラハンの剣に対して弓をぶつけにいったのである。
かなり丈夫に作られた弓ではあるが、そんな用途を想定はしていない。
先祖返りの膨大な魔力を込めてデュラハンの剣と衝突した弓は悲鳴を上げた。
剣との衝突、そして膨大な魔力によってラストの弓は粉々に砕け散った。
代わりにその効果はあった。
ラストはデュラハンの剣を弾き返すことに成功した。
それもデュラハンの方に向かって剣は飛んでいった。
「リュード……あとは任せたよ」
魔力が無くなって背中の翼がシュルシュルと小さくなる。
砕けた弓で両手も傷ついているし、ゆっくりとラストは空中から落ちていった。
「よくもやってくれたな!」
激しく魔力同士がぶつかった結果に弾き返したデュラハンの剣はすごい勢いで飛んでいき、デュラハンの左腕を切り落とした。
デュラハンも避けようとはしていたけれど間に合わなかった。
さらにそこにリュードが迫る。
左腕を切り落とされたデュラハンは完全に隙だらけで防御方法となる剣も持っていない。
ラストが命懸けで作ってくれた大きなチャンスを逃してはならない。
時間が経ってリュードの剣に込められた神聖力は失われているけれどリュードの力まで失われたわけじゃない。
「おりゃああああっ!」
切られることに抵抗する魔力の反発を押し切ってデュラハンの体を袈裟斬りに真っ二つにする。
神聖力がないと非常に手応えが重たかったがリュードの魔力と力はデュラハンの抵抗を跳ね除けた。
胴体が真っ二つにされてデュラハンの重たい鎧の体がガシャリと音を立てて地面に倒れる。
「まだ死なないのか」
アンデットに対して死なないのかという言葉は不適切かもしれないが、デュラハンは真っ二つにされてもまだ動いていた。
デュラハンの体がくっついても嫌なので足を切り、2つになった胴体を離しておく。
思い切り剣を振り下ろさなければ足も切れず、聖水をかけてからやればよかったと後悔した。
「どうやったら倒せるんだ、これ? まあいい。ラスト、大丈夫か?」
とりあえずデュラハンは無害化された。
動いていると言っても腕でゆっくりと地面を這いずっているだけで脅威ではない。
倒すのは後回しにして、ラストに駆け寄る。
飛べたことも驚きだったけど剣を弾き返すなんてことも驚きだった。
ラストは地面に落ちたけど大きなケガはなく、お尻をさすっていた。
ラストの翼による飛行は翼による補助をしながら魔法で飛ぶ行為になる。
魔力が無くなって落下したラストだったけれども飛行は魔法であって魔力がなくなった瞬間に解けるものではなく落ちる速度は意外とゆっくりだった。
ふわりと落ちていって最後あと少しのところでドスンと落ちたのでお尻は痛んでもケガはなかったのである。
「立てるか?」
「うぅ〜気持ち悪い〜」
「魔力不足だな」
デュラハンの剣を弾き返すのに魔力をほとんど使ってしまった。
ラストは魔力が多いので経験したことがなかったが、魔力が無くなるとほとんどの人には異常が出る。
全くのゼロになると気も失ってしまうこともあるし、ラストのように魔力がギリギリまで少なくなると気分が悪くなってしまうこともある。
気分が悪いだけならまだ軽い方なので問題はない。
リュードが手を差し出すとラストは遠慮なく手に体重をかけて立ち上がる。
「デュラハンはもう倒したも同然だ」
ラストの無事を確認してリュードは笑顔を浮かべる。
まだデュラハンは倒していないのでトドメを刺しにいこうとラストの手を引く。
「うん、気持ち悪いな」
デュラハンはまだ動いている
上半身は真っ二つになって足もどうにか破壊したし左腕もラストによって切り離されている。
なのにデュラハンは倒されていない。
腕のついた上半身は這いずって動いているし、足や腕のない上半身部分も動こうとしているのかカタカタと震えている。
「もうちょい分断してみるか」
どうしたら倒せるのか分からなくてリュードは聖水をかけた剣でデュラハンをさらに切ってみる。
気味が悪い光景でどれだけ細かくしてもデュラハンが倒せそうな気がしない。
「うーん……」
「何か気づいたか?」
ただ倒せない不死の魔物であると聞いたこともない。
方法がきっとあるはずだ。
「んと、多分だけどデュラハン、あれに向かってない?」
「あれ? あれは……頭か」
デュラハンはリュードたちが近くにいても目もくれていない。
目的に向かって移動しているようにラストには見えていた。
デュラハンが向かっている先には転がっている黒いデュラハンの頭があった。
近くにいる敵よりも頭の方に向かうことを優先しているとラストは感じていたのだ。
ラストの言葉でようやくリュードもデュラハンが頭に向かっていることに気づいた。
そう言われてみると戦闘中もリュードの攻撃に対してやや頭を庇うようにしていた気がしないでもないと思った。
戦闘中は難しくて頭を狙ってみようと考えもしなかったが、大して必要もないものなら側に置かずに両手で剣を振った方が強そうなものである。
常に頭を持っているには理由がある。
「つまりあれがデュラハンの弱点なのか?」
リュードが頭の方に近づいていくとデュラハンの動きがわずかに早くなる。
デュラハンにとってこの頭が大切なものであることは間違いないと予感させる珍しい変化だった。
大丈夫か不安だけど頭を手に取ってみる。
見た目はフルフェイスの兜だけど首のところから中を見ようとしても真っ暗で見えない。
どうなってるのか疑問には思うけれど、触って確かめる勇気も出ないので秘密は秘密のままにしておく。
「リュード来てるよ!」
「あぶね!」
まじまじと頭を見ているといつの間にかデュラハンがリュードの後ろまで来ていた。
剣を出して腕だけでブンブンと振って襲いかかってきたので距離を取る。
ちょっと距離を取れば簡単に危険では無くなる。
慌ててまたリュードに接近しようと腕で這うが、リュードもデュラハンの上半身から距離を取る。
腕力が強いので這いずる速度も意外とバカにできない。