「おはよ、今日の夜楽しみだよね」

「ね! 流星群でしょ、エモすぎる」

「私初めて見るかも」

 学校では、流星群の話で持ち切りだった。

「でも私、星って漢字名前に入ってないから願い叶わないのかな……」

「えー、そんなことないよ。……如月さんの名前、星って入ってるよね。いいなあ」

 と、クラスの女子から羨ましそうに言われた。私は確かに星という漢字はあるけれど、第一その言い伝えが本当かは分からないし。私の願いが叶うとは考えづらい。

「如月さんみたいな名前、本当羨ましいよ」

「ねー、星乃とか可愛すぎ。私もそういう名前が良かった」

 クラスの女子は、私を敬うように言った。なんで女子って、褒め合うことが好きなんだろう。別に人を褒めたって好感度が上がるだけだし、メリットないのにな。

「星乃、次移動教室だって。一緒に行こ」

「あ、うん」

 星那とは、同じクラスの1-Cだった。中学校も三年間クラスが一緒だったので、本当に奇跡だなあと思う。
 私は、この世界から全ての人々が消えてほしいと思っているけれど、星那だけは違う。星那だけは、私の恩人だから。わがままだけど、星那は生きていてほしい。

「ほら、如月さん湯原くんと仲良いよね」

「悔しいけど美男美女だし、星って名前だもんね。羨ましい」

 ……そう言われると、少し照れてしまう。別に星那に恋愛感情を抱いている訳ではないが、周りから見ると特別な幼馴染なんだろうな、と思う。