「で、なんでその彼氏くんは椛ちゃんの前から消えたの?」
 
「……それですよ。私もそれが不思議で…。でも……、」


「でも?」


私はそこで言葉を止めて、さっきの柚燈を思い出した。


「信じたくないんですけど、柚燈は目が見えなくなっていたんです……。」


「え…っ、目が…?」


と、叶葉さんは不意をつかれたように目を見開いた。



私はもう1度さっき起きたことを思い浮かべた。


目が見えなくなったと言って、黒い杖を持っていた柚燈。


でも、……はぐらかされて、彼がいなくなった真意はわからないまま。