「あなたが変なことするからよ〜」
同じく額の真ん中を赤くしているレスト。
人に変なことをしていると言う資格がレストにはない。
まだ少女とも言えるサキュルラストの方がこの大領地の領主であることにリュードは驚いた。
ティアローザは4つの大きな領地と王の直轄領に分かれていて、それぞれの領地を大領地と呼んでいる。
大領地もさらに分かれていて、それぞれ貴族が治める領地となっている。
今リュードたちがいるところも大領地の1つであり、その中でも大領地の領主が治めている中心地であった。
さらにその大領地の中心地の町の中心にある城にいる。
どこかしらに大領地の領主がいると思っていたがまさかこのような少女だったとは思いもしなかった。
「お姉ちゃんのバーカ!」
このティアローザでも大きな権力を持つ大領地の領主の1人。
これが? と思わざるを得ない。
「お騒がせいたしまして誠に申し訳ございません」
「それらいいんですが、次からはこっそりと後ろに立つのはやめてください」
「申し訳ございません。ちょっとした戯れにございます」
「次はビックリして切りつけちゃうかもしれません」
「心に刻んでおきます」
2人の説明をしてくれたのはリュードの後ろに立っている老年の執事だった。
リュードでもほんの僅かにしか気配が感じられないぐらいにそっとリュードの後ろに立っていたのであった。
ニコリと笑う執事には反省の色は見られない。
出会った人たちのキャラが濃すぎて胃もたれを起こしそうだ。
「はぁ……ルフォン、行こうか」
この国における4大権力者と他国の王子は関わっていて良いことなどなさそうなメンツだとリュードは思った。
ため息をついてリュードが部屋を出て行こうとする。
「まっ、待って!」
「…………なんだ?」
サキュルラストがリュードの服に手を伸ばして引き留める。
レヴィアンといい、サキュルラストといいよく呼び止められる日だとため息が漏れそうになる。
振り返ってやる義務もない。
だが大領主な女の子の手を振り払うわけにもいかなくてリュードは怪訝そうな表情でサキュルラストを見る。
止められたから止まったけれど気分は良くない。
帰れるならさっさと帰りたいのだ。
いきなり自分の夫になれなんて言い放った相手にこやかに接しろという方が無理である。
「頼みがある!」
「嫌だ」
「まだ内容も聞いてないではないかー!」
見知らぬ男を呼び止めてする頼みなんて絶対に面倒事でしかない。
旅に出てからというもの、結構な厄介事に首を突っ込んできている。
今の状況だって厄介なのにさらに厄介事舞い込まさせてたまるかってんだと思う。
ようやく2人でのんびりと旅することにも慣れてきたのにまた問題を抱えるのはめんどくさい。
「頼み事ならそこの赤獅子の王子にでもするんだな」
「えっ、俺?」
「こんな短絡的で単細胞なヤツではダメなのだ!」
「え、たん……」
「扱いやすくていいだろ」
「そうかもしれんがそれだけじゃダメなの!」
関係のないところでレヴィアンが傷ついてゆく。
まるでこの場にいないかのような忌憚なきまっすぐな意見がレヴィアンの胸を刺す。
「もうヤメテ……」
王族が故にあまり悪く言われることの少なく育ってきたレヴィアンは自分の悪い意見に慣れていない。
リュードとサキュルラストの会話によってレヴィアンはダウン寸前になっていた。
「俺たちも旅してきて疲れているんだ。そろそろ帰してくれないか?」
実際は泊まる宿すら見つけていない。
それを言うと面倒そうなので言わない。
けれどとりあえず早く解放してほしい。
「むう……分かった。使いをやるのでまた私のところに来て話を聞いてほしい」
「時間があったらな」
行かない時の常套句。
行くとも言わないし行かないとも明言しない。
「休息は英雄にも必要なものだ。疲れているとイラついたりして正常に話を聞けなくなるし次は優しい態度で頼むぞ」
確かにレヴィアンのせいでイラついてはいた。
それが態度に出ていないとは言い切れない。
次がないことを祈っているけれど次があるならば多少優しくはしてやろうと思った。
出会い方と最初の言い方がまずかっただけで夫にしてもよいと思ってくれるほど何かを認めてくれたのだから。
「それじゃあ、また今度会おう」
決闘騒ぎがなぜかよく分からない終わりを迎えてリュードたちは城を後にした。
お腹も空いたけど時間を相当食われてしまったのでまず宿探しをすることにした。
いつも泊まるような価格帯の宿は時間が遅くなってしまったせいなのか部屋が埋まってしまっていて取ることができなかった。
それにすこーしだけイラついたし、精神的にも疲れていた。
早く休みたかったし宿を決めて食事も取りたかった。
同じ価格帯の宿を探したりするのは時間がかかるし、値段を下げた安宿に泊まるのは今日ばかりは嫌だった。
思い切って少し高めの宿を探してみると空いている部屋があったのでそこに泊まることにした。
食事も宿の人に勧められるままに近くのちょっとお高めのところで食べて、その日は柔らかなベッドの上でゆっくりと休んだ。
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同じく額の真ん中を赤くしているレスト。
人に変なことをしていると言う資格がレストにはない。
まだ少女とも言えるサキュルラストの方がこの大領地の領主であることにリュードは驚いた。
ティアローザは4つの大きな領地と王の直轄領に分かれていて、それぞれの領地を大領地と呼んでいる。
大領地もさらに分かれていて、それぞれ貴族が治める領地となっている。
今リュードたちがいるところも大領地の1つであり、その中でも大領地の領主が治めている中心地であった。
さらにその大領地の中心地の町の中心にある城にいる。
どこかしらに大領地の領主がいると思っていたがまさかこのような少女だったとは思いもしなかった。
「お姉ちゃんのバーカ!」
このティアローザでも大きな権力を持つ大領地の領主の1人。
これが? と思わざるを得ない。
「お騒がせいたしまして誠に申し訳ございません」
「それらいいんですが、次からはこっそりと後ろに立つのはやめてください」
「申し訳ございません。ちょっとした戯れにございます」
「次はビックリして切りつけちゃうかもしれません」
「心に刻んでおきます」
2人の説明をしてくれたのはリュードの後ろに立っている老年の執事だった。
リュードでもほんの僅かにしか気配が感じられないぐらいにそっとリュードの後ろに立っていたのであった。
ニコリと笑う執事には反省の色は見られない。
出会った人たちのキャラが濃すぎて胃もたれを起こしそうだ。
「はぁ……ルフォン、行こうか」
この国における4大権力者と他国の王子は関わっていて良いことなどなさそうなメンツだとリュードは思った。
ため息をついてリュードが部屋を出て行こうとする。
「まっ、待って!」
「…………なんだ?」
サキュルラストがリュードの服に手を伸ばして引き留める。
レヴィアンといい、サキュルラストといいよく呼び止められる日だとため息が漏れそうになる。
振り返ってやる義務もない。
だが大領主な女の子の手を振り払うわけにもいかなくてリュードは怪訝そうな表情でサキュルラストを見る。
止められたから止まったけれど気分は良くない。
帰れるならさっさと帰りたいのだ。
いきなり自分の夫になれなんて言い放った相手にこやかに接しろという方が無理である。
「頼みがある!」
「嫌だ」
「まだ内容も聞いてないではないかー!」
見知らぬ男を呼び止めてする頼みなんて絶対に面倒事でしかない。
旅に出てからというもの、結構な厄介事に首を突っ込んできている。
今の状況だって厄介なのにさらに厄介事舞い込まさせてたまるかってんだと思う。
ようやく2人でのんびりと旅することにも慣れてきたのにまた問題を抱えるのはめんどくさい。
「頼み事ならそこの赤獅子の王子にでもするんだな」
「えっ、俺?」
「こんな短絡的で単細胞なヤツではダメなのだ!」
「え、たん……」
「扱いやすくていいだろ」
「そうかもしれんがそれだけじゃダメなの!」
関係のないところでレヴィアンが傷ついてゆく。
まるでこの場にいないかのような忌憚なきまっすぐな意見がレヴィアンの胸を刺す。
「もうヤメテ……」
王族が故にあまり悪く言われることの少なく育ってきたレヴィアンは自分の悪い意見に慣れていない。
リュードとサキュルラストの会話によってレヴィアンはダウン寸前になっていた。
「俺たちも旅してきて疲れているんだ。そろそろ帰してくれないか?」
実際は泊まる宿すら見つけていない。
それを言うと面倒そうなので言わない。
けれどとりあえず早く解放してほしい。
「むう……分かった。使いをやるのでまた私のところに来て話を聞いてほしい」
「時間があったらな」
行かない時の常套句。
行くとも言わないし行かないとも明言しない。
「休息は英雄にも必要なものだ。疲れているとイラついたりして正常に話を聞けなくなるし次は優しい態度で頼むぞ」
確かにレヴィアンのせいでイラついてはいた。
それが態度に出ていないとは言い切れない。
次がないことを祈っているけれど次があるならば多少優しくはしてやろうと思った。
出会い方と最初の言い方がまずかっただけで夫にしてもよいと思ってくれるほど何かを認めてくれたのだから。
「それじゃあ、また今度会おう」
決闘騒ぎがなぜかよく分からない終わりを迎えてリュードたちは城を後にした。
お腹も空いたけど時間を相当食われてしまったのでまず宿探しをすることにした。
いつも泊まるような価格帯の宿は時間が遅くなってしまったせいなのか部屋が埋まってしまっていて取ることができなかった。
それにすこーしだけイラついたし、精神的にも疲れていた。
早く休みたかったし宿を決めて食事も取りたかった。
同じ価格帯の宿を探したりするのは時間がかかるし、値段を下げた安宿に泊まるのは今日ばかりは嫌だった。
思い切って少し高めの宿を探してみると空いている部屋があったのでそこに泊まることにした。
食事も宿の人に勧められるままに近くのちょっとお高めのところで食べて、その日は柔らかなベッドの上でゆっくりと休んだ。
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