葬儀までが慌ただしく過ぎていき、落ち着いて、家に帰り自分のベッドに寝そべってからは、しばらくの間全く動くことが出来なかった。


澪音と約束したのに、強く前を向いて生きるって。

なのに重くて動かない体。


「俺は強いから、前を向いて生きるから」


澪音と約束した自分の言葉が脳内に流れ続けること5日ほど。

俺は、やっとの思いで体を起こした。


久しぶりに外へ出よう。

重い身体を無理やり立ち上がらせ、俺は久しぶりに陽を浴びた。

と言っても、目的がある訳でもなく、ただ暑い真夏の道を歩く。


小学校までの通学路、中学校からの帰り道。

途中で寄り道した河川敷。
野球の試合をしたグラウンド。

俺が暮らしていた町は、苦しいほどに澪音の存在が残っていて、最期の日の澪音との思い出話を一人で繰り返す。