「じゃあどうしろと……」
語気が弱くなった。
「俺たちも行こう」
ルフォンはこんな会話の間リュードをジーッと見ていた。
行かないの?という視線だ。
リュードもこんな事態放ってはおけない。
アリアセンに行ってはいけないと言っているのではない。
1人で勝手に突っ走るなと言っているのだ。
リュードの言葉を聞いてルフォンがニッコリと微笑む。
「しかし……」
先程も言ったけれど巻き込む訳にはいかないとアリアセンは渋い顔をした。
危険なことはアリアセンも重々承知なのだから首を突っ込ませてはいけない。
「……じゃあこうしよう。俺たちが勝手に行くんだ。アリアセンはそんな俺たちを放っておけずについてきたんだ」
アリアセンが行ったのではなくリュードたちが行った。
職務放棄しちゃいけないアリアセンに対する大義名分とでも表現すればいいのだろうか。
依頼に期限は言われてないが、もうデタルトスには連絡は行っているだろう。
あまり遅れると案内人であるアリアセンの責任を問われる。
あまり日数が経ちすぎて勝手に寄り道をしましたなんて言い訳できることでもなく、責任を追求されることは目に見える。
1人で勝手に行かすわけにもいかず、なおかつアリアセンに責任がないようにする。
その責任をの矛先をズラすのは簡単なこと。
案内人しなきゃいけないリュードたちが行ってしまったのでアリアセンも行ったとしてしまえばいいのである。
リュードの配慮を感じてアリアセンは段々と冷静さを取り戻してくる。
「エミナたちはその人のことを頼む。俺たちはその間に村の様子を確認してくるから」
「わかりました!」
ピシッとヤノチは姿勢を正す。
突発的な事態に慣れていないヤノチはアリアセンをたしなめるために声を荒らげたリュードの雰囲気に飲まれていた。
正確に決めたことはないけどこの5人の中でリーダー的な役割を果たしているのは誰がどう見てもリュード。
経験不足なことは自覚しているのでヤノチはリュードに従うのが適正だと考えてもいた。
「俺たちがいない間のリーダーはお前だ、エミナ」
ポンとエミナの肩に手を置く。
何かを言いたそうにしていたので先に手を打つ。
任せたぞと目を見てうなずかれては一緒に行くと言い出せなくなってしまう。
まだまだ心配な面はあるもののエミナは意外と周りをよく見ているし無茶な判断はしない。
3人での活動も慣れてきているので多少の相手なら対処もできる。
一緒に行くより待っていてもらう方が安心だ。
「ケガしないで、すぐに帰ってきてくださいね?」
止めても無駄。
2人の実力はわかっているけど心配なものは心配である。
リュードは笑みを浮かべてエミナの頭を撫でる。
「任せて! ちゃちゃっと倒して来ちゃうから!」
ルフォンは自身満々で心配そうなエミナの視線に答える。
そうこうしている間にルフォンは必要な荷物を片付けて移動する準備を整えていた。
「ハラヤ村だっけ? 案内たのむぞ、アリアセン」
とりあえず女性が走ってきた方に向かって歩き出す。
「行かないのかー?」
「えっ、い、行きます!」
最初はいくのだと意気込んでいたアリアセンだが、いつの間にかリュードとルフォンにアリアセンが付いていく形になっていたのであった。
ーーーーー
「これはヒドイな」
エミナたちを連れてこなくて良かったと思う。
リュードたちがハラヤ村に着いた時にはもう全てが終わっていた。
火を放たれて未だにくすぶる家々、槍や剣、中には鍬を持って倒れている男たち。
村は壊滅していた。
生きている者がいない惨状にアリアセンの握りしめた手が怒りに震えている。
ルフォンも同じ気持ちで目が怖い。
「一体誰がこんなことを……」
「奴隷商……」
「奴隷商?」
「見てみろ」
凄惨な現場で生きている者もいないので誰がこんなことをしたのかヒントはないように見えるが、リュードはしっかりと現場を見ていた。
目も背けたくなる死体をよく見てみるとほとんどが一定以上の年齢の者。
多くの人が切り倒されているので全員を確認することは出来ないのでパッと見だけど若い男性は少なく、武器を持った男性か年配の人の死体しかない。
若い女性、それに子供の死体はない。
少ない情報から誰がこんなことをした犯人なのか必死に頭を回して推測した。
いくら田舎の村とはいえ、誰も若い女性や子供がいないなどということはあり得ない。
ならばいなくなった理由があるはず。
リュードは女子供、それに一部の若い男性は連れていかれたのだと考えた。
盗賊の可能性もあるけど人の誘拐は面倒な行為だし、村を潰して火を放つなんてことをしたら今後その地域で活動していくのは難しくなる。
盗む相手がいなくなるし重罪すぎて国から追われる。
奴隷商にしてもやりすぎではあるが、根こそぎ女子供がいないことを考えると盗賊よりも可能性はある。
村一つ襲ってさらっていくこともあり得ない話ではない。
少なくとも人をさらっていくことを考えるに魔物に襲われたのではないと断言はできる。
「……! 2人とも隠れるんだ」
ルフォンの耳が動き、リュードもそれに気づいた。
3人は身を低くして燃え残った家の壁裏に身を隠す。
「へっへ〜、他の奴らに見つかる前に隠せてよかったな」
小柄で小汚い、前歯の出たブサイクな男がトコトコとやってきた。
周りに誰もいないと思っていて大声で独り言を発している。
男は1度キョロキョロと周りを見回すと腰から剣を外して鞘をそのままに地面を掘り出した。
語気が弱くなった。
「俺たちも行こう」
ルフォンはこんな会話の間リュードをジーッと見ていた。
行かないの?という視線だ。
リュードもこんな事態放ってはおけない。
アリアセンに行ってはいけないと言っているのではない。
1人で勝手に突っ走るなと言っているのだ。
リュードの言葉を聞いてルフォンがニッコリと微笑む。
「しかし……」
先程も言ったけれど巻き込む訳にはいかないとアリアセンは渋い顔をした。
危険なことはアリアセンも重々承知なのだから首を突っ込ませてはいけない。
「……じゃあこうしよう。俺たちが勝手に行くんだ。アリアセンはそんな俺たちを放っておけずについてきたんだ」
アリアセンが行ったのではなくリュードたちが行った。
職務放棄しちゃいけないアリアセンに対する大義名分とでも表現すればいいのだろうか。
依頼に期限は言われてないが、もうデタルトスには連絡は行っているだろう。
あまり遅れると案内人であるアリアセンの責任を問われる。
あまり日数が経ちすぎて勝手に寄り道をしましたなんて言い訳できることでもなく、責任を追求されることは目に見える。
1人で勝手に行かすわけにもいかず、なおかつアリアセンに責任がないようにする。
その責任をの矛先をズラすのは簡単なこと。
案内人しなきゃいけないリュードたちが行ってしまったのでアリアセンも行ったとしてしまえばいいのである。
リュードの配慮を感じてアリアセンは段々と冷静さを取り戻してくる。
「エミナたちはその人のことを頼む。俺たちはその間に村の様子を確認してくるから」
「わかりました!」
ピシッとヤノチは姿勢を正す。
突発的な事態に慣れていないヤノチはアリアセンをたしなめるために声を荒らげたリュードの雰囲気に飲まれていた。
正確に決めたことはないけどこの5人の中でリーダー的な役割を果たしているのは誰がどう見てもリュード。
経験不足なことは自覚しているのでヤノチはリュードに従うのが適正だと考えてもいた。
「俺たちがいない間のリーダーはお前だ、エミナ」
ポンとエミナの肩に手を置く。
何かを言いたそうにしていたので先に手を打つ。
任せたぞと目を見てうなずかれては一緒に行くと言い出せなくなってしまう。
まだまだ心配な面はあるもののエミナは意外と周りをよく見ているし無茶な判断はしない。
3人での活動も慣れてきているので多少の相手なら対処もできる。
一緒に行くより待っていてもらう方が安心だ。
「ケガしないで、すぐに帰ってきてくださいね?」
止めても無駄。
2人の実力はわかっているけど心配なものは心配である。
リュードは笑みを浮かべてエミナの頭を撫でる。
「任せて! ちゃちゃっと倒して来ちゃうから!」
ルフォンは自身満々で心配そうなエミナの視線に答える。
そうこうしている間にルフォンは必要な荷物を片付けて移動する準備を整えていた。
「ハラヤ村だっけ? 案内たのむぞ、アリアセン」
とりあえず女性が走ってきた方に向かって歩き出す。
「行かないのかー?」
「えっ、い、行きます!」
最初はいくのだと意気込んでいたアリアセンだが、いつの間にかリュードとルフォンにアリアセンが付いていく形になっていたのであった。
ーーーーー
「これはヒドイな」
エミナたちを連れてこなくて良かったと思う。
リュードたちがハラヤ村に着いた時にはもう全てが終わっていた。
火を放たれて未だにくすぶる家々、槍や剣、中には鍬を持って倒れている男たち。
村は壊滅していた。
生きている者がいない惨状にアリアセンの握りしめた手が怒りに震えている。
ルフォンも同じ気持ちで目が怖い。
「一体誰がこんなことを……」
「奴隷商……」
「奴隷商?」
「見てみろ」
凄惨な現場で生きている者もいないので誰がこんなことをしたのかヒントはないように見えるが、リュードはしっかりと現場を見ていた。
目も背けたくなる死体をよく見てみるとほとんどが一定以上の年齢の者。
多くの人が切り倒されているので全員を確認することは出来ないのでパッと見だけど若い男性は少なく、武器を持った男性か年配の人の死体しかない。
若い女性、それに子供の死体はない。
少ない情報から誰がこんなことをした犯人なのか必死に頭を回して推測した。
いくら田舎の村とはいえ、誰も若い女性や子供がいないなどということはあり得ない。
ならばいなくなった理由があるはず。
リュードは女子供、それに一部の若い男性は連れていかれたのだと考えた。
盗賊の可能性もあるけど人の誘拐は面倒な行為だし、村を潰して火を放つなんてことをしたら今後その地域で活動していくのは難しくなる。
盗む相手がいなくなるし重罪すぎて国から追われる。
奴隷商にしてもやりすぎではあるが、根こそぎ女子供がいないことを考えると盗賊よりも可能性はある。
村一つ襲ってさらっていくこともあり得ない話ではない。
少なくとも人をさらっていくことを考えるに魔物に襲われたのではないと断言はできる。
「……! 2人とも隠れるんだ」
ルフォンの耳が動き、リュードもそれに気づいた。
3人は身を低くして燃え残った家の壁裏に身を隠す。
「へっへ〜、他の奴らに見つかる前に隠せてよかったな」
小柄で小汚い、前歯の出たブサイクな男がトコトコとやってきた。
周りに誰もいないと思っていて大声で独り言を発している。
男は1度キョロキョロと周りを見回すと腰から剣を外して鞘をそのままに地面を掘り出した。