「中身を確認します。指紋をつけたくないので、手袋はありますか?」

「ただいまお持ちします」

主彦がすぐに部屋を出て、一分もせずに戻ってきた。

「こちらを」

袋に入った状態の白い手袋を渡されて、琴理はそれを手につけた。そして一同を見る。

「心護様はわたしに一任してくださる、という解釈でよいのですね?」

「琴理様の判断に従うように、と言われております」

言って東二が顎を引いたので、琴理はこくりとうなずく。

箱に向かいなおして、一枚手に取ってみる。

高校の制服姿の自分を、背後から撮った写真。

背中がぞくりとした。

(はっ、いけませんいけません。怯(ひる)むな、怖がるな、わたし)

唇を噛んで、一度瞼を閉じた。

(……やれます。こういうことは想定してきたはずです。新里様が仰ってくださった、学んできたことを生かすのはこういう場面なはずです)

すーっと、深く空気を吸い込む。

「何か文章など入っていないか確認します。涙子さんと主彦さんも手伝ってもらえますか?」

「はい」

「はい」

二人は仕事上必要なので、手袋も携帯している。

それぞれ、それを手に付け箱の前に集まる。

「東二さんは宅配業者に連絡を取ってください。誰から預かったか、宅配を依頼された場所などわかることは聞き出してください」

「承知いたしました」

答えて、東二は応接間を出た。

「詩さん、ここにビデオカメラなどはありますか?」

「はい、ございます」

「ではそれで、わたしたちが中を見ていく様子を撮ってもらえますか?」

「撮影するのですか?」