最終的な形は木製の箱に外側に金属の板を貼り付けて密閉するのが良いということになった。
定期的に魔石に魔力を込めなきゃいけなかったり、大きなサイズで成功せず小さくて容量が限られるなどの問題はある。
それでも保存が効くだけ便利なので不満はない。
こうして保存した食べ物は決して無駄にならずにルフォンの料理の材料となる。
ルフォンが美味しい料理を作ってくれる。
外でも味気ない携帯食なんか食べなくてもいいので努力の甲斐はあった。
今後もこうして食材を持ち歩いていくつもりだ。
生鮮食品に日持ちの限界はあるが、冷やして冷凍しておけばそれなりに長持ちする。
ボーノボアしかり、まんじゅうしかりとこの世界にも前の世界のような食材があることも分かったので色々食べてみたい気持ちにもなった。
イマリカラツトはその国の中でも場所によって豚肉料理が変わっていた。
それがまた美味しく面白くて、少しフラフラと立ち寄りながら旅を続けていたが、ずっと同じ国にもいられないので名残惜しくも隣の国に入った。
イマリカラツトの1つ西の国、カシタコウである。
領土は広く、リュードたちがいた村のある森の3割ほどもカシタコウが主権を主張できる。
実質的には支配は及んでいないが一応領土ということになっている。
「エミナは国に帰ったらどうするんだ?」
歩きながらの会話する。
カシタコウは広く抜けるのに時間がかかるが、カシタコウの隣はもうトキュネスである。
トキュネスはエミナの故郷で、そこで別れることになっている。
それなりに長く旅をしてきたがエミナとの旅にも終わりが見えてきてしまった。
エミナがこれからどうするのかは聞かずとも分かっている。
冒険者の身分を得たから冒険者をやる。
それは当然なのでリュードが気になるのはその先のことである。
今はリュードたちと行動を共にしているエミナだが国に戻ってお別れとなれば1人になる。
エミナは魔法使いとしての能力は高く将来性もある。
このまま順当にいけばゴールドクラスにも上がれる才能があるとリュードは思う。
人としてはどうか。
悪い子ではない。
性格もいいし協調性もある。
けれどちょっと抜けたところがあって人付き合いが得意なタイプではない。
これが心配なのだ。
冒険者は1人でやることが難しい仕事だ。
必ずしも仲間が必要とされるものでもないが複数人でのパーティー前提の依頼だってある。
旅する上で2人でも中々厳しいと思うのに1人では困難も多い。
特にエミナは魔法使いである。
前衛で戦ってくれる人がいてくれて初めて力を存分に発揮できる。
リュードのように両方できるなら問題もないけどエミナは魔法一本だ。
今後の展望を一体どう考えているのかリュードは気になったのであふ。
「えっと、まだあんまり考えてなくて。私がいたところは田舎だったので人が多い町とかで活動することになるんでしょうけど、冒険者の友達もいないので探さなきゃいけないですね……」
正直なところ、やはりかという感想。
着いたらすぐにお別れとはちょっといかなそうだ。
ここまで一緒にきたのだから放っておくのも気が引ける。
急ぐ旅じゃないのでエミナの仲間探しぐらい手伝ってもいいかもしれない。
「エミナはどんな人が仲間がいい?」
「どんな人ですか……私は…………」
口に出そうと考えてエミナはハッと気づく。
今言おうとしている人の像は明らかにリュードとルフォンの2人のことだったからだ。
顔が熱くなる。
エミナがどんな人がいいかを考えれば考えるほど2人のことが思い浮かぶ。
リュードは真面目に聞いているから先のことを考えなきゃいけない。
なのにもう少し2人と一緒にいたいという考えばかりが頭を駆け巡る。
「ま、まだどんな人がいいとか言える立場ではないので!」
結局のところエミナはごまかした。
リュードは少し前を歩いているのでエミナの顔が赤くなっていることに気づいていない。
リュードとルフォンの2人よりも強くて素敵な人がいるだろうか。
そんな人なんて中々いないに違いない。
トキュネスまであと少しでようやく家に帰れる。
喜ばしいことなのに何故か先のことを考えると胸がギュッと締め付けられる。
この感情が何なのか、どうしたらいいのか分からずエミナはただ強く杖を握りしめた。
「エミナにだって相手を選ぶ権利ぐらいあるさ。そう自分を卑下することも……」
「リューちゃん!」
「どうした、ルフォン?」
すこし緊張感を帯びたルフォンの声。
「誰かが戦ってる音がする」
「どこでだ?」
「この先……あんまり状況は良くなさそう」
「行ってみようか」
こういう時にやたらめったら首を突っ込むのは良くないことだが、リュードもルフォンもなにかと放っておけない性分。
困っている人がいるなら助けようと思ってしまう。
エミナもなんだかんだ影響されてきて文句もなく2人について行く。
「あそこ!」
すぐにルフォンが言っていたものが見えてきた。
道の先で1台の馬車とそれを守る人、馬車に襲いかかるように囲んでいる人が見えた。
定期的に魔石に魔力を込めなきゃいけなかったり、大きなサイズで成功せず小さくて容量が限られるなどの問題はある。
それでも保存が効くだけ便利なので不満はない。
こうして保存した食べ物は決して無駄にならずにルフォンの料理の材料となる。
ルフォンが美味しい料理を作ってくれる。
外でも味気ない携帯食なんか食べなくてもいいので努力の甲斐はあった。
今後もこうして食材を持ち歩いていくつもりだ。
生鮮食品に日持ちの限界はあるが、冷やして冷凍しておけばそれなりに長持ちする。
ボーノボアしかり、まんじゅうしかりとこの世界にも前の世界のような食材があることも分かったので色々食べてみたい気持ちにもなった。
イマリカラツトはその国の中でも場所によって豚肉料理が変わっていた。
それがまた美味しく面白くて、少しフラフラと立ち寄りながら旅を続けていたが、ずっと同じ国にもいられないので名残惜しくも隣の国に入った。
イマリカラツトの1つ西の国、カシタコウである。
領土は広く、リュードたちがいた村のある森の3割ほどもカシタコウが主権を主張できる。
実質的には支配は及んでいないが一応領土ということになっている。
「エミナは国に帰ったらどうするんだ?」
歩きながらの会話する。
カシタコウは広く抜けるのに時間がかかるが、カシタコウの隣はもうトキュネスである。
トキュネスはエミナの故郷で、そこで別れることになっている。
それなりに長く旅をしてきたがエミナとの旅にも終わりが見えてきてしまった。
エミナがこれからどうするのかは聞かずとも分かっている。
冒険者の身分を得たから冒険者をやる。
それは当然なのでリュードが気になるのはその先のことである。
今はリュードたちと行動を共にしているエミナだが国に戻ってお別れとなれば1人になる。
エミナは魔法使いとしての能力は高く将来性もある。
このまま順当にいけばゴールドクラスにも上がれる才能があるとリュードは思う。
人としてはどうか。
悪い子ではない。
性格もいいし協調性もある。
けれどちょっと抜けたところがあって人付き合いが得意なタイプではない。
これが心配なのだ。
冒険者は1人でやることが難しい仕事だ。
必ずしも仲間が必要とされるものでもないが複数人でのパーティー前提の依頼だってある。
旅する上で2人でも中々厳しいと思うのに1人では困難も多い。
特にエミナは魔法使いである。
前衛で戦ってくれる人がいてくれて初めて力を存分に発揮できる。
リュードのように両方できるなら問題もないけどエミナは魔法一本だ。
今後の展望を一体どう考えているのかリュードは気になったのであふ。
「えっと、まだあんまり考えてなくて。私がいたところは田舎だったので人が多い町とかで活動することになるんでしょうけど、冒険者の友達もいないので探さなきゃいけないですね……」
正直なところ、やはりかという感想。
着いたらすぐにお別れとはちょっといかなそうだ。
ここまで一緒にきたのだから放っておくのも気が引ける。
急ぐ旅じゃないのでエミナの仲間探しぐらい手伝ってもいいかもしれない。
「エミナはどんな人が仲間がいい?」
「どんな人ですか……私は…………」
口に出そうと考えてエミナはハッと気づく。
今言おうとしている人の像は明らかにリュードとルフォンの2人のことだったからだ。
顔が熱くなる。
エミナがどんな人がいいかを考えれば考えるほど2人のことが思い浮かぶ。
リュードは真面目に聞いているから先のことを考えなきゃいけない。
なのにもう少し2人と一緒にいたいという考えばかりが頭を駆け巡る。
「ま、まだどんな人がいいとか言える立場ではないので!」
結局のところエミナはごまかした。
リュードは少し前を歩いているのでエミナの顔が赤くなっていることに気づいていない。
リュードとルフォンの2人よりも強くて素敵な人がいるだろうか。
そんな人なんて中々いないに違いない。
トキュネスまであと少しでようやく家に帰れる。
喜ばしいことなのに何故か先のことを考えると胸がギュッと締め付けられる。
この感情が何なのか、どうしたらいいのか分からずエミナはただ強く杖を握りしめた。
「エミナにだって相手を選ぶ権利ぐらいあるさ。そう自分を卑下することも……」
「リューちゃん!」
「どうした、ルフォン?」
すこし緊張感を帯びたルフォンの声。
「誰かが戦ってる音がする」
「どこでだ?」
「この先……あんまり状況は良くなさそう」
「行ってみようか」
こういう時にやたらめったら首を突っ込むのは良くないことだが、リュードもルフォンもなにかと放っておけない性分。
困っている人がいるなら助けようと思ってしまう。
エミナもなんだかんだ影響されてきて文句もなく2人について行く。
「あそこ!」
すぐにルフォンが言っていたものが見えてきた。
道の先で1台の馬車とそれを守る人、馬車に襲いかかるように囲んでいる人が見えた。