「それはもちろんだ。花園の当主には公一さんから了解を取ってあるけど、俺も話さないといけないから」
そこではたと気づく最愛の存在。
「あっ、愛理に心配をかけてしまう……! 自分が愛理の心労になるなんて耐えられない……!」
発作を起こしたように琴理が頭を抱えてぶんぶん振り回して心護がオロオロしていると、公一と詩がコソコソと話していた。
「琴理様、妹さんと何かあるの?」
「重度のシスコンだそうだ。ご自分で仰ってた」
「おれが見てきてやろうか? 花園って家の様子」
――そのとき、今までこの部屋にいなかった男の声がした。
え、と固まる琴理。
「だ、誰っ!?」
「おいおい、さっき喚(よ)んでくれた仲じゃないか、娘」
その声のする方をたどると――
「なんだ? その反応は」
琴理の影から、にゅっと小鳥が首を出していた。
呆気にとられた反応はお気に召さなかったらしい。
「………?」
琴理は退鬼師ではないため式も持っていないので、全く初めて見る小鳥だった。
ジャキ、という効果音がつきそうな武器が、小鳥に突きつけられた。
「何者だ貴様。琴理様に害あらば消す」
「まったくです。よくも宮旭日の家にのこのことやってきましたね」
(!?!?)
公一と詩が、それぞれ日本刀を小鳥に向けていた。
(若月さんも詩さんも、どこにそんなものを隠し持って!?)
驚いている間に琴理は隣から抱き込まれた。
「お前、さっきの悪魔か」