退屈
自分の一番嫌いな時間。1日の半分以上はこの時間に値する。
夜更け
僕の一番好きな時間。

月の光が瞼をくすぐるそれが僕の時間の合図だ。
齢690歳それに反し見た目は15歳に見える幼い男の子は黒いマント、大きく立派な鎌をよっこらしょと抱えると、
「今日はどこ行こっかな?」
窓に腰掛け、家々を物色する。そして、お目当ての家を見つけるとその家へ羽ばたき、ちょっくらお話にいく。
それが僕の遊びであり仕事でもある。
「今日はあそこにしよっ!おっと!あれ忘れてた。…よしっ!それじゃあいってきまーす!」
なにもない殺風景な部屋を後に黒い翼を羽ばたかせる。
頬を掠める夜風が気持ちがいい。月夜はスポットライトのようだ。このときの僕は嫌われものなんかじゃない。主人公になれるのだ。
「今日も人間は退屈そうな顔をしているなぁ、誰一人として今日生きててよかったって思ってなんかないみたいだ。まぁ、今日に限った話じゃないんだけどね」
そんな感じで皮肉を呟いていたら目的地に着くのはすぐだった。