「おれと契約しないまでも、『悪魔』を呼び出した罰だよ。俺が痛めつけられれば娘にも同じ苦痛がいく。感覚がつながったってことだな」

「感覚が、つながった……?」

琴理が呆然とつぶやくと、心護がこそっと琴理も耳元でささやいた。

「――――」

「!?」

がばりと身を離した琴理の顔は真っ赤だった。

それを見てから、クマに視線をやった心護。

クマは、うへえ、と居心地が悪そうだ。

「……聴覚もつながっているのか……」

「わかってんならやんなよ。ちょっと娘が可哀そうだ」

しっしと、心護に向かって追い払うように羽を振るクマ。

心護はそれを無視して、琴理に向かって真剣な眼差しを見せた。

「琴理。……大変残念だが、こいつをシメることが出来なくなったしまった。こいつにしたことは、すべて琴理にもいってしまうらしい」

「……そ、それではなんですか、わたしが見たり聞いたりしたことも、クマには筒抜けだと?」

恐る恐る聞いた琴理に、にやっと笑うクマ。

それを見た心護は苦虫を嚙み潰した顔になって言った。

「……そういうことのようだ」

「………」

サーッと、琴理から血の気が引いた。

悪魔を呼び出した代償が、こんな形で発生してしまうなんて――。