Snow magic

「……。ねぇ、椛。この風景収めてみない?」


「……?え?どういうこと…?」

柚燈の突然で遠回しすぎな言い方に目を瞬かせる。


「俺が持ってるカメラで写真を撮ってみないかってこと。」

衝撃的なことを言われ言葉に詰まる。

「さすがに…、それは…。私、全く撮れないよ?壊すかもだし…。」 

ずっと柚燈が同じカメラを大切にしていたことは知っている。

そんなものに私が触れたら……、


「すぐに壊れやしないから。それに、撮り方とかカメラの角度とかは教えるし。」

「……え?あ…、」

「いいでしょ?」


ニヤリと口角が上がる。

……いたずらを始めるときみたい。



「……うん、いいよ。」

私もふはっと笑ってから、柚燈の鞄の中のカメラに手を触れた。