ルフォンもルフォンで恥ずかしく、頬がほんのりと赤い。
せっかく勇気を出したのだから見てほしい、そんな思いでリュードに近づいたルフォンなのだが近づかれると逆に見れなくなってしまう。
これまでのルフォンの印象は可愛いとかそういったものだった。
「ごめん……もうちょっとだけ待って」
「どうして?」
「その、綺麗……だから」
可愛くもある。
けれどルフォンはいつもに比べて綺麗だった。
普段とは違う格好なだけなのにルフォンはなぜだか艶っぽくいつもとは違って見えた。
知ってるけど知らないルフォンにドキドキする。
もう少し落ち着かなきゃルフォンのことをまともに見られない。
リュードはきらめくような波を眺めながらどうにか気を落ち着かせようとしていた。
「へへっ、ありがとう、リューちゃん」
チラッと視線を落としたら嬉しそうに笑うルフォンがいて、リュードは空を見上げた。
耳まで赤くなったリュードは心の中で神様に感謝していた。
こうした光景が拝めるのは転生したおかげである。
「えいっ!」
「あっ!」
「えへへっ、ルフォンちゃんだけずるいですよ!」
リュードの逆の腕にエミナが抱きつく。
海の開放感からだろうかエミナも勇気を出して積極的に攻めてみた。
「私はどうですか?」
「エ、エミナも可愛いぞ」
「見てないじゃないですかー」
「いや、さっき見たから……」
こんな動揺をするリュードは珍しい。
2人は顔を赤くして空中に視線を彷徨わせるリュードにクスリと笑った。
「おいっ、あれってまさか……」
「女の方見てたから気づかなかったけどまさか、あの?」
「あぁ……うわぁ、本当に可愛い子連れてんだ、ハーレム王」
そんな時聞き捨てならない言葉が聞こえてきた。
ルフォンたちは顔の良さから周りの注目を集めていた。
2人に挟まれるリュードも見られていたわけだが、とうとう気付く人も出てきてしまった。
アリアセンのせいで広まった噂は未だに落ち着くところを知らない。
方や女の子を無理矢理パーティーに引き込む変態だったり、方や女の子が自ら付いてくるハーレムパーティーの長だったりと日々人の噂は愉快に変化していた。
黒髪のイケメン男性が女の子を連れている。
あれがもしかして噂の、とリュードを見て周りの数人がヒソヒソと会話し出して、ハーレム王とまで呼ぶ人がいた。
原型もないにもあったものではない。
リュードの顔がさらに赤くなる。
静まると思っていた噂は変に面白おかしくなってしまったがために未だに形を変えながら広まっていた。
誰なんだ、ハーレム王なんて馬鹿みたいなこと言い出したのはと思わざるを得ない。
「みなさん、何してるんですか? 海、行きましょうよ!」
「もう1人増えたぞ……」
「いいなぁ、俺もなりてえよ、ハーレム王」
あいつら殴ってやろうかと思っていたところにヤノチから声をかけられてリュードたちはそそくさとその場を離れて海に向かった。
何もしてないから周りの目が気になって噂話に耳を傾けてしまう。
周りの声なんて遊び始めれば気にならなくなる。
「ルフォンちゃーん、おいでよー!」
エミナは初めての海でも臆することなくバシャッと入っていき、ルフォンに手を振っている。
対して恐る恐るといった感じでルフォンは打ち寄せる波に足をつけた。
さあーっと流れてくる海水にちょっとビクッとして波が来る範囲から逃げる。
そんなことを数回繰り返してようやくルフォンは海の中へと進んでいった。
エミナはそれを不思議そうな顔をして見ている。
何を隠そうルフォンはカナヅチであるのだ。
村の近くにも川はあったので大人が泳ぎを教えて、簡単に泳ぐ練習をする。
みんな身体能力もいいのですぐに泳げるようになる中でルフォンだけはいつまで経っても泳げるようにならなかった。
村では重くて直ぐに水に沈む黒重鉄からとって、泳げない人のことを揶揄して“こっくー”なんて呼んだりしていた。
こっくーこっくーと言われるのがイヤでルフォンは必死に泳ぐ練習をしていたのだが、上手くならずいつしか泳ぐ練習もやめてしまった。
つまりはこっそり練習していたのではない限り今もルフォンは泳げないのである。
水嫌いまでいかなくてもルフォンは水に対してやや苦手意識を持っている。
顔を洗うとかお風呂は平気なのだが海になると流石にまだ怖さがあるみたいだった。
真面目な顔をして海を進むルフォンはようやくエミナのところまで行くことができた。
「来たよ!」
「う、うん!」
エミナの手をとってホッと一安心したルフォンはニパッと笑う。
2人のいる地点での海の高さはせいぜい膝の高さであった。
ビーチは一大観光産業なので徹底的に近くの魔物は排除されている。
今も沖合に目を向けてみると魔物を警戒してボートで巡回しているので一応それなりの距離まで泳ぐ事もできる。
しかし今日は浜辺で遊ぶつもりなのであまり本格的に泳ぐつもりはない。
時間が経つにつれてルフォンもなんだかんだ海に慣れてきたし、みんなで遊び始める。
水をかけあったりビーチボールで遊んだり、ちょっと魔法を使ったりして砂で城を作ったりと童心に帰って遊ぶ。
せっかく勇気を出したのだから見てほしい、そんな思いでリュードに近づいたルフォンなのだが近づかれると逆に見れなくなってしまう。
これまでのルフォンの印象は可愛いとかそういったものだった。
「ごめん……もうちょっとだけ待って」
「どうして?」
「その、綺麗……だから」
可愛くもある。
けれどルフォンはいつもに比べて綺麗だった。
普段とは違う格好なだけなのにルフォンはなぜだか艶っぽくいつもとは違って見えた。
知ってるけど知らないルフォンにドキドキする。
もう少し落ち着かなきゃルフォンのことをまともに見られない。
リュードはきらめくような波を眺めながらどうにか気を落ち着かせようとしていた。
「へへっ、ありがとう、リューちゃん」
チラッと視線を落としたら嬉しそうに笑うルフォンがいて、リュードは空を見上げた。
耳まで赤くなったリュードは心の中で神様に感謝していた。
こうした光景が拝めるのは転生したおかげである。
「えいっ!」
「あっ!」
「えへへっ、ルフォンちゃんだけずるいですよ!」
リュードの逆の腕にエミナが抱きつく。
海の開放感からだろうかエミナも勇気を出して積極的に攻めてみた。
「私はどうですか?」
「エ、エミナも可愛いぞ」
「見てないじゃないですかー」
「いや、さっき見たから……」
こんな動揺をするリュードは珍しい。
2人は顔を赤くして空中に視線を彷徨わせるリュードにクスリと笑った。
「おいっ、あれってまさか……」
「女の方見てたから気づかなかったけどまさか、あの?」
「あぁ……うわぁ、本当に可愛い子連れてんだ、ハーレム王」
そんな時聞き捨てならない言葉が聞こえてきた。
ルフォンたちは顔の良さから周りの注目を集めていた。
2人に挟まれるリュードも見られていたわけだが、とうとう気付く人も出てきてしまった。
アリアセンのせいで広まった噂は未だに落ち着くところを知らない。
方や女の子を無理矢理パーティーに引き込む変態だったり、方や女の子が自ら付いてくるハーレムパーティーの長だったりと日々人の噂は愉快に変化していた。
黒髪のイケメン男性が女の子を連れている。
あれがもしかして噂の、とリュードを見て周りの数人がヒソヒソと会話し出して、ハーレム王とまで呼ぶ人がいた。
原型もないにもあったものではない。
リュードの顔がさらに赤くなる。
静まると思っていた噂は変に面白おかしくなってしまったがために未だに形を変えながら広まっていた。
誰なんだ、ハーレム王なんて馬鹿みたいなこと言い出したのはと思わざるを得ない。
「みなさん、何してるんですか? 海、行きましょうよ!」
「もう1人増えたぞ……」
「いいなぁ、俺もなりてえよ、ハーレム王」
あいつら殴ってやろうかと思っていたところにヤノチから声をかけられてリュードたちはそそくさとその場を離れて海に向かった。
何もしてないから周りの目が気になって噂話に耳を傾けてしまう。
周りの声なんて遊び始めれば気にならなくなる。
「ルフォンちゃーん、おいでよー!」
エミナは初めての海でも臆することなくバシャッと入っていき、ルフォンに手を振っている。
対して恐る恐るといった感じでルフォンは打ち寄せる波に足をつけた。
さあーっと流れてくる海水にちょっとビクッとして波が来る範囲から逃げる。
そんなことを数回繰り返してようやくルフォンは海の中へと進んでいった。
エミナはそれを不思議そうな顔をして見ている。
何を隠そうルフォンはカナヅチであるのだ。
村の近くにも川はあったので大人が泳ぎを教えて、簡単に泳ぐ練習をする。
みんな身体能力もいいのですぐに泳げるようになる中でルフォンだけはいつまで経っても泳げるようにならなかった。
村では重くて直ぐに水に沈む黒重鉄からとって、泳げない人のことを揶揄して“こっくー”なんて呼んだりしていた。
こっくーこっくーと言われるのがイヤでルフォンは必死に泳ぐ練習をしていたのだが、上手くならずいつしか泳ぐ練習もやめてしまった。
つまりはこっそり練習していたのではない限り今もルフォンは泳げないのである。
水嫌いまでいかなくてもルフォンは水に対してやや苦手意識を持っている。
顔を洗うとかお風呂は平気なのだが海になると流石にまだ怖さがあるみたいだった。
真面目な顔をして海を進むルフォンはようやくエミナのところまで行くことができた。
「来たよ!」
「う、うん!」
エミナの手をとってホッと一安心したルフォンはニパッと笑う。
2人のいる地点での海の高さはせいぜい膝の高さであった。
ビーチは一大観光産業なので徹底的に近くの魔物は排除されている。
今も沖合に目を向けてみると魔物を警戒してボートで巡回しているので一応それなりの距離まで泳ぐ事もできる。
しかし今日は浜辺で遊ぶつもりなのであまり本格的に泳ぐつもりはない。
時間が経つにつれてルフォンもなんだかんだ海に慣れてきたし、みんなで遊び始める。
水をかけあったりビーチボールで遊んだり、ちょっと魔法を使ったりして砂で城を作ったりと童心に帰って遊ぶ。