「……、はぁあ…まさかこんなとこで椛に会う
なんて思わなかった。」
「……っ、柚燈……、」
嘲るように言った柚燈に、なにも言えなかった。
言いたいことはいっぱいあるのに。
なんで、皆の前から消えたの?
なんで、目が見えなくなったことを教えてくれなかったの?
聞きたいことも文句も全部出かかって喉で押しつぶされる。
「……。」
「……。」
しばらく沈黙な時間が続いた。
あたりには、波の音だけが響いている。
そして、柚燈はずっと前を向いて俯きその片腕を後ろから掴み止めている。
雪がコートに積もっていたが、そんなの気にする余裕がなかった。
……、ねぇ……っ私、どうしたらいいの……?
私の心の中はグッチャグチャで冬の海の波のよ
うに荒れている。