2月3日。
 内定をもらっている企業から、配属先の通知。北海道支社総合事務職。6月まで仙台で研修を受けたあと札幌勤務となるらしい。

 2月10日。
 大学から卒業認定の通知。この日に掲示板に張り出されるとのことで、バイトがあった弘弥以外の7人で見に行った。最後まで粘った弘弥も無事卒業。全員で卒業旅行に行けることになった。翌日アパートにも郵送されてきた。

 2月17日。
 大学から海外渡航自粛の要請メール。新型ウィルス流行に伴い、海外渡航はしないように、とのこと。サークルの追いコンでヨーロッパに行っていた美波は急遽(きゅうきょ)飛行機を早めて帰国した。検疫に相当時間がかかったらしい。

 2月25日。
 会社から電話連絡。引っ越しの荷出しが3月16日に決まる。仙台の宿舎への入居は3月30日の午後から。手配や料金は全て会社もち。海外旅行に行っていないか、関西旅行に出かけていないかの確認を念入りにされた。

 2月27日夜。
 テレビで全国の学校を臨時休校にするとの記者会見。

 2月28日夜。
 大学からのメール。不要不急の外出は控えるように。

 その直後、飯森先生からメール。
 いま帰省中のゼミ生は大学から連絡があるまで移動しないように。旅行中のゼミ生は行き先といつどこに帰るのか。実家かアパートかを連絡するように。と、ゼミ生に連絡してくれ、とのこと。

 2月28日深夜。受信したメールに2月29日早朝気づく。
 飯森先生からのメール。

 夜分にすまない。しかも大事なことだから直接会って話したいのだが、このご時世だ、許してほしい。
 結論を言うと、卒業旅行と追いコンは中止にしよう。理由は新型ウィルスだ。教員や公務員になる卒業生もいるのに学校が休みになる中旅行やコンパはさせられない。今後の君たちを守るためだ。すでに旅行や帰省をしている人もいるだろう。ここでクラスターを出すわけにはいかないことを理解してほしい。
 あと、まだ他言しないでほしいが、卒業式の開催も危ぶまれている。正式な発表は来週以降になるが、心づもりしていてほしい。
 大学構内も来週から学生の出入りを制限するようだ。ゼミ室に荷物がある卒業生は週末のうちに片付けるよう伝えてくれないか。
 君たちの落ち度は全くないのに、このような卒業になって本当にやるせない。ウィルスが落ち着いたら夏休みにでも卒業コンパを開きたいと思っている。本当に申し訳ない。

 飯森厚志