なんとか家に帰り着いた僕は残りの仕事をする。冷たい部屋でいつものように。
1.先ほど話したことを特別な紙にまとめる。
名前、好きな本、嫌いな食べ物、苦手なこと……
その他諸々を書き連ねた。
2.その紙をガラスで作られた箱に入れる。
3.少しの時間放置する
4.ガラスの箱の中にハートをかたどった入れ物と液体が現れる。
5.入れ物に液体を注ぐ
以上だ。
今まで言ってなかったが僕の職業は死神だ。永遠に。
ちなみに先ほどのハートが僕のターゲットの心の器で液体は命の残量をあらわす。
つまり、僕は手順5まで進め、鎌でガラスのハートを割れば僕の仕事は終わり。もしくは液体が減るのを見届けた上で器のみになったときに割る。
そこで思った人もいるだろう僕の持っている鎌は直接手を下すときのために存在しているものなのではと。誰もが思い描く直接手を下すタイプもなくはないが、それは稀である。例えば絶対にあり得ないものとしてターゲットが魔法かなにかで寿命を伸ばした場合。
それは、世界的に考えたときの命のバランスがとれなくなるので問答無用で即排除。
もう一つはどうしても、どうしてもターゲットに対して任務を遂行したくないと、死神自身が思ってしまったときだ。例えばターゲットに対し過度に恨身を持ったとき、もしくは恋愛感情を抱いてしまったというようなところだろう。
その時、液体は本の少しのところで嵩を減らすことをやめる。
するとターゲットは死の間を彷徨い続けることになる。
正直僕は、直接手を下すことはしたことがないので実際どうなるのかはよく分かっていない。
「生死を彷徨うって辛いことなのかな」
ぽつりと呟きベッドに倒れこむとすぐに眠りに落ちてしまった。