数で圧倒されているので崩れ始めてしまうと止められなかった。
スケルトンたちはドンドンと町の中に雪崩れ込んでいき、無理して戦っても勝機はないと撤退を余儀なくされてしまった。
全員が全員逃げ切れたかは分からない。
何人かいないような気がするけれど、誰もいないような気がする人のことには触れなかった。
今は皆冒険者ギルドの建物の中にいる。
聖職者たちによる防御魔法によってなんとかスケルトンの侵入を防いでいた。
冒険者ギルド内の空気は重い。
二階部分には町に残っていて動けた人が避難していて冒険者ギルドが最後の砦となっている。
スケルトンに囲まれて、風前の灯となった頼りない砦ではある。
「ね、ねえ、リュードいないよ!」
ラストの顔が青ざめる。
ルフォンやラストはしんがりでスケルトンと戦いつつ撤退していたので最後に冒険者ギルドに逃げ込んだ。
冒険者ギルドの中を探してみたけれどリュードの姿はそこになかった。
どこかへ行くと言って戦場を離れてから戻ってきていない。
「……リューちゃんなら大丈夫だよ」
そんな顔で言われても説得力がないとラストは思った。
ラストのほど動揺はしていなくてもルフォンはすごく心配そうな顔をしている。
大丈夫と言いつつも胸中でリュードの安否を案じている。
周りに人のいないところにいたなら撤退して冒険者ギルドに退いていることを知らないのかもしれない。
まさかリュードがスケルトンに囲まれてやられしまったなんて考えられないけれど不安は尽きない。
探しに行きたくても神聖力の防御魔法から1歩でも外に出るとスケルトンに埋め尽くされていて出ることはできない。
援軍が来るまで持つのか。
聖職者たちの神聖力が尽きてしまえばスケルトンたちはギルドに押し寄せてくる。
重たい空気の中、全員が少しずつ死の覚悟をし始めていた。
「リューちゃん……」
「リュード……」
こんな時ならリュードはどうするか。
粘り強く最後まで諦めないリュードなら何をする。
ルフォンは考えた。
きっと最後の最後まで抵抗してみせるはずだ。
情けなく死んだなんてリュードはしないだろうし、ルフォンもそんな終わりにはしない。
すっかり明るくなった窓から空を眺めているとルフォンは何かを見た。
「ルフォン?」
急にペタリとミミを畳んで尻尾を激しく振り始めるルフォンの様子にラストは驚いた。
ルフォンは冒険者ギルドの入り口に向かう。
なんだろうと窓の外をラストが覗き込んだ。
「目があぁぁあ!」
閃光。
強い光が轟音と共にラストの目を襲撃した。
固く閉ざされた冒険者ギルドのドアを開けるとルフォンの尻尾はちぎれそうなほど振られていた。
「ごめん、待たせたな!」
「リューちゃん!」
「な、なんだあれ……」
「今のは一体なんだ!」
「みんなよく聞け! こちらは雷の神様オーディアウスの使いである神獣だ!」
ギルドの前に降り立ったのはモノランに騎乗したリュードであった。
閃光と轟音はモノランが放った雷の魔法。
リュードがモノランから飛び降りてギルドから出てくる人に少し演技がかったようにモノランのことを紹介する。
人の視線なんて浴びたくはないのだけど今は仕方ない。
恥ずかしいけど大袈裟に、印象付けるように説明する。
「雷の神様オーディアウスがこの危機的状況を見かねて助けをつかわせてくれた! みんな、まだ希望を捨てるには早いぞ!」
ーーーーー
「あれぇ……どこにしまったけ?」
マジックボックスの袋はいくつもある。
普段の状況ならどこに何をしまっているのかちゃんとすぐに分かるのだけれど、こうして焦っているとなぜなのか分からなくなってしまう。
「あったあった、これだ!」
戦いから離れたリュードは泊まっていた宿に来ていた。
そして袋から探して取り出したのはモノランからもらった毛であった。
これはモノランから渡された呼び出す時に使えと言われた毛である。
リュードが魔法でモノランの毛を燃やすとポワッとモノランの毛が一瞬発光してみせた。
「……これでいいのか?」
どうなれば正解なのか知らない。
とりあえずリュードは待ってみることにした。
早くみんなのところに行きたいけど多分毛を燃やしたところ目がけてくるはずだから移動できない。
状況でも分からないかと窓から覗いていると町の中をスケルトンが歩いているのが見え始めた。
すり抜けたスケルトンかと思ったけど1体や2体じゃなく続々とスケルトンがやってくる。
リュードはなんとなく状況を察する
防衛線が崩壊した。
冒険者たちまでがやられてしまったとは考えにくいので撤退したのだろうことは予想できた。
ルフォンたちが無事なのか焦燥に駆られる。
落ち着かなくて、リュードは宿の屋上に上がった。
周りの様子もよく見えるし、モノランが来たらすぐに分かる。
「おっ、来た」
「なんだなんだ? これは一体どういう状況だ?」
建物の屋根の上を跳ねてモノランがリュードのところまで来た。
モノランがいたところからチッパの町まで相当な距離があるはずなのにとんでもない速さである。
「意外と遠いからと全速力で来てみれば約束を果たしたわけじゃなさそうだな」
「そうなんだ。ちょっと困ったことになって助けてほしいんだ」
「……リュードの頼みなら断れないけど私にとって頼みを聞く利益はなんだ?」
善意だけで人を助けることはない。
冷たいようだけどモノランは人ではないのであって、人を助ける義務なんてないのだ。
なんなら危なそうだしリュードだけここから連れ出してもいいと思った。
ただリュードはもちろん町を救うつもりでいた。
スケルトンたちはドンドンと町の中に雪崩れ込んでいき、無理して戦っても勝機はないと撤退を余儀なくされてしまった。
全員が全員逃げ切れたかは分からない。
何人かいないような気がするけれど、誰もいないような気がする人のことには触れなかった。
今は皆冒険者ギルドの建物の中にいる。
聖職者たちによる防御魔法によってなんとかスケルトンの侵入を防いでいた。
冒険者ギルド内の空気は重い。
二階部分には町に残っていて動けた人が避難していて冒険者ギルドが最後の砦となっている。
スケルトンに囲まれて、風前の灯となった頼りない砦ではある。
「ね、ねえ、リュードいないよ!」
ラストの顔が青ざめる。
ルフォンやラストはしんがりでスケルトンと戦いつつ撤退していたので最後に冒険者ギルドに逃げ込んだ。
冒険者ギルドの中を探してみたけれどリュードの姿はそこになかった。
どこかへ行くと言って戦場を離れてから戻ってきていない。
「……リューちゃんなら大丈夫だよ」
そんな顔で言われても説得力がないとラストは思った。
ラストのほど動揺はしていなくてもルフォンはすごく心配そうな顔をしている。
大丈夫と言いつつも胸中でリュードの安否を案じている。
周りに人のいないところにいたなら撤退して冒険者ギルドに退いていることを知らないのかもしれない。
まさかリュードがスケルトンに囲まれてやられしまったなんて考えられないけれど不安は尽きない。
探しに行きたくても神聖力の防御魔法から1歩でも外に出るとスケルトンに埋め尽くされていて出ることはできない。
援軍が来るまで持つのか。
聖職者たちの神聖力が尽きてしまえばスケルトンたちはギルドに押し寄せてくる。
重たい空気の中、全員が少しずつ死の覚悟をし始めていた。
「リューちゃん……」
「リュード……」
こんな時ならリュードはどうするか。
粘り強く最後まで諦めないリュードなら何をする。
ルフォンは考えた。
きっと最後の最後まで抵抗してみせるはずだ。
情けなく死んだなんてリュードはしないだろうし、ルフォンもそんな終わりにはしない。
すっかり明るくなった窓から空を眺めているとルフォンは何かを見た。
「ルフォン?」
急にペタリとミミを畳んで尻尾を激しく振り始めるルフォンの様子にラストは驚いた。
ルフォンは冒険者ギルドの入り口に向かう。
なんだろうと窓の外をラストが覗き込んだ。
「目があぁぁあ!」
閃光。
強い光が轟音と共にラストの目を襲撃した。
固く閉ざされた冒険者ギルドのドアを開けるとルフォンの尻尾はちぎれそうなほど振られていた。
「ごめん、待たせたな!」
「リューちゃん!」
「な、なんだあれ……」
「今のは一体なんだ!」
「みんなよく聞け! こちらは雷の神様オーディアウスの使いである神獣だ!」
ギルドの前に降り立ったのはモノランに騎乗したリュードであった。
閃光と轟音はモノランが放った雷の魔法。
リュードがモノランから飛び降りてギルドから出てくる人に少し演技がかったようにモノランのことを紹介する。
人の視線なんて浴びたくはないのだけど今は仕方ない。
恥ずかしいけど大袈裟に、印象付けるように説明する。
「雷の神様オーディアウスがこの危機的状況を見かねて助けをつかわせてくれた! みんな、まだ希望を捨てるには早いぞ!」
ーーーーー
「あれぇ……どこにしまったけ?」
マジックボックスの袋はいくつもある。
普段の状況ならどこに何をしまっているのかちゃんとすぐに分かるのだけれど、こうして焦っているとなぜなのか分からなくなってしまう。
「あったあった、これだ!」
戦いから離れたリュードは泊まっていた宿に来ていた。
そして袋から探して取り出したのはモノランからもらった毛であった。
これはモノランから渡された呼び出す時に使えと言われた毛である。
リュードが魔法でモノランの毛を燃やすとポワッとモノランの毛が一瞬発光してみせた。
「……これでいいのか?」
どうなれば正解なのか知らない。
とりあえずリュードは待ってみることにした。
早くみんなのところに行きたいけど多分毛を燃やしたところ目がけてくるはずだから移動できない。
状況でも分からないかと窓から覗いていると町の中をスケルトンが歩いているのが見え始めた。
すり抜けたスケルトンかと思ったけど1体や2体じゃなく続々とスケルトンがやってくる。
リュードはなんとなく状況を察する
防衛線が崩壊した。
冒険者たちまでがやられてしまったとは考えにくいので撤退したのだろうことは予想できた。
ルフォンたちが無事なのか焦燥に駆られる。
落ち着かなくて、リュードは宿の屋上に上がった。
周りの様子もよく見えるし、モノランが来たらすぐに分かる。
「おっ、来た」
「なんだなんだ? これは一体どういう状況だ?」
建物の屋根の上を跳ねてモノランがリュードのところまで来た。
モノランがいたところからチッパの町まで相当な距離があるはずなのにとんでもない速さである。
「意外と遠いからと全速力で来てみれば約束を果たしたわけじゃなさそうだな」
「そうなんだ。ちょっと困ったことになって助けてほしいんだ」
「……リュードの頼みなら断れないけど私にとって頼みを聞く利益はなんだ?」
善意だけで人を助けることはない。
冷たいようだけどモノランは人ではないのであって、人を助ける義務なんてないのだ。
なんなら危なそうだしリュードだけここから連れ出してもいいと思った。
ただリュードはもちろん町を救うつもりでいた。