「おい」
このままではラストも巻き添えを食う。
頭をフル回転させて次の一手を考えるヴィッツに背筋が凍るほど低くてドスの効いた声が聞こえてきた。
闇に溶け込むように黒いためにヴィッツにも一瞬その存在が分からなかった。
「何してんだ!」
ペラフィランの頭が衝撃に弾かれて後ろに転がる。
全身黒い何かが見えて、それが何なのか分からなかったヴィッツだが頭の角を見てそれがリュードなのだと理解した。
「テメェ!」
リュードも自分で雷属性の魔法を食らったのは初めてだった。
強い衝撃と全身に痺れがあり動くことができなかった。
しかしリュードは雷の神様から加護も受けていた。
使うだけでなく受けることに関しても加護は働き、大きくダメージを受けずに済んでいた。
ようやく体の痺れが取れて起き上がるとルフォンが電撃にやられるところであった。
何かを考えて動いたと言うよりも体が勝手に動いた。
怒りが頭を突き抜けて、魔人化したリュードは思い切りペラフィランを殴りつけた。
「ルフォンに何してんだ!」
あれぐらいで死ぬルフォンではない。
まずペラフィランの注意をルフォンから逸らしてルフォンから遠ざけなきゃいけないとリュードは思った。
剣を抜くことも忘れたリュードはお返しとばかりに右手に込めた魔力は雷属性の魔力に変えながら殴ってやったのだ。
雷属性を扱えるなら効果は薄いかもしれないけど意外と自分でやられると雷属性の魔法の効果に驚いたので少しは効くだろう。
「ラスト、ルフォンは大丈夫か?」
「う、うん、大丈夫!」
ラストがルフォンに近寄ってみると気は失っていたがまだ息はしている。
「俺の荷物にポーションがあるから飲ませてやってくれ!」
「分かった!」
死んでいなけりゃどうにかなる。
ひとまず安心だけどこの目の前の化け物をどうにかしなきゃいけない。
「貴様いったい何者だ!」
ゆっくりと立ち上がったペラフィランはリュードのことをゆっくりと睨みつける。
ダメージがないことはなさそうだが、見た目からどれほどのダメージがあったのか押しはかることができない。
ペラフィラン自身も他から雷属性の魔法を食らったのは初めてだった。
こんなことになるのかと全身の痺れを持って自分が使っている魔法のことを改めて思い知った。
それよりも大切なことにペラフィランは気づいた。
「なぜ貴様があのお方の加護を受けている!」
ペラフィランはリュードの攻撃を受けて分かった。
ずっと感じていた謎の違和感の正体に。
「あのお方って誰だよ」
「ゼウラス様だ」
「ゼウラス……?」
「雷を司る偉大な神様だ!」
雷の神様そんな名前だったのかとちょっと驚く。
声しか聞いたこともなかったので名前も全く知らなかった。
感謝はしていたけど雷の神様の神殿とかもないし名前を調べようと思いながらも忘れてしまっていた。
神様の名前も知らず声しか知らないなんてレアケースもすぎるけれどリュードは特殊な事情を抱えているので仕方ない。
「確かに雷の神様の加護はもらっているがそれがどうした!」
実際加護があると言われても目に見えるものでもないので本当にあるのかどうか分からない。
雷属性の魔法を使いやすくはなったけれど自分で使っていて慣れてきたのだと思えばそうも思えてしまう。
加護の効果かどうかはハッキリと言えないのである。
「なぜ雷の神様の加護を受けながらこんなことをした!」
「だから俺たちは何もしていない! こんなこと、の内容もわからなければいきなり襲いかかってきたのはお前の方だろ!」
相手に押されず、なおかつ対等に意見をしっかり伝えるためにリュードは声にも魔力を乗せる。
「先に手を出したのは貴様らの方だ! まだ力の弱い子を殺しておいて何をほざいている!」
「なんだと? 俺たちは何も殺してなんかいないぞ!」
なんとなくだけど話の内容が見えてきた気がした。
「…………本当に殺していないのか」
「本当に殺していない。俺たちは今日山を登ってきたばかりだ」
「神の加護に誓って本当に何も知らないのだな?」
「は? 加護に誓うってのがなんなのか知らないけど誓っても全く構わない」
神の加護に誓う。
このことの意味をリュードは知らない。
おそらく知っている人の方が少ない。
神の加護に誓うとは単に神様に誓うのとは違って、約束を破れば加護を失っても構わないと約束することである。
口に出して加護に誓うと言っただけでもその約束は有効で加護を受けるほど神を信奉して、神に寵愛されている人にとってはとんでもなく重たい約束になるのだ。
「知らないのだな?」
「だから知らないって!」
しつこいぐらいに聞いてくるペラフィランにリュードもイラつく。
加護に誓っているがリュードはその加護を失った気配がしないことをペラフィランは感じていた
つまりリュードがウソをついていないということになる。
ペラフィランから感じられる圧力が一気に無くなり大きく頭を下げて項垂れた。
「……その者の背中を見てみろ」
ペラフィランは刺客たちの方に視線を向けた。
「そう言えば変な袋を背負っていると思ったところだったな……」
このままではラストも巻き添えを食う。
頭をフル回転させて次の一手を考えるヴィッツに背筋が凍るほど低くてドスの効いた声が聞こえてきた。
闇に溶け込むように黒いためにヴィッツにも一瞬その存在が分からなかった。
「何してんだ!」
ペラフィランの頭が衝撃に弾かれて後ろに転がる。
全身黒い何かが見えて、それが何なのか分からなかったヴィッツだが頭の角を見てそれがリュードなのだと理解した。
「テメェ!」
リュードも自分で雷属性の魔法を食らったのは初めてだった。
強い衝撃と全身に痺れがあり動くことができなかった。
しかしリュードは雷の神様から加護も受けていた。
使うだけでなく受けることに関しても加護は働き、大きくダメージを受けずに済んでいた。
ようやく体の痺れが取れて起き上がるとルフォンが電撃にやられるところであった。
何かを考えて動いたと言うよりも体が勝手に動いた。
怒りが頭を突き抜けて、魔人化したリュードは思い切りペラフィランを殴りつけた。
「ルフォンに何してんだ!」
あれぐらいで死ぬルフォンではない。
まずペラフィランの注意をルフォンから逸らしてルフォンから遠ざけなきゃいけないとリュードは思った。
剣を抜くことも忘れたリュードはお返しとばかりに右手に込めた魔力は雷属性の魔力に変えながら殴ってやったのだ。
雷属性を扱えるなら効果は薄いかもしれないけど意外と自分でやられると雷属性の魔法の効果に驚いたので少しは効くだろう。
「ラスト、ルフォンは大丈夫か?」
「う、うん、大丈夫!」
ラストがルフォンに近寄ってみると気は失っていたがまだ息はしている。
「俺の荷物にポーションがあるから飲ませてやってくれ!」
「分かった!」
死んでいなけりゃどうにかなる。
ひとまず安心だけどこの目の前の化け物をどうにかしなきゃいけない。
「貴様いったい何者だ!」
ゆっくりと立ち上がったペラフィランはリュードのことをゆっくりと睨みつける。
ダメージがないことはなさそうだが、見た目からどれほどのダメージがあったのか押しはかることができない。
ペラフィラン自身も他から雷属性の魔法を食らったのは初めてだった。
こんなことになるのかと全身の痺れを持って自分が使っている魔法のことを改めて思い知った。
それよりも大切なことにペラフィランは気づいた。
「なぜ貴様があのお方の加護を受けている!」
ペラフィランはリュードの攻撃を受けて分かった。
ずっと感じていた謎の違和感の正体に。
「あのお方って誰だよ」
「ゼウラス様だ」
「ゼウラス……?」
「雷を司る偉大な神様だ!」
雷の神様そんな名前だったのかとちょっと驚く。
声しか聞いたこともなかったので名前も全く知らなかった。
感謝はしていたけど雷の神様の神殿とかもないし名前を調べようと思いながらも忘れてしまっていた。
神様の名前も知らず声しか知らないなんてレアケースもすぎるけれどリュードは特殊な事情を抱えているので仕方ない。
「確かに雷の神様の加護はもらっているがそれがどうした!」
実際加護があると言われても目に見えるものでもないので本当にあるのかどうか分からない。
雷属性の魔法を使いやすくはなったけれど自分で使っていて慣れてきたのだと思えばそうも思えてしまう。
加護の効果かどうかはハッキリと言えないのである。
「なぜ雷の神様の加護を受けながらこんなことをした!」
「だから俺たちは何もしていない! こんなこと、の内容もわからなければいきなり襲いかかってきたのはお前の方だろ!」
相手に押されず、なおかつ対等に意見をしっかり伝えるためにリュードは声にも魔力を乗せる。
「先に手を出したのは貴様らの方だ! まだ力の弱い子を殺しておいて何をほざいている!」
「なんだと? 俺たちは何も殺してなんかいないぞ!」
なんとなくだけど話の内容が見えてきた気がした。
「…………本当に殺していないのか」
「本当に殺していない。俺たちは今日山を登ってきたばかりだ」
「神の加護に誓って本当に何も知らないのだな?」
「は? 加護に誓うってのがなんなのか知らないけど誓っても全く構わない」
神の加護に誓う。
このことの意味をリュードは知らない。
おそらく知っている人の方が少ない。
神の加護に誓うとは単に神様に誓うのとは違って、約束を破れば加護を失っても構わないと約束することである。
口に出して加護に誓うと言っただけでもその約束は有効で加護を受けるほど神を信奉して、神に寵愛されている人にとってはとんでもなく重たい約束になるのだ。
「知らないのだな?」
「だから知らないって!」
しつこいぐらいに聞いてくるペラフィランにリュードもイラつく。
加護に誓っているがリュードはその加護を失った気配がしないことをペラフィランは感じていた
つまりリュードがウソをついていないということになる。
ペラフィランから感じられる圧力が一気に無くなり大きく頭を下げて項垂れた。
「……その者の背中を見てみろ」
ペラフィランは刺客たちの方に視線を向けた。
「そう言えば変な袋を背負っていると思ったところだったな……」