スッと気配を消して目立たぬようにする。
レヴィアンが目的できたのだろうし、レヴィアンの方に行ったらさっさと帰ってしまえばいいと思った。
「ふぅーん……」
「サキュルラスト様!」
しかし目立たぬようにするにはもう遅かった。
完全に一度対面してしまったリュードに少女は目をつけた。
サキュルラストと呼ばれた少女はリュードに何かを感じたのか上から下までジロジロと眺めながらぐるぐると周りを回る。
リュードが大人しくしているのでルフォンも大人しくしているけど気分は良くない。
居心地は良くないけどここは無心で置物のように立ち尽くす。
こんな時は何かリアクションしてはいけない。
「……決めた。お前私の夫になれ!」
サキュルラストはいいことでも思いついたように手を打うつとビッとリュードの顔を指差した。
過去にこれほどの爆弾発言があっただろうか。
理由も分からなければ、一目惚れしたようにも見えないサキュルラストはニヤリと笑っていた。
「ダメに決まってるでしょ!」
どう答えたものかと困惑しているとルフォンが間に割って入ってくる。
「なんだ? ……なるほど、分かったぞ。なんならお前を第2夫人にしてやってもいいぞ」
「私が! 先に! リューちゃんのお嫁さんになるんです!」
プチンとルフォンが切れる音がした、気がした。
「リューちゃんの第1夫人どころか貴方みたいな人、私が認めない!」
「ほう? 小娘が言ってくれる……」
「もー、あなただって小娘じゃない」
「げっ!」
「えーい!」
「プギャ!」
ルフォンとサキュルラストの間で一触即発の空気が流れる。
ピリリとした空気を切り裂くようにおっとりとした声が聞こえてきた。
いつの間にかサキュルラストの後ろに立っていた女性はサキュルラストによく似ていた。
サキュルラストはキリリとした美人に成長しそうな雰囲気があるけれど、サキュルラストをおっとりとさせた方向に成長させるとこんな感じの人になると思える女性だった。
サキュルラストは後ろに立った女性を見てマズイという顔をした。
中指を親指にかけた手をサキュルラストの額に近づけて、中指に力を込めて抑えていた親指を外す。
ゴッと可愛くない音を立ててサキュルラストが軽く後ろに転がっていく。
恐ろしいほどの威力を見せたデコピンであった。
「ごめんなさいね〜、うちの妹が。……それにしてもいい男ね。どーう? 私のこと、愛人にしてみない? ふふっ、お兄さんの望みなんでも叶えてあげちゃうわよ〜」
謝罪に近づいてきたと思ったら女性はそのままリュードの腕に自分の腕を絡め始めた。
「私はサキュルレスト。レストって呼んでほしいな」
グッと腕に胸を当ててくるレスト。
リュードの視界の端でレヴィアンが羨ましいといった表情を浮かべているのが見えた。
代わりたいなら代わってやる。
ただリュードも強い意志を持って興味がないように装っているのでこれ以上のアクションが取れない。
「えーい」
「いったぁーい!」
無表情のルフォンの攻撃。
レストがサキュルラストにやったようにルフォンがレストのおでこにデコピンをくらわせた。
声のトーンがマジでちょっと怖い。
「リューちゃんは私の!」
ルフォンはレストが離れた隙にリュードの腕に自分の腕を絡ませる。
思わず自分の物発言をしてしまったことにルフォンは顔を赤くするがリュードからは離れない。
リュードは自覚があまりないけどモテる。
村でも外でもルフォンが側にいるし、女性に対して手が遅い方なので気づかない、あるいは気づいてても積極的にはいかないのだけど、やはり強くて容姿のいい男性はそれだけで魔人族にとって注目の的なのだ。
モテるというのは悪いことではない。
パートナーにとってモテる相手というのは一種のステータスであって、そんな相手を捕まえられることは誇らしいことでもある。
リュードは魔力も強く、剣なども強い。
魔人族にありがちなワイルドさにはかけるかもしれないが穏やかで性格もいい。
当然そんなリュードによってくる女性というのもそれに見合ったような女性が寄ってくる。
強くて美人。そうした女性でなければリュードにアプローチもかけられない。
さらにいうと強くて美人な魔人族の女性は結構な確率で個性的な人も多い。
エミナはリュードの竜人化した姿の方が好きだし真人族という特殊な変態パターンだった。
だが村で言えばテユノ、今はサキュルラストやレストのような一筋縄ではいかなそうな女性が寄ってきている。
ルフォンは短い旅の間に改めてリュードがモテることを思い知って危機感を募らせていた。
リュードの貞操は自分が守らなきゃいけないとルフォンは決意を新たにしていた。
「で、だ。この2人は誰なんだ?」
リュードはおでこを押さえる似た者姉妹を横目で見る。
「こちらののたうち回っている方が妹であり、この城の城主、この大領地の領主であらせられるサキュルラスト様でございます。こちらののたうち回っていない方が姉であります、サキュルレスト様でございます」
「くぅ〜お姉ちゃんのデコピン痛いって!」
額の真ん中が赤くなっているサキュルラスト。
力があるようには見えないのにサキュルラストが涙目でのたうち回っていたところを見ると結構な威力があったようだ。
音も低くて軽くぶっ飛んだし、決して軽いものではなかった。
レヴィアンが目的できたのだろうし、レヴィアンの方に行ったらさっさと帰ってしまえばいいと思った。
「ふぅーん……」
「サキュルラスト様!」
しかし目立たぬようにするにはもう遅かった。
完全に一度対面してしまったリュードに少女は目をつけた。
サキュルラストと呼ばれた少女はリュードに何かを感じたのか上から下までジロジロと眺めながらぐるぐると周りを回る。
リュードが大人しくしているのでルフォンも大人しくしているけど気分は良くない。
居心地は良くないけどここは無心で置物のように立ち尽くす。
こんな時は何かリアクションしてはいけない。
「……決めた。お前私の夫になれ!」
サキュルラストはいいことでも思いついたように手を打うつとビッとリュードの顔を指差した。
過去にこれほどの爆弾発言があっただろうか。
理由も分からなければ、一目惚れしたようにも見えないサキュルラストはニヤリと笑っていた。
「ダメに決まってるでしょ!」
どう答えたものかと困惑しているとルフォンが間に割って入ってくる。
「なんだ? ……なるほど、分かったぞ。なんならお前を第2夫人にしてやってもいいぞ」
「私が! 先に! リューちゃんのお嫁さんになるんです!」
プチンとルフォンが切れる音がした、気がした。
「リューちゃんの第1夫人どころか貴方みたいな人、私が認めない!」
「ほう? 小娘が言ってくれる……」
「もー、あなただって小娘じゃない」
「げっ!」
「えーい!」
「プギャ!」
ルフォンとサキュルラストの間で一触即発の空気が流れる。
ピリリとした空気を切り裂くようにおっとりとした声が聞こえてきた。
いつの間にかサキュルラストの後ろに立っていた女性はサキュルラストによく似ていた。
サキュルラストはキリリとした美人に成長しそうな雰囲気があるけれど、サキュルラストをおっとりとさせた方向に成長させるとこんな感じの人になると思える女性だった。
サキュルラストは後ろに立った女性を見てマズイという顔をした。
中指を親指にかけた手をサキュルラストの額に近づけて、中指に力を込めて抑えていた親指を外す。
ゴッと可愛くない音を立ててサキュルラストが軽く後ろに転がっていく。
恐ろしいほどの威力を見せたデコピンであった。
「ごめんなさいね〜、うちの妹が。……それにしてもいい男ね。どーう? 私のこと、愛人にしてみない? ふふっ、お兄さんの望みなんでも叶えてあげちゃうわよ〜」
謝罪に近づいてきたと思ったら女性はそのままリュードの腕に自分の腕を絡め始めた。
「私はサキュルレスト。レストって呼んでほしいな」
グッと腕に胸を当ててくるレスト。
リュードの視界の端でレヴィアンが羨ましいといった表情を浮かべているのが見えた。
代わりたいなら代わってやる。
ただリュードも強い意志を持って興味がないように装っているのでこれ以上のアクションが取れない。
「えーい」
「いったぁーい!」
無表情のルフォンの攻撃。
レストがサキュルラストにやったようにルフォンがレストのおでこにデコピンをくらわせた。
声のトーンがマジでちょっと怖い。
「リューちゃんは私の!」
ルフォンはレストが離れた隙にリュードの腕に自分の腕を絡ませる。
思わず自分の物発言をしてしまったことにルフォンは顔を赤くするがリュードからは離れない。
リュードは自覚があまりないけどモテる。
村でも外でもルフォンが側にいるし、女性に対して手が遅い方なので気づかない、あるいは気づいてても積極的にはいかないのだけど、やはり強くて容姿のいい男性はそれだけで魔人族にとって注目の的なのだ。
モテるというのは悪いことではない。
パートナーにとってモテる相手というのは一種のステータスであって、そんな相手を捕まえられることは誇らしいことでもある。
リュードは魔力も強く、剣なども強い。
魔人族にありがちなワイルドさにはかけるかもしれないが穏やかで性格もいい。
当然そんなリュードによってくる女性というのもそれに見合ったような女性が寄ってくる。
強くて美人。そうした女性でなければリュードにアプローチもかけられない。
さらにいうと強くて美人な魔人族の女性は結構な確率で個性的な人も多い。
エミナはリュードの竜人化した姿の方が好きだし真人族という特殊な変態パターンだった。
だが村で言えばテユノ、今はサキュルラストやレストのような一筋縄ではいかなそうな女性が寄ってきている。
ルフォンは短い旅の間に改めてリュードがモテることを思い知って危機感を募らせていた。
リュードの貞操は自分が守らなきゃいけないとルフォンは決意を新たにしていた。
「で、だ。この2人は誰なんだ?」
リュードはおでこを押さえる似た者姉妹を横目で見る。
「こちらののたうち回っている方が妹であり、この城の城主、この大領地の領主であらせられるサキュルラスト様でございます。こちらののたうち回っていない方が姉であります、サキュルレスト様でございます」
「くぅ〜お姉ちゃんのデコピン痛いって!」
額の真ん中が赤くなっているサキュルラスト。
力があるようには見えないのにサキュルラストが涙目でのたうち回っていたところを見ると結構な威力があったようだ。
音も低くて軽くぶっ飛んだし、決して軽いものではなかった。