リュードは袋に手を突っ込んで箱を1つ取り出した。
手のひら大ほどの大きさの箱をドランダラスに渡す。
わずかにきしんだ音を立てる箱をドランダラスが開けると中には細々とした物と封筒に包まれて封蝋がされた手紙入っていた。
ゼムトによると遺品にはそれぞれ親しい者に当てた手紙が入っていた。
ゼムトの箱の中には手紙が3通。
1通はドランダラスに向けられたものであった。
手紙を読む間にと気を利かせたファランドールの勧めでリュードは遺品を別の部屋に出すことにした。
残されたのは手紙を持ったドランダラス1人だけであった。
大きめの部屋に遺品や貴重品の箱を先に置かせてもらった。
そして泊まっている宿の名前だけ教えてリュードたちは王城を後にした。
結局最後までドランダラスは顔を見せなかった。
手紙の内容できっと大きく感情が揺り動かされたことは想像に難くない。
「んー……付けられてる?」
「そうだな」
王城を出たあたりからずっと感じていた視線。
ルフォンも感じているなら気のせいじゃない。
「よし……こうしよう」
「うん、分かった!」
リュードがルフォンに耳打ちするとルフォンもニッと笑う。
「あっ!」
「何か用か?」
典型的なやり方で相手を捕まえることにした。
少しスピードを上げて曲がり角の先で待つ。
ぶつからず立ち止まった反射神経は褒めてあげたい。
敵意は感じなかったので攻撃はしなかった。
「な、なんの事かしら?」
追いかけて来ていたのは青い髪をした少女だった。
「分かってるだろ?」
「は、ははは……人違いですわ!」
「あっ、早いな」
引きつった作り笑いを浮かべて誤魔化そうとした少女はものすごい速さで逃げていってしまった。
思っていたよりも若かった。
子供を追いかけると流石に外からの視線は良くない。
なのでリュードもそのままにしておくことにした。
「なんだったんだ?」
「さあ?」
ーーーーー
エミナ達は依頼を受けて連携を深めて、ヤノチとダカンは初心者クラスであるアイアン-からアイアンにランクを上げていた。
リュードも消耗品を買い足したり次にどこに行くかを考えながら過ごしていた。
そして数日が経ち、王城から使者が来たので再び王城を訪れた。
「信じられないわ!」
少し前に見た青い髪の怪しい少女を思い出すなとリュードは思っていた。
しかし今目の前にいる女性はその時の少女よりもいくらか年上であるしかなりキツそうな性格に見えた。
きっと凄まれていることがキツく見える原因の1つだろう。
ファランドールが申し訳なさそうに間に入って女性を止めようとしていた。
ヘランド第3騎士団の副団長アリアセン・マクフェウスは相手に当たるのは筋違いだと分かっていながらも怒りを抑えられないでいた。
名前で分かるだろう、ガイデンの孫である。
自分の祖父が餓死して魔物になったという詳細な話は一般には表向きには伏せられていた。
けれど高い地位にいたアリアセンは表面的な話だけでは納得せずに無理やり詳細を聞き出したのである。
詳細も聞いたアリアセンはそれを受け入れられなかった。
父親が童話のように祖父の話を良くしてくれていた。
そんな祖父がスケルトンになっていただなんてとリュードの話を拒否したのだ。
どこかの詐欺師が王国から金を騙し取ろうとして作った作り話ではないか。
そんな風に信じたくてアリアセンは呼び出されたリュードたちのところに押しかけていた。
ルフォンも横にいるのに何故かリュードだけが、目の敵にされて睨まれる。
アリアセンには遺品である箱とガイデンに託された盾が渡されていた。
「あなた一体どこでこれを見つけたのか私の目を見て言ってごらんなさい!」
盾の保存状態は非常に良く、錆び付いてすらいない。
何十年も前に消失したものとは到底思えず偽物なのではないかという、淡い期待をリュードにぶつけていた。
「マクフェウス副団長! それは失礼と言うものですよ!」
「宰相様もどうかしています! このような怪しい男の話信じてしまうなんて……」
「アリアセン!」
ビクリとアリアセンの体が震えた。
低く凄みのある声。
杖をついた年配の男性が険しい顔をして部屋に入ってきた。
左足が悪いのか引きずっているのに背筋は伸びていて体つきは年にそぐわなそうなぐらいに筋肉が付いているのが見て取れる。
アリアセンの父親。ガイデンから見ると息子である。
「話を聞いて飛んできてみればなんという醜態を晒しているのだ!」
「しかし父上……」
「疑うなら疑うなりにやり方というものもあるだろう! 相手に脅しかけるようなやり方をして良いわけもない。貸しなさい」
アリアセンの父親はアリアセンから家宝の盾を受け取ると真贋を確かめる。
裏面が上になるようにテーブルに置くとメガネを取り出してかける。
リュードには分からない何かをアリアセンの父親は確認して大きく息を吐き出した。
「アリアセン、これは本物だ」
「父上!」
「疑ったことに対する謝罪をするんだ」
「…………申し訳ありませんでした」
「いえ、大丈夫ですよ」
尊敬していたおじいちゃんが魔物になっていて燃やされました、じゃ否定したくなる気持ちも分からないでもない。
「本当に申し訳ない」
アリアセンの父親も頭を下げる。
「疑いが晴れたならそれで十分ですので頭を上げてください、御老公」
「ありがとう、若いのによく出来たお方だ。この家宝の盾には魔法のための文言と製作者の名前が模様に隠されている。父に昔見せてもらったものと全く一緒のものがこの盾にはある。仮に偽物だとしても誰にも分からない」
不満げな表情のアリアセン。
アリアセンの父親が振り返って睨みつけると非常に気まずそうな顔をする。
手のひら大ほどの大きさの箱をドランダラスに渡す。
わずかにきしんだ音を立てる箱をドランダラスが開けると中には細々とした物と封筒に包まれて封蝋がされた手紙入っていた。
ゼムトによると遺品にはそれぞれ親しい者に当てた手紙が入っていた。
ゼムトの箱の中には手紙が3通。
1通はドランダラスに向けられたものであった。
手紙を読む間にと気を利かせたファランドールの勧めでリュードは遺品を別の部屋に出すことにした。
残されたのは手紙を持ったドランダラス1人だけであった。
大きめの部屋に遺品や貴重品の箱を先に置かせてもらった。
そして泊まっている宿の名前だけ教えてリュードたちは王城を後にした。
結局最後までドランダラスは顔を見せなかった。
手紙の内容できっと大きく感情が揺り動かされたことは想像に難くない。
「んー……付けられてる?」
「そうだな」
王城を出たあたりからずっと感じていた視線。
ルフォンも感じているなら気のせいじゃない。
「よし……こうしよう」
「うん、分かった!」
リュードがルフォンに耳打ちするとルフォンもニッと笑う。
「あっ!」
「何か用か?」
典型的なやり方で相手を捕まえることにした。
少しスピードを上げて曲がり角の先で待つ。
ぶつからず立ち止まった反射神経は褒めてあげたい。
敵意は感じなかったので攻撃はしなかった。
「な、なんの事かしら?」
追いかけて来ていたのは青い髪をした少女だった。
「分かってるだろ?」
「は、ははは……人違いですわ!」
「あっ、早いな」
引きつった作り笑いを浮かべて誤魔化そうとした少女はものすごい速さで逃げていってしまった。
思っていたよりも若かった。
子供を追いかけると流石に外からの視線は良くない。
なのでリュードもそのままにしておくことにした。
「なんだったんだ?」
「さあ?」
ーーーーー
エミナ達は依頼を受けて連携を深めて、ヤノチとダカンは初心者クラスであるアイアン-からアイアンにランクを上げていた。
リュードも消耗品を買い足したり次にどこに行くかを考えながら過ごしていた。
そして数日が経ち、王城から使者が来たので再び王城を訪れた。
「信じられないわ!」
少し前に見た青い髪の怪しい少女を思い出すなとリュードは思っていた。
しかし今目の前にいる女性はその時の少女よりもいくらか年上であるしかなりキツそうな性格に見えた。
きっと凄まれていることがキツく見える原因の1つだろう。
ファランドールが申し訳なさそうに間に入って女性を止めようとしていた。
ヘランド第3騎士団の副団長アリアセン・マクフェウスは相手に当たるのは筋違いだと分かっていながらも怒りを抑えられないでいた。
名前で分かるだろう、ガイデンの孫である。
自分の祖父が餓死して魔物になったという詳細な話は一般には表向きには伏せられていた。
けれど高い地位にいたアリアセンは表面的な話だけでは納得せずに無理やり詳細を聞き出したのである。
詳細も聞いたアリアセンはそれを受け入れられなかった。
父親が童話のように祖父の話を良くしてくれていた。
そんな祖父がスケルトンになっていただなんてとリュードの話を拒否したのだ。
どこかの詐欺師が王国から金を騙し取ろうとして作った作り話ではないか。
そんな風に信じたくてアリアセンは呼び出されたリュードたちのところに押しかけていた。
ルフォンも横にいるのに何故かリュードだけが、目の敵にされて睨まれる。
アリアセンには遺品である箱とガイデンに託された盾が渡されていた。
「あなた一体どこでこれを見つけたのか私の目を見て言ってごらんなさい!」
盾の保存状態は非常に良く、錆び付いてすらいない。
何十年も前に消失したものとは到底思えず偽物なのではないかという、淡い期待をリュードにぶつけていた。
「マクフェウス副団長! それは失礼と言うものですよ!」
「宰相様もどうかしています! このような怪しい男の話信じてしまうなんて……」
「アリアセン!」
ビクリとアリアセンの体が震えた。
低く凄みのある声。
杖をついた年配の男性が険しい顔をして部屋に入ってきた。
左足が悪いのか引きずっているのに背筋は伸びていて体つきは年にそぐわなそうなぐらいに筋肉が付いているのが見て取れる。
アリアセンの父親。ガイデンから見ると息子である。
「話を聞いて飛んできてみればなんという醜態を晒しているのだ!」
「しかし父上……」
「疑うなら疑うなりにやり方というものもあるだろう! 相手に脅しかけるようなやり方をして良いわけもない。貸しなさい」
アリアセンの父親はアリアセンから家宝の盾を受け取ると真贋を確かめる。
裏面が上になるようにテーブルに置くとメガネを取り出してかける。
リュードには分からない何かをアリアセンの父親は確認して大きく息を吐き出した。
「アリアセン、これは本物だ」
「父上!」
「疑ったことに対する謝罪をするんだ」
「…………申し訳ありませんでした」
「いえ、大丈夫ですよ」
尊敬していたおじいちゃんが魔物になっていて燃やされました、じゃ否定したくなる気持ちも分からないでもない。
「本当に申し訳ない」
アリアセンの父親も頭を下げる。
「疑いが晴れたならそれで十分ですので頭を上げてください、御老公」
「ありがとう、若いのによく出来たお方だ。この家宝の盾には魔法のための文言と製作者の名前が模様に隠されている。父に昔見せてもらったものと全く一緒のものがこの盾にはある。仮に偽物だとしても誰にも分からない」
不満げな表情のアリアセン。
アリアセンの父親が振り返って睨みつけると非常に気まずそうな顔をする。