「このことが無事に終わったなら君が困った時に何か恩返しはするよ。私にできることあんまりないけど」
今サキュルラストを助けるのに神託コマンド連打するしかない神様の手助けが役立つとは正直思えない。
自分でできることないって言っちゃってるし。
基本的に神様が人の世界に介入することはできないと分かっている。
大きく期待はしていない。
「続いて警告だ。あの子、サキュルラストには死の気配がまとわりついている。あの子は本気で命を狙われている。そんな、重くて不吉な気配が感じられるのだ」
「まあ誰かに狙われていることは分かってるけどな」
「そうなのだが敵は本気だということを伝えたかった。私に未来を見る力はないけれどおそらく君がいなければ確実にサキュルラストは死んでいただろう。だから気をつけて欲しい」
「……分かった」
本気の目をしているサキュルディオーネにリュードも真剣に頷く。
兄姉の話は聞いていたけれど本気で命を狙うなんて許せない。
適当に参加しようぐらいに思っていたけれど守ってやらなきゃいけないなと思ってきた。
「何か困ったらヴィッツという者と相談するといい。奴は若い頃に私の加護を受けた猛者だから役に立つ。今では使用人なんてやっているけれど強いぞ」
やはりかと思った。
加護まで受けていたことは知らなかったが、ヴィッツの所作から強者である気配を感じていた。
リュードたちをバレないように尾行していたのもヴィッツであった。
単なるしがない執事ではないというリュードの勘は当たっていたのである。
「そろそろ君を引き留めおくのも限界かな」
「あっ……」
世界が遠くなる。
不思議で例えようのないこの感覚は何回経験しても慣れない。
「なんなら私の子孫とくっついてもいいからなー!」
最後にサキュルディオーネの声が聞こえて、リュードは目を覚ました。
改めて体の重さを実感する。
魂だけの存在になってから帰ってくると体というものの制限を感じる気がする。
「な、なんですかそれー!」
「領主様どうなさいましたか!」
まだ夜は長いけれどもう眠れる気分でもなくなってしまったのでテントの外に出た。
軽く体を伸ばしているとサキュルラストの叫び声が聞こえてきた。
寝ずに火の番をしていたヴィッツが慌ててテントの方に向かう。
リュードもテントを覗き込むとサキュルラストが顔を真っ赤にして動揺していた。
祈っていたからか両膝をついた体勢のサキュルラストはなんでもないと両手を振って否定していた。
『シューナリュードという男は間違いなく味方。あなたの唯一の光となります。もし、もしよかったら口説き落として子供を作ってください』
サキュルディオーネはサキュルラストに神託を下した。
他種族の血を入れないなんて頭の固いことをサキュルディオーネは言わない。
リュードが先祖返りなことはサキュルラストは知らなかったが、サキュルディオーネは知っている。
もし仮に2人がくっついたならその子が持つ力は凄いことになる。
血人族の繁栄はさらに盛り上がり、長く続いていくことになるはずだと考えた。
すでに1人パートナーがいることはわかっているけど強い魔人族なら妻が何人いても文句は言われない。
サキュルラストなら大領主で経済力には問題もないのでちょうどよいだろう。
リュードを呼ぶのに力を使ってしまったので神託はかなりザックリしたものだった。
正直な話、サキュルラストはリュードのことを男性として意識してこなかった。
あったばかりだし、周りにいる男性は自分の見た目か権力目的。
意識していないというよりも意識しないようにしていた。
まずは自分の大人の試練が大事だし全く頭の中にそんな考えがなかった。
それなのに、神様の神託のせいでサキュルラストはリュードを意識してしまった。
サキュルラストもお年頃の女の子である。
そんな時間も余裕もなければ相手もいないと抑え込んできた思いが噴き出した。
(ど、どうしてこんなタイミングなんですか、神様〜!)
別にこんなタイミングで意識させなくてもいいのに。
何でもなかったと解散したけれどサキュルラストは1人悶々と眠れぬ夜を過ごすことになった。
今サキュルラストを助けるのに神託コマンド連打するしかない神様の手助けが役立つとは正直思えない。
自分でできることないって言っちゃってるし。
基本的に神様が人の世界に介入することはできないと分かっている。
大きく期待はしていない。
「続いて警告だ。あの子、サキュルラストには死の気配がまとわりついている。あの子は本気で命を狙われている。そんな、重くて不吉な気配が感じられるのだ」
「まあ誰かに狙われていることは分かってるけどな」
「そうなのだが敵は本気だということを伝えたかった。私に未来を見る力はないけれどおそらく君がいなければ確実にサキュルラストは死んでいただろう。だから気をつけて欲しい」
「……分かった」
本気の目をしているサキュルディオーネにリュードも真剣に頷く。
兄姉の話は聞いていたけれど本気で命を狙うなんて許せない。
適当に参加しようぐらいに思っていたけれど守ってやらなきゃいけないなと思ってきた。
「何か困ったらヴィッツという者と相談するといい。奴は若い頃に私の加護を受けた猛者だから役に立つ。今では使用人なんてやっているけれど強いぞ」
やはりかと思った。
加護まで受けていたことは知らなかったが、ヴィッツの所作から強者である気配を感じていた。
リュードたちをバレないように尾行していたのもヴィッツであった。
単なるしがない執事ではないというリュードの勘は当たっていたのである。
「そろそろ君を引き留めおくのも限界かな」
「あっ……」
世界が遠くなる。
不思議で例えようのないこの感覚は何回経験しても慣れない。
「なんなら私の子孫とくっついてもいいからなー!」
最後にサキュルディオーネの声が聞こえて、リュードは目を覚ました。
改めて体の重さを実感する。
魂だけの存在になってから帰ってくると体というものの制限を感じる気がする。
「な、なんですかそれー!」
「領主様どうなさいましたか!」
まだ夜は長いけれどもう眠れる気分でもなくなってしまったのでテントの外に出た。
軽く体を伸ばしているとサキュルラストの叫び声が聞こえてきた。
寝ずに火の番をしていたヴィッツが慌ててテントの方に向かう。
リュードもテントを覗き込むとサキュルラストが顔を真っ赤にして動揺していた。
祈っていたからか両膝をついた体勢のサキュルラストはなんでもないと両手を振って否定していた。
『シューナリュードという男は間違いなく味方。あなたの唯一の光となります。もし、もしよかったら口説き落として子供を作ってください』
サキュルディオーネはサキュルラストに神託を下した。
他種族の血を入れないなんて頭の固いことをサキュルディオーネは言わない。
リュードが先祖返りなことはサキュルラストは知らなかったが、サキュルディオーネは知っている。
もし仮に2人がくっついたならその子が持つ力は凄いことになる。
血人族の繁栄はさらに盛り上がり、長く続いていくことになるはずだと考えた。
すでに1人パートナーがいることはわかっているけど強い魔人族なら妻が何人いても文句は言われない。
サキュルラストなら大領主で経済力には問題もないのでちょうどよいだろう。
リュードを呼ぶのに力を使ってしまったので神託はかなりザックリしたものだった。
正直な話、サキュルラストはリュードのことを男性として意識してこなかった。
あったばかりだし、周りにいる男性は自分の見た目か権力目的。
意識していないというよりも意識しないようにしていた。
まずは自分の大人の試練が大事だし全く頭の中にそんな考えがなかった。
それなのに、神様の神託のせいでサキュルラストはリュードを意識してしまった。
サキュルラストもお年頃の女の子である。
そんな時間も余裕もなければ相手もいないと抑え込んできた思いが噴き出した。
(ど、どうしてこんなタイミングなんですか、神様〜!)
別にこんなタイミングで意識させなくてもいいのに。
何でもなかったと解散したけれどサキュルラストは1人悶々と眠れぬ夜を過ごすことになった。