「そうか! なら一緒にいかないか?」
「馴れ馴れしすぎない?」
「まあ昨日の敵は今日の友だ! そして今日の友は明日の親友だ!」
レヴィアンはリュードの肩に手を回す。
「勝者が敗者にかける言葉はなくても敗者が勝者に敬意を払って友達になるのは構わないだろう?」
「どっちもいい言葉だけど俺の意思ってもんもあるだろ」
「そうだな。じゃあ友になろうじゃないか!」
「嫌だ」
「なんでだ!」
再び大笑いするレヴィアン。
悪い奴ではないとは思う。
獣人族がそういう性格なのか、それとも赤獅子人族の性格か、レヴィアン個人の性格か。
自己肯定力が高く距離の詰め方がエグい。
「もう俺たちは友達だ! だから明日には親友だ!」
1人だけ少年マンガみたいなノリのレヴィアンにリュードも多少は悪くないかと思ってしまう部分もあるのであった。
ーーーーー
やや面倒な奴だと思っていたレヴィアンも役に立つことがあった。
「ようこそいらっしゃいました」
薄い笑みを貼り付けてベギーオはレヴィアンとラストを出迎えた。
ラストだけだったなら形式上の挨拶すらもなく冷たくあしらわれるのがいつものことなのであるが今日はそんなわけにいかない。
なぜならレヴィアンがいるからである。
ニコニコと人の良い笑顔を浮かべたレヴィアンはベギーオと握手を交わして挨拶する。
ちゃんとした礼儀を弁えるならレヴィアンとラストの挨拶のタイミングは分けるべきなのだけれど、一緒の方が早く済んで楽だろうとお誘いいただいたのでさらっと乗っかった。
いつも不快な思いをして帰るだけのベギーオへの挨拶もレヴィアンの前ではそんな態度を取ることができない。
腹の内がどうであっても言葉の上ではラストを歓迎し、大人の試練を応援する。
レヴィアンを不愉快にさせないためにニコニコと笑ってみせて仲の良い兄妹であるかのように見せかける。
ラストはラストでレヴィアンの半歩後ろに下がってさらっと挨拶する。
立場のある相手を役に立つなんて思ったのはこれが初めてであった。
泊まるようにも提案されたけどラストが受け入れるはずもない。
レヴィアンは泊まってもよかったけどラストが断ったのでレヴィアンも断った。
一泊泊まってもてなしを受けるのも礼儀として考えられるのだが、レヴィアンもベギーオよりもリュードたちの方がよかった。
泊まってみればよかったのにというとレヴィアンは少し困った顔をして首を振っていた。
「サキュルラスト様のお兄様にこのようなことを言っていいのか分からないけど何というか……あのサキュロベギーオ様からは少し、嫌な感じがした。俺に向けられたものじゃなさそうだけど不快なことに変わりはない」
どうしても滲み出る殺意を持つほど強い負の感情は抑えても抑えきれずにラストに向かっていた。
それをレヴィアンは敏感に感じっていた。
空気は読めなくてもレヴィアンは人をよく見ている。
むしろレヴィアンは人に対してめざとい方であった。
リュードに対する馴れ馴れしい態度も大丈夫だと思った上でやっていた。
本気で嫌がっているならレヴィアンもやめている。
決闘の時もリュードが本気で怒っていることが分かっていた。
だから決闘を止めようとしたのである。
「何が原因かは知らないけれど……君たちほど付き合いを持ちたいとは思えなかった」
一見するとにこやかなベギーオの殺気をレヴィアンは感じていたので宿泊を断ったのであった。
たった一度でもそのように感じ取れてしまったら関わらない方が良い。
ラストが先にキッパリと断ったのでレヴィアンもそれに乗る形で断ったのであった。
「それにこの国に来てから十分なもてなしは受けている」
ーーーーー
レヴィアンはリュードたちと同じ宿を取り、次の日にリュードたちに合わせて出発した。
「どうですか?」
「何も感じませんね。いないと思います」
リュードたちと一緒にいるのは国の貴賓である。
バレると国際問題になる可能性もあるからかベギーオが人をつけて監視することはなかった。
相手が一枚上手でリュードにも全く気配を掴ませないほどのやり手なこともあり得ないことではない。
ただ念のためルフォンやヴィッツにも尋ねてみたけれど、監視の気配を2人とも感じていないのでひとまずはいないだろう。
「どうだ! それなりに俺もやるだろ!」
「ああ、強いな」
「はっはっ、そうだろう!」
リュードたちとレヴィアンたちを合わせるとそれなりの人数になる。
人が多くなるとそれだけ魔物の方からも手を出しては来なくなる。
襲ってくるアホな魔物もいたけれど護衛たちやレヴィアン自身も素早く動いて魔物は一瞬で片付いてしまった。
大剣を振り回すレヴィアンはいかにもパワータイプだった。
戦っている時も易々と魔物を両断していたので力が強いことは確かである。
なのでパワーにばかり注目が行きがちであるが戦い方も悪くない。
速さもあるし周りもよく見えている。
それでも負けないけどとリュードは思う。
「町が見えてきたな」
「あれがチッパですな」
警戒心が薄れるほどなにもなくチッパにたどり着くことができた。
「それじゃあな」
「そっちも頑張ってくれ」
ここからはリュードたちは大人の試練に向かい、レヴィアンたちは獣人族たちに広報活動をする。
すぐにでもダンジョンに向かいところではあるが、まず大事なのはそのための下準備をしっかりとすることである。
リュードたちはレヴィアンと別れて安全に攻略をするためにもダンジョンについての情報を集める。
チッパは中程度の町でそれなりの規模がある。
町が大きくなれば必要な施設もあるわけで、冒険者ギルドもその中の一つとなる。
チッパにも当然冒険者ギルドがあるのでそこに行く。
ミノタウロスの時は村も小さかったので一人一人に話を聞いていたが大きな町でそんなことをしている時間も労力もない。
情報が集まる冒険者ギルドで聞くのが早い。
「馴れ馴れしすぎない?」
「まあ昨日の敵は今日の友だ! そして今日の友は明日の親友だ!」
レヴィアンはリュードの肩に手を回す。
「勝者が敗者にかける言葉はなくても敗者が勝者に敬意を払って友達になるのは構わないだろう?」
「どっちもいい言葉だけど俺の意思ってもんもあるだろ」
「そうだな。じゃあ友になろうじゃないか!」
「嫌だ」
「なんでだ!」
再び大笑いするレヴィアン。
悪い奴ではないとは思う。
獣人族がそういう性格なのか、それとも赤獅子人族の性格か、レヴィアン個人の性格か。
自己肯定力が高く距離の詰め方がエグい。
「もう俺たちは友達だ! だから明日には親友だ!」
1人だけ少年マンガみたいなノリのレヴィアンにリュードも多少は悪くないかと思ってしまう部分もあるのであった。
ーーーーー
やや面倒な奴だと思っていたレヴィアンも役に立つことがあった。
「ようこそいらっしゃいました」
薄い笑みを貼り付けてベギーオはレヴィアンとラストを出迎えた。
ラストだけだったなら形式上の挨拶すらもなく冷たくあしらわれるのがいつものことなのであるが今日はそんなわけにいかない。
なぜならレヴィアンがいるからである。
ニコニコと人の良い笑顔を浮かべたレヴィアンはベギーオと握手を交わして挨拶する。
ちゃんとした礼儀を弁えるならレヴィアンとラストの挨拶のタイミングは分けるべきなのだけれど、一緒の方が早く済んで楽だろうとお誘いいただいたのでさらっと乗っかった。
いつも不快な思いをして帰るだけのベギーオへの挨拶もレヴィアンの前ではそんな態度を取ることができない。
腹の内がどうであっても言葉の上ではラストを歓迎し、大人の試練を応援する。
レヴィアンを不愉快にさせないためにニコニコと笑ってみせて仲の良い兄妹であるかのように見せかける。
ラストはラストでレヴィアンの半歩後ろに下がってさらっと挨拶する。
立場のある相手を役に立つなんて思ったのはこれが初めてであった。
泊まるようにも提案されたけどラストが受け入れるはずもない。
レヴィアンは泊まってもよかったけどラストが断ったのでレヴィアンも断った。
一泊泊まってもてなしを受けるのも礼儀として考えられるのだが、レヴィアンもベギーオよりもリュードたちの方がよかった。
泊まってみればよかったのにというとレヴィアンは少し困った顔をして首を振っていた。
「サキュルラスト様のお兄様にこのようなことを言っていいのか分からないけど何というか……あのサキュロベギーオ様からは少し、嫌な感じがした。俺に向けられたものじゃなさそうだけど不快なことに変わりはない」
どうしても滲み出る殺意を持つほど強い負の感情は抑えても抑えきれずにラストに向かっていた。
それをレヴィアンは敏感に感じっていた。
空気は読めなくてもレヴィアンは人をよく見ている。
むしろレヴィアンは人に対してめざとい方であった。
リュードに対する馴れ馴れしい態度も大丈夫だと思った上でやっていた。
本気で嫌がっているならレヴィアンもやめている。
決闘の時もリュードが本気で怒っていることが分かっていた。
だから決闘を止めようとしたのである。
「何が原因かは知らないけれど……君たちほど付き合いを持ちたいとは思えなかった」
一見するとにこやかなベギーオの殺気をレヴィアンは感じていたので宿泊を断ったのであった。
たった一度でもそのように感じ取れてしまったら関わらない方が良い。
ラストが先にキッパリと断ったのでレヴィアンもそれに乗る形で断ったのであった。
「それにこの国に来てから十分なもてなしは受けている」
ーーーーー
レヴィアンはリュードたちと同じ宿を取り、次の日にリュードたちに合わせて出発した。
「どうですか?」
「何も感じませんね。いないと思います」
リュードたちと一緒にいるのは国の貴賓である。
バレると国際問題になる可能性もあるからかベギーオが人をつけて監視することはなかった。
相手が一枚上手でリュードにも全く気配を掴ませないほどのやり手なこともあり得ないことではない。
ただ念のためルフォンやヴィッツにも尋ねてみたけれど、監視の気配を2人とも感じていないのでひとまずはいないだろう。
「どうだ! それなりに俺もやるだろ!」
「ああ、強いな」
「はっはっ、そうだろう!」
リュードたちとレヴィアンたちを合わせるとそれなりの人数になる。
人が多くなるとそれだけ魔物の方からも手を出しては来なくなる。
襲ってくるアホな魔物もいたけれど護衛たちやレヴィアン自身も素早く動いて魔物は一瞬で片付いてしまった。
大剣を振り回すレヴィアンはいかにもパワータイプだった。
戦っている時も易々と魔物を両断していたので力が強いことは確かである。
なのでパワーにばかり注目が行きがちであるが戦い方も悪くない。
速さもあるし周りもよく見えている。
それでも負けないけどとリュードは思う。
「町が見えてきたな」
「あれがチッパですな」
警戒心が薄れるほどなにもなくチッパにたどり着くことができた。
「それじゃあな」
「そっちも頑張ってくれ」
ここからはリュードたちは大人の試練に向かい、レヴィアンたちは獣人族たちに広報活動をする。
すぐにでもダンジョンに向かいところではあるが、まず大事なのはそのための下準備をしっかりとすることである。
リュードたちはレヴィアンと別れて安全に攻略をするためにもダンジョンについての情報を集める。
チッパは中程度の町でそれなりの規模がある。
町が大きくなれば必要な施設もあるわけで、冒険者ギルドもその中の一つとなる。
チッパにも当然冒険者ギルドがあるのでそこに行く。
ミノタウロスの時は村も小さかったので一人一人に話を聞いていたが大きな町でそんなことをしている時間も労力もない。
情報が集まる冒険者ギルドで聞くのが早い。