「も、門が!」
ただ人の命は守れたが門は守れなかった。
やはり門を閉じてはダメだったのだ。
デュラハンの一撃によって門は破壊され、スケルトンがドンドンと流れ込んでくる。
もうすでにデュラハンの姿は見えず、これが目的であったのだなとリュードは苦い顔をした。
「くそっ、時間を稼ぐんだ! 土魔法で門を塞いでしまえ!」
デュラハンの黒い魔力と相打ちになって剣にかかっていた神聖力が消えてしまった。
リュードは聖水を取り出すと剣に振りかける。
神官にかけてもらったよりは弱い光を放つ神聖力を剣がまとう。
まずは前に出たためにスケルトンに囲まれてしまっているので下がらなきゃいけない。
周り全部ではなく下がるのに邪魔になるスケルトンだけを相手取って倒していく。
切り倒して道を開きたいけれどスケルトンはドンドンと増えていく。
「リュード、大丈夫?」
「ああ、助かったよ!」
押し寄せるスケルトンに焦りを感じていたら急に前が開けた。
ルフォンやラストがリュードのために道を切り開いていてくれていたのである。
「みんな、下がるんだ!」
「ファイアストーム!」
冒険者の何人かが協力して魔法を使う。
渦を巻く炎がスケルトンを巻き込んで門までの間を一掃する。
門が燃えてしまうが壊れてしまった門はもう門としての役割を果たしていないので気にすることもない。
「アースウォール!」
続いて別の冒険者たちが土属性の魔法を使う。
地面がせり上がり、門の内側が土でピタリと覆われてしまう。
これでひとまずスケルトンの侵入を防ぐことはできた。
魔法を発動させて塞ぐまでの間に入ってきたスケルトンをみんなで片付ける。
「くっ……してやられたな」
完全に塞いでしまったのでスケルトンを引き込んで数を減らす作戦はもう使えない。
「助かったぜ、兄ちゃん」
イカツイ顔をした冒険者が汗を拭いながらリュードに近づく。
「すまなかったな、言うこと聞かんで」
「いえ、しょうがないですよ」
リュードがいなかったらデュラハンの剣で死傷者が出ていた。
それにリュードの声に従っていれば門は壊れずに済んでいたかもしれない。
ただしその時はデュラハンの剣を防げたかは分からない。
「まさかあんな力技を壊してくるとはな……よくあれを防げたもんだ。若いのにやるな」
誰もリュードの声に耳を傾けず結果的には門を破壊されてしまうという誤った判断になってしまった。
それを誤った判断だったと言い切ることはリュードにもできない。
あの状況、あの場面では門を閉じてしまうことはリュードの頭にも浮かんだ考えだった。
デュラハンの動きを見て嫌な予感がして、直感的に叫んだにすぎない。
結果的に悪手になっただけで誰もが下す当然の判断だったので批判することなどできない。
「他の門に向かおう! ここで戦うことはできない!」
リュードたちがいるのは北側にある北門である。
門を塞いでしまったので他の門を助けに行くことになった。
スケルトンが登ってくることを防ぐための城壁の上の戦力を残してリュードたちは別の門にそれぞれ向かうことになった。
「レヴィアン、何があった!」
「済まない、スケルトンメイジにやられた!」
リュードたちはレヴィアンが向かった西門に支援に行くことにしたのだが状況は最悪であった。
門は破壊され、冒険者たちが必死にスケルトンを食い止めていた。
スケルトンメイジも一体だけならさして脅威でもない。
けれど何体も集まれば、そして集まったスケルトンメイジが協力して魔法を使えば門も耐えられなかった。
デュラハンの攻撃のように派手に壊れたわけではないが門の下側に大きな穴が開き、そこからわらわらとスケルトンたちが入ってきている。
それだけではなくスケルトンの上位種であるスケルトンナイトも何体がいる。
そしてスケルトンたちの後ろからはスケルトンメイジが魔法で攻撃までしてきていて、徐々に押されてしまっていた。
先ほどのように門を土魔法で塞ごうにもスケルトンに押されてしまって距離ができてしまって魔法が届かない。
敵が多すぎて近づくこともできないとかなり状況が悪くなっていたのである。
「東側の一部で城壁が崩壊した!」
刻一刻と状況が悪くなる。
このままでは援軍が来る前にリュードたちはやられてチッパは廃墟と化してしまう。
「もう! モノランみたいな化け物に襲われたり、スケルトンに囲まれたり、どうして私ばっかりこんな目にあわなきゃいけないの!」
八つ当たりするようにラストがムチでスケルトンを破壊する。
ずっと我慢してきた不満がとうとう爆発したのだ。
大人の試練という文化がある血人族には、乗り越えられない試練はないという言葉がある。
その意味内容は前後の文脈によって異なってくるのであるが大体の場合なんとかなるさぐらいの意味合いが大きい。
けれどもなんともならない場面、少なくともラストではどうしようないことが多すぎる。
「……それだ!」
追い詰められつつあるこの状況を乗り切るには何か手を打つ必要がある。
それも状況を一変させるような起死回生の一手がいる。
戦いながら頭をフル回転させて方法を考えていたリュードは閃いた。
「どうしたの、リューちゃん?」
「ルフォン、ラスト、俺は少し物を取ってくるからここは頼むぞ」
「分かった!」
「えっ、どこ行くの……はやぁ〜」
ラストがどこへいくのか聞く暇もなくリュードは走り出してしまった。
まだ希望を捨てるには早すぎる、そうリュードは思った。
ただ人の命は守れたが門は守れなかった。
やはり門を閉じてはダメだったのだ。
デュラハンの一撃によって門は破壊され、スケルトンがドンドンと流れ込んでくる。
もうすでにデュラハンの姿は見えず、これが目的であったのだなとリュードは苦い顔をした。
「くそっ、時間を稼ぐんだ! 土魔法で門を塞いでしまえ!」
デュラハンの黒い魔力と相打ちになって剣にかかっていた神聖力が消えてしまった。
リュードは聖水を取り出すと剣に振りかける。
神官にかけてもらったよりは弱い光を放つ神聖力を剣がまとう。
まずは前に出たためにスケルトンに囲まれてしまっているので下がらなきゃいけない。
周り全部ではなく下がるのに邪魔になるスケルトンだけを相手取って倒していく。
切り倒して道を開きたいけれどスケルトンはドンドンと増えていく。
「リュード、大丈夫?」
「ああ、助かったよ!」
押し寄せるスケルトンに焦りを感じていたら急に前が開けた。
ルフォンやラストがリュードのために道を切り開いていてくれていたのである。
「みんな、下がるんだ!」
「ファイアストーム!」
冒険者の何人かが協力して魔法を使う。
渦を巻く炎がスケルトンを巻き込んで門までの間を一掃する。
門が燃えてしまうが壊れてしまった門はもう門としての役割を果たしていないので気にすることもない。
「アースウォール!」
続いて別の冒険者たちが土属性の魔法を使う。
地面がせり上がり、門の内側が土でピタリと覆われてしまう。
これでひとまずスケルトンの侵入を防ぐことはできた。
魔法を発動させて塞ぐまでの間に入ってきたスケルトンをみんなで片付ける。
「くっ……してやられたな」
完全に塞いでしまったのでスケルトンを引き込んで数を減らす作戦はもう使えない。
「助かったぜ、兄ちゃん」
イカツイ顔をした冒険者が汗を拭いながらリュードに近づく。
「すまなかったな、言うこと聞かんで」
「いえ、しょうがないですよ」
リュードがいなかったらデュラハンの剣で死傷者が出ていた。
それにリュードの声に従っていれば門は壊れずに済んでいたかもしれない。
ただしその時はデュラハンの剣を防げたかは分からない。
「まさかあんな力技を壊してくるとはな……よくあれを防げたもんだ。若いのにやるな」
誰もリュードの声に耳を傾けず結果的には門を破壊されてしまうという誤った判断になってしまった。
それを誤った判断だったと言い切ることはリュードにもできない。
あの状況、あの場面では門を閉じてしまうことはリュードの頭にも浮かんだ考えだった。
デュラハンの動きを見て嫌な予感がして、直感的に叫んだにすぎない。
結果的に悪手になっただけで誰もが下す当然の判断だったので批判することなどできない。
「他の門に向かおう! ここで戦うことはできない!」
リュードたちがいるのは北側にある北門である。
門を塞いでしまったので他の門を助けに行くことになった。
スケルトンが登ってくることを防ぐための城壁の上の戦力を残してリュードたちは別の門にそれぞれ向かうことになった。
「レヴィアン、何があった!」
「済まない、スケルトンメイジにやられた!」
リュードたちはレヴィアンが向かった西門に支援に行くことにしたのだが状況は最悪であった。
門は破壊され、冒険者たちが必死にスケルトンを食い止めていた。
スケルトンメイジも一体だけならさして脅威でもない。
けれど何体も集まれば、そして集まったスケルトンメイジが協力して魔法を使えば門も耐えられなかった。
デュラハンの攻撃のように派手に壊れたわけではないが門の下側に大きな穴が開き、そこからわらわらとスケルトンたちが入ってきている。
それだけではなくスケルトンの上位種であるスケルトンナイトも何体がいる。
そしてスケルトンたちの後ろからはスケルトンメイジが魔法で攻撃までしてきていて、徐々に押されてしまっていた。
先ほどのように門を土魔法で塞ごうにもスケルトンに押されてしまって距離ができてしまって魔法が届かない。
敵が多すぎて近づくこともできないとかなり状況が悪くなっていたのである。
「東側の一部で城壁が崩壊した!」
刻一刻と状況が悪くなる。
このままでは援軍が来る前にリュードたちはやられてチッパは廃墟と化してしまう。
「もう! モノランみたいな化け物に襲われたり、スケルトンに囲まれたり、どうして私ばっかりこんな目にあわなきゃいけないの!」
八つ当たりするようにラストがムチでスケルトンを破壊する。
ずっと我慢してきた不満がとうとう爆発したのだ。
大人の試練という文化がある血人族には、乗り越えられない試練はないという言葉がある。
その意味内容は前後の文脈によって異なってくるのであるが大体の場合なんとかなるさぐらいの意味合いが大きい。
けれどもなんともならない場面、少なくともラストではどうしようないことが多すぎる。
「……それだ!」
追い詰められつつあるこの状況を乗り切るには何か手を打つ必要がある。
それも状況を一変させるような起死回生の一手がいる。
戦いながら頭をフル回転させて方法を考えていたリュードは閃いた。
「どうしたの、リューちゃん?」
「ルフォン、ラスト、俺は少し物を取ってくるからここは頼むぞ」
「分かった!」
「えっ、どこ行くの……はやぁ〜」
ラストがどこへいくのか聞く暇もなくリュードは走り出してしまった。
まだ希望を捨てるには早すぎる、そうリュードは思った。