病室の窓が開いている。僕が何時でも入れるように。
しばらくのあいだしばらくの間触れていなかった優しさに触れあの日々を思い出す。
それと同時に彼女はまだ元気なんだ!…と思った…
でも、風になびくカーテンの間から見える彼女の額に滲む汗、彼女に繋がれる機械が以前より増えている。
危険な状態であることは明らかだった。
「…」
鏡に映る自分の顔には涙がつぎからつぎにこぼれていた。
「会いたかった…ずっと。でも、君に会っていいのかわからなくなった…」
子供のように泣きじゃくる彼は一言一言ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「い、意味分かんないよね…
実は…僕、死神として君のもとに行き続けてたんだ。」
ずっと言えなかった言葉、彼の大きな秘密を打ち明ける。
「…」
返事を返すことの無い彼女にゆっくりとでも確実に。
「い、何時か言おうと思ってたんだけど伝えちゃったらもう会って貰えないんじゃないか、皆みたいになっちゃうんじゃないかって思ったら言えなくて…
ごめん、ごめんね…
こんなに苦しくなるなら君と友達にならなかったら、友達以上を望まなかったら良かったね…」
沈黙の中、彼の嗚咽が病室内に響く