「みんなそう思ってるわよう。……私たちみんな、それぞれの立場があるからさ。ずーっと友達でいるのは難しいかもしれないけど、今くらいは……ふつーの青春みたいな時間過ごしたいじゃん」
「本当ですね。クラスメイトがみんなだから、わたしも楽しいです」
「えへへー。じゃ、昨日の男の人は婚約者さんの身内ってことで話しておくから、心配しないでね」
「ありがとうございます。助かります」
「それにしても琴理ちゃんの許嫁さん、こじらせ系だったんだね……」
仁香は、はあ、とため息をつく。
心護は琴理への態度を家族にも心配されているほどだったようだから、相当だろう。
「色々ありましたし、これからもあるでしょうけど、概ね順調です」
「琴理ちゃん……助けてほしいって思ったら、必ず言ってね。私もみんなも、琴理ちゃんに助けられたんだから」
仁香が真剣な顔で、琴理の手を握りながら言った。
概ね、というだけで、実際には問題がてんこもりだが、今は心護がいるというだけで琴理に安心感を与えてくれていた。
そしてこうまで言ってくれる学友と出逢えたことは、琴理の宝だった。
「はい。ありがとうございます」



