「……今は、出版社で編集者やってるよ…。」


「そっか。……もう書く気はないの?」

「……。分からない。分からないけど……、書きたいとは思ってるよ。応援してくれる人はいっぱいいたから。」


「うん。気持ちが前向きだといつか書けるようになるよ。…俺だって応援してる。椛が紡ぐ言葉は魔法みたいだから。」


……ほんと、不思議だ。


柚燈に言われると書ける気になってくる。

今度もう一回書いてみようかな、なんて絶対今まで思わなかったことすら思ってくる。



「柚燈は何してた?……写真は…、続けて……ない…?」


「うん、続けてはないよ。まだ手放せずに持ち続けてるけど。今だってバックに入ってる。」

確かに担いでいる黒いリュックはボコッと、もりあがっている。

多分そこに入ってるんだろうな……。


「……。」