「リューちゃーん!」
「おっと」
リュードの首に手を回して抱きつくルフォンは喜びを爆発させた。
尻尾がちぎれんばかりに振られていて、それを見てリュードも勝ったのだと実感が湧いてくる。
少し遅れてようやく喜びが溢れてくる。
「あのね、私頑張ったからさっきバーナードさんがエリザさんにやってたみたいに、してほしいなって……」
「やってたみたいってなんのことだ?」
色々していたからどれのことかわからない。
「ほっぺにちゅってしてたでしょ?」
旗取りでの競技でルフォンが勝った時の不自然な態度。
その理由がわかった。
バーナードは息止め対決のときに勝ったエリザに対して頬に軽くキスをした。
言葉で褒める代わりにおめでとうというスキンシップ。
ルフォンは限界まで息を止めて苦しい中でもその光景をバッチリ見ていたのであった。
負けたことも悔しくて、勝ったら絶対に自分もああしてもらうんだとひっそりと心の中で強く思った。
旗取りの時も勝ったのでそうしてもらおうかと思ったのだが恥ずかしくて言い出せなかった。
勝った喜びとこれが最後のチャンスなのでルフォンは思い切って言ってみた。
「い、今か?」
旗取りの時だったならリュードもすぐにオッケーした。
しかし今は一競技の中ではなく完全に全部が終わって、しかも優勝してみんなの注目の的になっている。
抱き合っているだけでもドキドキして周りの目がちょっと怖いことになっている人もいるのに、人前で頬とはいえキスするのは勇気がいる。
「ねぇ、ダメ?」
後でしてやるなんで言葉を言う前に懇願するように見つめてくるルフォン。
何かの気配を察した観客たちが歓声の声を少し落として2人の様子を見守る。
「ルフォン」
頭を撫でるのとはハードルの高さの違う、難易度の高い行為。
だけどルフォンはこのスナハマバトルの中で非常に頑張った。
リュードは持ちうる限りの勇気を振り絞ってルフォンの頬に優しく口づけをした。
「よく、やったな」
ボボボと、ルフォンの尻尾の毛が逆立って大きくなる。
顔も真っ赤になり、フニャリと表情が崩れる。
単に頬に口づけしただけなのだが周りから見ると普通にキスをしたように見えた。
歓声にヒューヒューと2人を冷やかすような声が混じる。
「これにて全ての競技が終わりました。最後に表彰式と……」
「きゃあーーーー!」
なかなか難しい雰囲気を司会のウェッツォが上手くまとめて次に行こうとした。
けれど女性の悲鳴が聞こえてきて会場に緊張感が走る。
途端にざわつく会場。
観客の後ろの方から聞こえてきた悲鳴の理由はすぐに分かった。
「魔物だー!」
観客が多く周りが見えないが男性の声がして、魔物が出てきたことが伝わってきた。
海の方に出たのか、それとももう浜辺に出ているのかまでは分からないが、もう見える位置にまで来ている。
「エミナ!」
「はい、ここにいます!」
「俺たちの荷物はあるか?」
「もちろんここに!」
エミナはリュードから預かっていたマジックボックスの袋をリュードに渡す。
人目はあるけれど緊急事態だし魔物騒動でリュードたちを見ている人はいない。
一応周りを気にしつつリュードは袋に手を突っ込んでナイフを取り出す。
「ルフォン!」
「ありがと!」
ナイフをルフォンに渡してまた袋に手を入れると今度は自分の愛剣を取り出す。
備えあれば憂いなし。
スナハマバトルの会場には武器持ち込み禁止だったので袋の中に入れてスナハマバトルを見に来てくれていたエミナに預けていた。
武器を身の回りに置くのはもはや習慣である。
海で遊んでいる時も荷物をマジックボックスの袋に入れて、それを水が入らない密閉できる袋に入れて身につけていたぐらいだ。
盗難防止にもなるし身近に剣がないと落ち着かない体になってしまったのだ。
よくウォーケックが剣は体の一部で常にそばに置けなんて言っていたが、今では本当に体の一部のようである。
「エミナも武器は持ってるな?」
「はい、もちろんです!」
一緒に旅している以上マジックボックスの袋の存在を隠すのは難しい。
一定の荷物は知らない人に見られても困らないように持ち運んでいるが、側にいるとそれ以上の物を取り出して使っているのは丸わかりだ。
単に秘密にしてもらうだけでなく当事者になってもらう。
エミナにも1つマジックボックスの袋をあげていて、エミナもその中に武器である杖を持ってきていた。
ちなみにヤノチとダカンはまだマジックボックスの袋の存在に気づいていなかったりする。
特別隠しているつもりもないが細かいことも気にする2人でもなかった。
5人もいると持てる荷物もそれなり多くなるし物の出どころをわざわざ仲間内で気にすることもない。
「よし、とりあえず見に行ってみよう。海に出てたらやることはないけど浜辺まで来たら大変だ」
浜辺の方から人が逃げていく。
流れとは逆行することになるので人の波をかき分けて進む。
「こりゃ……マズイな」
人の波を抜けると砂浜の状況が見えた。
もうすでに魔物が砂浜に上陸していた。
そこにいた魔物は魚のような見た目をしているが手足が生えていて二足歩行をしている。
マーマンと呼ばれる魔物である。
「きっもち悪いですね!」
エミナが嫌悪感に満ちた表情でマーマンを見る。
受け入れ難いフォルムをしていると思っていたのはリュードだけではなかった。
「おっと」
リュードの首に手を回して抱きつくルフォンは喜びを爆発させた。
尻尾がちぎれんばかりに振られていて、それを見てリュードも勝ったのだと実感が湧いてくる。
少し遅れてようやく喜びが溢れてくる。
「あのね、私頑張ったからさっきバーナードさんがエリザさんにやってたみたいに、してほしいなって……」
「やってたみたいってなんのことだ?」
色々していたからどれのことかわからない。
「ほっぺにちゅってしてたでしょ?」
旗取りでの競技でルフォンが勝った時の不自然な態度。
その理由がわかった。
バーナードは息止め対決のときに勝ったエリザに対して頬に軽くキスをした。
言葉で褒める代わりにおめでとうというスキンシップ。
ルフォンは限界まで息を止めて苦しい中でもその光景をバッチリ見ていたのであった。
負けたことも悔しくて、勝ったら絶対に自分もああしてもらうんだとひっそりと心の中で強く思った。
旗取りの時も勝ったのでそうしてもらおうかと思ったのだが恥ずかしくて言い出せなかった。
勝った喜びとこれが最後のチャンスなのでルフォンは思い切って言ってみた。
「い、今か?」
旗取りの時だったならリュードもすぐにオッケーした。
しかし今は一競技の中ではなく完全に全部が終わって、しかも優勝してみんなの注目の的になっている。
抱き合っているだけでもドキドキして周りの目がちょっと怖いことになっている人もいるのに、人前で頬とはいえキスするのは勇気がいる。
「ねぇ、ダメ?」
後でしてやるなんで言葉を言う前に懇願するように見つめてくるルフォン。
何かの気配を察した観客たちが歓声の声を少し落として2人の様子を見守る。
「ルフォン」
頭を撫でるのとはハードルの高さの違う、難易度の高い行為。
だけどルフォンはこのスナハマバトルの中で非常に頑張った。
リュードは持ちうる限りの勇気を振り絞ってルフォンの頬に優しく口づけをした。
「よく、やったな」
ボボボと、ルフォンの尻尾の毛が逆立って大きくなる。
顔も真っ赤になり、フニャリと表情が崩れる。
単に頬に口づけしただけなのだが周りから見ると普通にキスをしたように見えた。
歓声にヒューヒューと2人を冷やかすような声が混じる。
「これにて全ての競技が終わりました。最後に表彰式と……」
「きゃあーーーー!」
なかなか難しい雰囲気を司会のウェッツォが上手くまとめて次に行こうとした。
けれど女性の悲鳴が聞こえてきて会場に緊張感が走る。
途端にざわつく会場。
観客の後ろの方から聞こえてきた悲鳴の理由はすぐに分かった。
「魔物だー!」
観客が多く周りが見えないが男性の声がして、魔物が出てきたことが伝わってきた。
海の方に出たのか、それとももう浜辺に出ているのかまでは分からないが、もう見える位置にまで来ている。
「エミナ!」
「はい、ここにいます!」
「俺たちの荷物はあるか?」
「もちろんここに!」
エミナはリュードから預かっていたマジックボックスの袋をリュードに渡す。
人目はあるけれど緊急事態だし魔物騒動でリュードたちを見ている人はいない。
一応周りを気にしつつリュードは袋に手を突っ込んでナイフを取り出す。
「ルフォン!」
「ありがと!」
ナイフをルフォンに渡してまた袋に手を入れると今度は自分の愛剣を取り出す。
備えあれば憂いなし。
スナハマバトルの会場には武器持ち込み禁止だったので袋の中に入れてスナハマバトルを見に来てくれていたエミナに預けていた。
武器を身の回りに置くのはもはや習慣である。
海で遊んでいる時も荷物をマジックボックスの袋に入れて、それを水が入らない密閉できる袋に入れて身につけていたぐらいだ。
盗難防止にもなるし身近に剣がないと落ち着かない体になってしまったのだ。
よくウォーケックが剣は体の一部で常にそばに置けなんて言っていたが、今では本当に体の一部のようである。
「エミナも武器は持ってるな?」
「はい、もちろんです!」
一緒に旅している以上マジックボックスの袋の存在を隠すのは難しい。
一定の荷物は知らない人に見られても困らないように持ち運んでいるが、側にいるとそれ以上の物を取り出して使っているのは丸わかりだ。
単に秘密にしてもらうだけでなく当事者になってもらう。
エミナにも1つマジックボックスの袋をあげていて、エミナもその中に武器である杖を持ってきていた。
ちなみにヤノチとダカンはまだマジックボックスの袋の存在に気づいていなかったりする。
特別隠しているつもりもないが細かいことも気にする2人でもなかった。
5人もいると持てる荷物もそれなり多くなるし物の出どころをわざわざ仲間内で気にすることもない。
「よし、とりあえず見に行ってみよう。海に出てたらやることはないけど浜辺まで来たら大変だ」
浜辺の方から人が逃げていく。
流れとは逆行することになるので人の波をかき分けて進む。
「こりゃ……マズイな」
人の波を抜けると砂浜の状況が見えた。
もうすでに魔物が砂浜に上陸していた。
そこにいた魔物は魚のような見た目をしているが手足が生えていて二足歩行をしている。
マーマンと呼ばれる魔物である。
「きっもち悪いですね!」
エミナが嫌悪感に満ちた表情でマーマンを見る。
受け入れ難いフォルムをしていると思っていたのはリュードだけではなかった。