「病気って診断された。徐々に視力が低下して、最終的には何1つ見えなくなる。」

私の抵抗に反するように残酷な結末を柚燈の口から発された。

淡々と、何も思ってもいないかのように。



「……ね、え…、今、柚燈は……、もう…?」

震える声で尋ねた。



「いーや。まだ、大きい個体の色の識別くらいできる。本当にぼんやりしか見えないけど。」


……色の、識別……ってことは、わかるのはそのものが何色をしているかだけ……?


「そ。例えば、今このテーブルにりんごがおいてあったとする。で、テーブルは茶色でおいてあるものは赤って区別だけはつくから、ぼんやりと色の違いで何かおいてあるなくらいはわかる、それなりに。」 

と、スラスラ用意していたような例え話を始めた。

「……そっか。」


そっと呟いた。