『ねぇ……っ!待ってよ!ねぇ!』

私は、心の底から叫んだ。

それでも…、彼には聞こえない。


彼は私の声など聞こえないように私から遠ざかっていく。


まるで……、私なんて知らないかのように。



届きそうだった距離も、あっという間に走っても追いつかないくらいの距離が開いてしまった。



『ねぇ…、何でなの…?』


私は息切れをしながら、呟く。



お願い……。


すべてを教えて……?



神さま…、もう1度だけでいいから。


私の前からどうして消えたのか、聞くだけでいいから。


柚燈に会わせてください。