「おはよ。」

「あっ、おはよ!待ってたよ。」

次の日、朝起きるともう仕事に行ったのか、桜也の姿はなかった。


「待ってたって、どういうこと?」

「……。あのね?突然なんだけど、明日って空いてる?」


……明日、どうだったっけ…?


「うん、明日は休みだよ。」

スマホのスケジュールを見て頷いた。


「でも、いきなりどうしたの?」


「あ、いや。ちょっと久しぶりに椛と出かけたいなって……、」


「……?うん、まぁいいよ。」

私は何一つ理解できなかったが、なんか有無言わさない雰囲気があったのでとりあえず承諾した。


……、何かあったっけ……?


「ってことで!私も今日は、久しぶりに仕事行かなきゃだから先行くね!」

「あ、そうなんだ。いってらっしゃい。気をつけてね。」

「うん!」

と言って、大きなリュックを抱えて出ていった。


私も準備しなきゃ。

慌ててご飯を食べ始めた。


その日は流れるように進んだ。

午前中は出版社に行って、普通の個人の仕事をしてきて、お昼ごろからカフェで叶葉さんと打ち合わせ。
夜は家に帰って久しぶりに3人で鍋を囲んだ。


だから…、そんな次の日のことなんてすっかり忘れて過ごしていた。