「……ん」

 気がつくと、私は知らない病院へ運ばれていた。

「如月星乃様、お気づきになられました!」

「良かった、あの町で唯一の生存者ですよね」

 と、看護師さん達が話しているのが聞こえた。ただ、あの町で唯一の生存者という言葉が気になった。どういうことだろう。

「あ、あの、どういうことですか?」

「……如月様が住んでいた町、星谷町(ほしやまち)に数日前、流星群が落ちたんです」

 また意識を失いそうになった。数日前、あの町に流星群が落ちた……? 思い出すだけで頭がズキッ、と傷んだ。確かに私はあの日あの瞬間、流星群が落ちて町が燃え尽きた光景を見た。

「そして、生存者は如月様、貴方一人しかいないそうです」

 その言葉を私は信じられなくて、すぐさま病室にあるテレビをつけた。

『九月二十日、星谷町に流星群が落ちたそうです。流星群は空中で爆発し、その破片が星谷町に落ちてきたと観察されております。現在、生存者は居るか不明で……』

――絶望だった。私は、星谷町で一人だけ生き残った。今更だが、私の家族は? クラスの子達は? ……星那は? 

「如月さん、顔や体に重症を負っております。露骨や背骨など色々な箇所が折れてまして……」

「いい、んです。あの、ここはどこなんですか?」

 私は自分でも知らないうちに涙を流しながら、看護師さんへ聞いた。

「ここは、星谷町の隣町です。数日間、入院していただきます。金額諸々は後ほど確認していただきますので」

 看護師さんは何か早口で言っていたが、私は耳に入らなかった。――ああ、どうして私だけが生き残ったの? なんで私だけが……?

 神様、いやお星様。私、こんなの嫌だよ。あの町が無くなるのも、大切な人が居なくなるのも。

 人々が消えてしまえばいい、なんて願い叶わなくて良かった。私だけが一人で生きていくなんて嫌。

――お願い、お星様。どうか、どうかあの町が無くなる前に戻して……!