中学校の放課後、みんなで遊んだ小さな丘。

そこですら、澪音の面影ははっきりと残り、俺は、遂にしゃがみ込む。


「ずりーわ、澪音」


思い出す顔、全部笑顔なんだもん。

こんなん、前向いて進むしかねーじゃん。


「…っ、…」


小さく漏れる嗚咽。

澪音が亡くなってから、ずっと現実味が無くて、一度も流れることのなかった涙が、ここぞとばかりに溢れ出す。


「澪音…っ」


会いたい、会いたい。忘れられるわけがない。

止まらなくなってしまった思いに、俺はどうしようもなく顔を歪めて泣き続けた。


「旭陽」


澪音の声がしたと思った。

だけどすぐに、少しだけ澪音より低いその声の主が分かり、ぎゅっと唇を噛む。


「莉音さん」


泣き顔を見せるわけにもいかず、声だけで返事をすると、莉音さんはこちらを見ることなく隣に座る。