「体調は？変わりない？」

「うん！薬効いてて絶好調！今なら走れそう！」


挨拶のような自然な問いに、私は飛び出しくんのポーズで返す。


「調子に乗らないの。なら良かった。薬足りてる？」

「うん、まだ十分足りてるよ」


莉音ちゃんはその言葉に軽く頷いて、また話題を世間話へと戻した。

私は目を盗むようにして、最近痛みがちな腰へとそっと手を当てる。


処方されている薬は、医療用の麻薬というもので、信じられないくらい強烈に効き目がある。

おかげでこんなに元気に学生生活を送れている私だけれど、実は、もう長くは生きられない。


余命半年と宣告されて、もう２ヶ月。

宣告が正しければ、私の命のタイムリミットはあと４ヶ月となっていた。