「…………今ここで困っている人も多くいる」
だからどうすればモノランを説得できるか思案した。
何も助けないとは言っておらず、やるからには利益が欲しいようだ。
ここでモノランが動く利益はなんだろうかと考えを巡らせる。
「だからなんだ?」
「そんな人たちの目の前で雷属性の魔法を使って敵を倒して、みんなを助け出すんだ。するとどうなると思う?」
「どうなる?」
モノランが今最も欲しいものはなにか。
それはきっと雷の神様に対する信仰だろう。
「みんな雷の力に感謝するだろう。上手くやれば中には雷の力だったり雷の神様を崇める人が出るかもしれない。つまり信奉者を増やすいい機会にもなるわけだ!」
「なるほど!」
「雷の神様の神殿を建てるのにも理由は必要だ。危機に陥っている町を一つ救ったのが神獣で、それが雷の神様の神獣なら神殿を建てる理由にもなるだろう?」
「なんとなんと、リュードは頭がいいですね!」
咄嗟に考えたモノランの利益だけど悪くはない。
ここでモノランが人を助ければ絶好のアピールになる。
加えてモノランが悪い魔物ではないという印象も人々に与えておく必要があるとリュードは考えた。
「私の利益もありますしこれは喜んでリュードの頼みを聞きましょう」
すっかり乗り気になったモノランの鼻息は荒い。
信仰を高められるとあってはモノランとしては断るわけにいかない。
モノラン1体で戦況をひっくり返せるかは分からないけれど、神獣でなくなってしまった今でも強大な力を持っているのでだいぶ希望も見えてくる。
最悪モノランと協力して退路だけでも切り開くことはできるかもしれない。
「私は何をすればいいですか?」
「まずはみんなと合流しよう」
「それは……あちらですね。神聖力が感じられます」
神獣であったモノランは離れた神聖力をも感じられた。
ただそれは門の方角ではなく、やはり撤退を余儀なくされたかとリュードは苦々しい表情を浮かべる。
「乗ってください。その方が早く移動できます」
「分かった、ありがとう」
「背中に乗せるのはリュードだけですからね。痛くはないのでしっかりと毛を掴んでください。落としちゃうかもしれないので」
実は乗ってみたかったんだ、なんて思いを顔には出さずにリュードはモノランの背中に乗った。
リュードはモノランの背中にまたがるとモノランの毛を掴む。
魔力を込めていないモノランの毛は柔らかく意外と手触りが良い。
意外と毛がもふもふしていて足でモノランの胴体を挟み込もうとすると毛の中に足が埋まっていく。
気持ちがいいなとリュードは思った。
リュードが乗ったことを確認してモノランは跳び上がる。
家の屋根から家の屋根へと飛び移っていき、すごい速さで移動していく。
これならあっという間に着きそうだ。
「モノラン、登場は派手に行こう! 強めの1発を頼むよ」
「任せなさい!」
元とはいえ神獣の子孫の力は凄かった。
冒険者ギルドを囲むスケルトンたちに何本もの太い落雷が落ちる。
高い威力にスケルトンたちが消滅し、地面が焦げたようなスケルトンの空白地帯がいくつも出来上がっていた。
火や神聖力だけでなく威力があればあのようにスケルトンを倒すことも出来るのだ。
そしてスケルトンの集団を乗り越えてモノランは冒険者ギルドの前に着地した。
「みんなよく聞け! こちらは雷の神様オーディアウスの使いである神獣だ! 雷の神様オーディアウスがこの危機的状況を見かねて助けをつかわせてくれた! みんな、まだ希望を捨てるには早いぞ!」
多少大袈裟で演技くさいかもしれないけど、ここで1つ大きく言っておくことでモノランが味方であり神獣であることが印象付けられる。
チラリと視線を向けるとリュードの考えを察したモノランがスケルトンに雷を落とす。
感嘆の声が漏れ聞こえる。
圧倒的な強さの魔物に見えるモノランだが背中にはリュードが堂々と乗っている。
誰もそれが巷ではペラフィランと呼ばれる凶獣だとは気づいていない。
神様が送ってくれた支援の神獣であるとみな信じていた。
「まだ諦めるには早いぞ! 武器を手に取り、今一度戦うんだ!」
「……俺はやるぞ!」
一番に声を上げたのはレヴィアンであった。
レヴィアンも護衛も無事に撤退していた。
スケルトンナイトも倒したレヴィアンだが.まだまだ体力には余裕があったし全く希望は捨てていなかった。
なんとしても生きて国に帰ってみせると強い意思を持っていた。
自分よりも強いリュードが神獣を連れてきてくれたので戦える、勝てると剣を振り上げた。
レヴィアンを皮切りにして暗かった冒険者ギルドの中が盛り上がってくる。
「俺たちはまだ負けていない!」
「そ、そうだ……まだ諦められない」
「やるぞ、俺はまだやるぞ!」
希望を取り戻した冒険者たちが武器を手に取る。
「ルフォン、ラスト……え、えっ?」
再びやる気を取り戻した冒険者たちにジグーズが指示を出している。
聖職者たちに負担はかけられないので聖水を出してみんなに配っていく。
その間にリュードは心配をかけたことを謝ろうとルフォンたちに駆け寄った。
やっぱり心配なものは心配だった。
ルフォンはリュードの首に手を回して抱きつき、右手の袖をラストが掴んで、左手をヴィッツが取った。
おい、1人おかしいのがいるぞとツッコミかけるけどルフォンとラストの様子を見て言うのはとどまった。
だからどうすればモノランを説得できるか思案した。
何も助けないとは言っておらず、やるからには利益が欲しいようだ。
ここでモノランが動く利益はなんだろうかと考えを巡らせる。
「だからなんだ?」
「そんな人たちの目の前で雷属性の魔法を使って敵を倒して、みんなを助け出すんだ。するとどうなると思う?」
「どうなる?」
モノランが今最も欲しいものはなにか。
それはきっと雷の神様に対する信仰だろう。
「みんな雷の力に感謝するだろう。上手くやれば中には雷の力だったり雷の神様を崇める人が出るかもしれない。つまり信奉者を増やすいい機会にもなるわけだ!」
「なるほど!」
「雷の神様の神殿を建てるのにも理由は必要だ。危機に陥っている町を一つ救ったのが神獣で、それが雷の神様の神獣なら神殿を建てる理由にもなるだろう?」
「なんとなんと、リュードは頭がいいですね!」
咄嗟に考えたモノランの利益だけど悪くはない。
ここでモノランが人を助ければ絶好のアピールになる。
加えてモノランが悪い魔物ではないという印象も人々に与えておく必要があるとリュードは考えた。
「私の利益もありますしこれは喜んでリュードの頼みを聞きましょう」
すっかり乗り気になったモノランの鼻息は荒い。
信仰を高められるとあってはモノランとしては断るわけにいかない。
モノラン1体で戦況をひっくり返せるかは分からないけれど、神獣でなくなってしまった今でも強大な力を持っているのでだいぶ希望も見えてくる。
最悪モノランと協力して退路だけでも切り開くことはできるかもしれない。
「私は何をすればいいですか?」
「まずはみんなと合流しよう」
「それは……あちらですね。神聖力が感じられます」
神獣であったモノランは離れた神聖力をも感じられた。
ただそれは門の方角ではなく、やはり撤退を余儀なくされたかとリュードは苦々しい表情を浮かべる。
「乗ってください。その方が早く移動できます」
「分かった、ありがとう」
「背中に乗せるのはリュードだけですからね。痛くはないのでしっかりと毛を掴んでください。落としちゃうかもしれないので」
実は乗ってみたかったんだ、なんて思いを顔には出さずにリュードはモノランの背中に乗った。
リュードはモノランの背中にまたがるとモノランの毛を掴む。
魔力を込めていないモノランの毛は柔らかく意外と手触りが良い。
意外と毛がもふもふしていて足でモノランの胴体を挟み込もうとすると毛の中に足が埋まっていく。
気持ちがいいなとリュードは思った。
リュードが乗ったことを確認してモノランは跳び上がる。
家の屋根から家の屋根へと飛び移っていき、すごい速さで移動していく。
これならあっという間に着きそうだ。
「モノラン、登場は派手に行こう! 強めの1発を頼むよ」
「任せなさい!」
元とはいえ神獣の子孫の力は凄かった。
冒険者ギルドを囲むスケルトンたちに何本もの太い落雷が落ちる。
高い威力にスケルトンたちが消滅し、地面が焦げたようなスケルトンの空白地帯がいくつも出来上がっていた。
火や神聖力だけでなく威力があればあのようにスケルトンを倒すことも出来るのだ。
そしてスケルトンの集団を乗り越えてモノランは冒険者ギルドの前に着地した。
「みんなよく聞け! こちらは雷の神様オーディアウスの使いである神獣だ! 雷の神様オーディアウスがこの危機的状況を見かねて助けをつかわせてくれた! みんな、まだ希望を捨てるには早いぞ!」
多少大袈裟で演技くさいかもしれないけど、ここで1つ大きく言っておくことでモノランが味方であり神獣であることが印象付けられる。
チラリと視線を向けるとリュードの考えを察したモノランがスケルトンに雷を落とす。
感嘆の声が漏れ聞こえる。
圧倒的な強さの魔物に見えるモノランだが背中にはリュードが堂々と乗っている。
誰もそれが巷ではペラフィランと呼ばれる凶獣だとは気づいていない。
神様が送ってくれた支援の神獣であるとみな信じていた。
「まだ諦めるには早いぞ! 武器を手に取り、今一度戦うんだ!」
「……俺はやるぞ!」
一番に声を上げたのはレヴィアンであった。
レヴィアンも護衛も無事に撤退していた。
スケルトンナイトも倒したレヴィアンだが.まだまだ体力には余裕があったし全く希望は捨てていなかった。
なんとしても生きて国に帰ってみせると強い意思を持っていた。
自分よりも強いリュードが神獣を連れてきてくれたので戦える、勝てると剣を振り上げた。
レヴィアンを皮切りにして暗かった冒険者ギルドの中が盛り上がってくる。
「俺たちはまだ負けていない!」
「そ、そうだ……まだ諦められない」
「やるぞ、俺はまだやるぞ!」
希望を取り戻した冒険者たちが武器を手に取る。
「ルフォン、ラスト……え、えっ?」
再びやる気を取り戻した冒険者たちにジグーズが指示を出している。
聖職者たちに負担はかけられないので聖水を出してみんなに配っていく。
その間にリュードは心配をかけたことを謝ろうとルフォンたちに駆け寄った。
やっぱり心配なものは心配だった。
ルフォンはリュードの首に手を回して抱きつき、右手の袖をラストが掴んで、左手をヴィッツが取った。
おい、1人おかしいのがいるぞとツッコミかけるけどルフォンとラストの様子を見て言うのはとどまった。