「…じ?椛っ?」

 

「…っえ?あ…、ごめん。」


隣の光杞に肩を叩かれ、現実に引き戻された。

光杞と桜也を見ると心配そうな顔をされてしまっている。
 


柚燈のことを思い出していたら、考え込んで周りが見えなくなっていたようだ。





「え、で?どうしたの?光杞。」


「今日の仕事終わった夜、空いてる?」

と真剣な顔をして聞いてくる。



「うん、大丈夫。今日は打ち合わせ1時から3時半までだから。」


今日は、これから担当の小説家さんと打ち合わせの予定だ。




「……じゃあ、今日の夜久しぶりに外食しない?私この前おいしい店見つけたんだ!」



「いいよー。桜也のおごりにしちゃう?」 


私はあることに気づきながら、気づかないふりをしていたずらっぽく笑った。



「光杞が誘ってんだからふつーは、お前が奢るんだろ?」


桜也は、ったくと言いながら呆れっぽい顔をしている。



「まぁーいいじゃん!…じゃ、店は後で地図と一緒にラインで送っとくね。」


「オッケー。じゃ、私そろそろ準備するね?ごちそうさま。美味しかったよ、桜也。」


「そりゃよかった。」



最後に2人に笑顔を浮かべてから私はリビングから出た。



そして、リビングの戸を閉めてから呟いた。




「はぁ…あ、何隠してんだろ。幼馴染隠し事なんてできるわけないのになぁ。」



そう、2人はなにか私に隠している。